2016.03.04

TPPへの参加は、日本が世界と本意気で交わるトリガーなのかもしれない。


こんにちは。
経済何でも伝道師、ピタゴラです。

今回はですね、2016年2月4日に、いよいよその署名式が行われたTPPについて述べていきます。

このトピックは最近何かと話題になることが多い訳ですが、仔細はそこまで分かっていない人が多いというテイで参ります。
具体的に掘り下げていけばいくほど、なかなかのミラーマッチな部分も出てくる政策でもありますので、アウトラインだけでもお持ち帰りください。

そもそも「TPP」って何?


…え、何?
DDTの特集?

違いますね、それはプロレスの技ですね。


といった感じの小技を挟み込みましてですね、TPPとはそもそも何なのか?から進めていきます。


TPPの正式名称は『Trans-Pacific Partnership』(略してTPP)で、日本語表記では『環太平洋戦略的経済連携協定』になりまして、この日本語読みの方がメディア等を通して聞き覚えがあるのではないでしょうか。
そして、文字面を追うとイメージを掴みやすいのですが、「太平洋を取り囲んだ国々の間で、戦略的に経済面で連携しましょう!」ということですね。

今回の調印から遡ること約4ヶ月前の2015年10月5日(日本の交渉参加から2年以上を経て)に、参加国間で大筋合意に至り、今後概ね5年程度で段階的に貿易関税が撤廃されることが決まりました。

なお、このTPPというのは、世界のGDPの約4割を占めるほどの巨大経済圏になってくるので、そこでの貿易ルールの変革は全世界に与えるインパクトもかなり大きい訳です。


そして、昨月署名した12カ国のラインナップは以下です。

アメリカ
日本
マレーシア
ベトナム
シンガポール
ブルネイ
オーストラリア
ニュージーランド
カナダ
メキシコ
チリ
ペルー


…この12カ国中に、いわゆる先進国が少ないと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、それもそのはずで、名前に“戦略的”というワードが入っているところが示す通り、とある目的をもって、この交渉は進められています。
半ば入り組んでいる訳ですね。

日本のTPP参加目的およびメリット・デメリットは?


では、日本の観点からのTPP交渉の狙い、そして、なぜ日本がこの協定を結ぶ方向に動いたかという経緯を確認していきます。


おおまかな流れですが、事の始まりは2010年、当時の内閣総理大臣であった菅直人首相の主導で、TPP交渉への参加が初めて議題に上がりました。
その後、安倍晋三首相がアベノミクスの一環として2013年7月に正式参加を表明する運びとなり、現在に至ります。

そして、なぜ日本がTPP交渉への参加を決意したのかというのは、TPPの前身が何であったかを知ると徐々に見えてきます。

TPPの母体は、2006年にシンガポール、ニュージーランド、ブルネイ、チリの4カ国が、相互の貿易交渉において結んだ『P4(パシフィック4)』という協定です。
この段階ではイメージ通り、比較的に小規模なEPA(経済連携協定)に過ぎませんでしたが、2006年にアメリカがP4への参加を表明したことで、事態は一変します。

ここで世界各国は、アメリカが当該4カ国をターゲットに、無理な関税撤廃等、自国に有利な交渉を進めるのではないかと警戒を強めた訳ですね。
国際政治経済的に、よくあるパターンと言えば、よくあるパターンです。
また、このアメリカの挙動に誘われる形で、オーストラリア、ペルー、ベトナムが、ほぼ同時期に参加を表明しました。
その後遅れて、日本は2013年になって参加表明をした訳ですが、アメリカがあまり無茶な要求をしてこないようにという雰囲気を共有する形で、既TPP参加国と日本との間に協力関係が生まれ、半ば穏便にアメリカの“行き過ぎ”を緩和できると考えた、という流れになります。
至極簡潔に言うと、アメリカと1対1はさすがに分が悪いので、複数で協力し、抑止力を高めましょうという構図が垣間見えると思います。


ただ、それだけがTPP参加の目的では弱いですよね。
メリットは他にも複数あって、以下のようなものが主です。



【メリット】

●関税が撤廃されることで、貿易の自由化が進み、日本国内で生産した<Made in Japan>が今以上に海外へと普及し、結果的に輸出が増大することに繋がる

●貿易における障壁の撤廃によって、すでにグローバル化している企業(特に大手製造業など)は、海外拠点との企業内貿易が活性化することに繋がる

●事実上の鎖国状態から脱し、グローバル化を加速させることで、GDP増大へと繋がる《※10年間で2.7兆円の増加見込みとの試算》

●ビジネス効率化によって、労働の機械化と自動化が加速度的に進んでいるが、TPPに参加することで、これまでの国内雇用が維持され得る(⇒TPPによる障壁撤廃で、大企業を中心に海外市場への進出を促し、グロスの海外売上比率やその分の利益が創出されていけば、企業活動のボリュームアップに伴い雇用も改善されると考えられるため)《※逆にTPPに参加しないことで、国内雇用は81万人減少するとの試算》


一方で、光があるところには、必ず影もあります。
およそのデメリットをまとめます。



【デメリット】

●関税撤廃と貿易自由化により、海外から安価な商材が流入し、それによってデフレを引き起こす可能性がある

●アメリカやオーストラリアなどから安い農作物(特に米分野が懸念されている)が流入し、日本の農業に大きなダメージを与えかねない

●食品添加物や遺伝子組み換え食品、残留農薬などの食品規制緩和により、食の安全が脅かされる可能性がある


TPP参加によって、商材のさらなるグローバル流動化への門戸は開かれた?


上に記したメリットとデメリットだけを見ても、TPPに参加することが良いか悪いかというのは一概には言えないことがお分かりいただけると思います。
国際経済というのは、多くの国の利害優劣が複雑に絡み合う中で、お互いの良好な関係構築を模索しながら、与件の中で最も理想的だと思われるポイントに妥結させていく訳ですから、当然と言えば当然です。


とにもかくにも今回のTPP署名によってですね、協定の調印は完結し、残りは各国間の合意書取得の批准を残すのみとなったということで待ったなしの状況です。

これにより、日本が今後どんな未来を歩むことになるかは注視すべきで、例えば、飲食業界(外食産業含む)であれば、2020年に東京五輪が控えているタイミングでもあり、世界の人々を相手に、国内の食材だけでなく国外の食材をより多く使用していくような商流になると考えると、半強制的に業界全体でのイノベーションの大波がやってくることになる訳ですね。


総じて、TPP参加が日本経済の各セグメントに大変革をもたらす契機になるかもしれないということは意識しておきましょう。






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