トップ 車両保険は本当に必要?保険金額の決め方や補償範囲についても解説

車両保険は本当に必要?保険金額の決め方や補償範囲についても解説

車両保険は本当に必要?保険金額の決め方や補償範囲についても解説

(最終更新日:2021年8月25日)

他の車との接触や衝突、自然災害、盗難、いたずらなど、偶然の事故で自分の車が損害を受けたときに備えて検討する「車両保険」。自動車の任意保険の1つであり加入するかどうかはご自身で選ぶことができますが、補償が手厚くなるぶん保険料も高くなるため、本当に必要かしっかり判断する必要があります。この記事では、車両保険の必要性とともに、保険金額の決め方、車両保険の補償範囲や新車・中古車それぞれの場合の考え方などについてわかりやすく解説します。さらに、車両保険を使わずに自己負担で修理するほうが良いケースや免責金額を設定して保険料を抑えるためのポイントなどについてもご紹介します。

INDEX

車両保険とは?

車両保険とは、自動車の任意保険の補償の1つで、自分の車が偶然の事故によって損害を受けた場合に補償される保険です。具体的には、契約している車が事故などで損害を被ったときに修理費用を補償してもらえたり、車の損傷が激しく修理できない場合に車両保険から支払われる保険金を車の買い替え費用に充てたりすることができます。

補償の範囲は、他の車との衝突や接触などの交通事故だけではなく、電柱やガードレールへの衝突や接触などの単独事故(自損事故)も含まれます。そのほかにも、火災、盗難、落書き・いたずら、台風・洪水といった自然災害など、さまざまな偶然の事故による損害が補償されます。また、被保険者の過失によって発生した偶然の事故も補償の範囲に含まれます。

車の修理ができる「対物賠償責任保険」との違い

車の修理に使える任意保険には、車両保険のほかにも「対物賠償責任保険」があります。しかし、対物賠償責任保険は自分の車の補償はできません。対物賠償責任保険が交通事故の「相手の自動車・物」に対する損害の補償であるのに対し、車両保険は「自分が契約している車」に対する損害の補償となります。したがって、自分の車の修理費などを保険でカバーするためには、車両保険への加入が必要になります。

車の修理に使える2つの保険

車両保険は2種類のタイプから選べる

車両保険では、補償範囲の違いによっていくつかのタイプ(種類)が用意されています。一般的には、「車両保険(一般型)」と「車対車+A(エコノミー型)」の2種類のタイプに分かれます。

※2種類のそれぞれの名称は各保険会社の自動車保険ごとに異なります。「一般条件」「一般補償」「フルカバータイプ」「エコノミー」など、保険会社によってさまざまな呼び方があります。この記事では「車両保険(一般型)」「車対車+A(エコノミー型)」と呼びます。

では、2種類のタイプがある場合どちらを選べばよいのでしょうか?一般的には、「車両保険(一般型)」は補償範囲が広いタイプであり、「車対車+A(エコノミー型)」は補償範囲が限定されたタイプとなります。具体的には、単独事故(自損事故)や当て逃げなどによる損害が補償範囲となるかが大きな違いとなります。単独事故(自損事故)や当て逃げは、「車両保険(一般型)」では補償されますが、「車対車+A(エコノミー型)」では、補償の対象外となります。

したがって、「車両保険(一般型)」は「車対車+A(エコノミー型)」に比べて保険料が高くなります。加入に際しては、どちらが自分自身に適切な補償かを考慮して選択する必要がありますが、結果として「車対車+A(エコノミー型)」の補償範囲で十分ということであれば、保険料を抑えることも可能になります。

車両保険の種類と補償範囲の違いの例
車両保険
(一般型)
車対車+A
(エコノミー型)
他人の自動車との接触や衝突
火災・爆発・台風・洪水・高潮・騒擾(じょう)
飛来中または落下中の物との衝突
落書きやいたずら
盗難
単独事故(自損事故) ×
当て逃げ ×
地震・噴火・津波 × ×

「車両保険は一般型とエコノミー型、どちらを選べばよい?」

ファイナンシャルプランナー 竹下さくら先生

竹下先生のワンポイントアドバイス

車両保険は、保険料が高いとよく言われます。購入して間もないタイミングでは、車両保険を外すだけで保険料負担が半額以下で済むケースもあります。そのため、車両保険は付けたいものの保険料負担を少しでも抑えたいというニーズに応えるために、保険会社各社では「一般型」のほかに限定補償の「エコノミー型」のプランを用意しています。

「一般型」と「エコノミー型」の主な違いは、一般的に「単独事故(自損事故)」「当て逃げ」の補償が含まれるかどうかになり、それによって保険料負担が変わります。運転技術がある程度高い人であれば自動車以外の他物との事故である「単独事故(自損事故)」の可能性は低いかもしれません。ただ、「当て逃げ」に関しては、たとえ相手を特定できたとしても、自分自身の過失がゼロの場合は保険会社の示談交渉サービスが使えず、ご自身で交渉する負担が生じます。修理代を回収するまでの手間と時間を考えると、暮らしにおける車の重要度が高いほど、車両保険は「一般型」での契約が安心だといえるでしょう。

なお、地震・噴火・津波による被害を受けた際にも補償が欲しい人向けに、全損時に50万円を受け取れる特約を年払保険料5,000円で提供している保険会社もありますが、この特約は「一般型」にしか付けられないことが多い点はあらかじめ知っておくと良いでしょう。

車両保険は必要?不要?役立つ場合と使い方・補償範囲

車両保険へ加入をすると、補償が手厚くなるぶん保険料は高くなります。そのため、「車両保険はいらない」「車両保険をつけない」「車両保険は無駄」などと考える方もいるかもしれません。そこで、どのような場合に車両保険を使うと役立つのか、どのような事故が補償範囲となるかについてご紹介します。

新車を購入した場合

新車の購入時は、とくに車両保険への加入を検討するメリットがあるでしょう。新車の購入には多額の費用がかかりますので、新車購入直後に事故を起こしてしまった場合、修理費用、車を買いなおす費用など経済的な負担は大きくなります。

また、新車の購入時にローンを組んでいる場合、新車が全損で廃車になったとしてもローンの支払いは残ります。そうなれば車を買いなおすには、2台分の費用を支払わなくてはならない可能性もあります。仮にそのような事態が起きても車両保険に加入しておけば、保険金を修理費用や車を買いなおす費用、ローン返済費用などに充てられます。

さらに、新車の場合には、車両保険から支払われる保険金の上限が高い点も、新車購入時に車両保険へ加入のメリットの1つとして挙げられるでしょう。車両保険金額は、通常、契約した時点の車の時価相当額に設定されます。万が一のときに十分な保険金を受け取れる可能性があるので、新車購入の時点で車両保険に加入するメリットが大きいといえます。

一方、10年落ちの車など中古車の場合には、修理費や買い換え費用として十分な保険金額を設定できない可能性があります。「時価相当額」が車両保険の保険金額とされるためです。

単独事故(自損事故)を起こした場合

運転に自信がない場合も、車両保険への加入を検討するメリットが大きいと考えられるでしょう。運転に不慣れだったり、運転技術が乏しかったりする場合、事故を起こしてしまう可能性が高いからです。車両保険に入っていない状態で何度も事故を起こすと、修理費用による経済的な負担は大きくなってしまいます。

さらに、運転に不慣れな方は、車同士の事故だけではなく、車庫入れなどに失敗して車を傷つけてしまうといった自損事故が起きる可能性が高まります。車両保険が役立つタイミングの1つが、このような相手がいない事故である単独事故(自損事故)を起こしたときです。相手の車の修理代には対物賠償保険が使えますが、自分の車の修理代には「車両保険」しか使える保険がないからです。

※単独事故(自損事故)を補償の対象としているのは、車両保険の中でも補償範囲が広い「車両保険(一般型)」と呼ばれる車両保険のタイプの場合になります。保険会社によって補償対象が異なりますので、詳細は各保険会社にお問い合せください。

自損事故の例

過失割合による自己負担が発生した場合

自分の過失で車同士の事故を起こしてしまった場合にも車両保険は役立ちます。一般的に、車同士の事故であっても、相手の車に100%の責任がある事故の場合には、自分の車の損害額については相手の対物賠償保険から支払われます。

しかし、車同士の事故では、双方に責任(過失)が発生することも多く、自分の修理費の全額が相手の対物賠償保険から支払われるとは限りません。そのようなときに役立つのが車両保険です。車両保険に入っていれば、自分の過失で自己負担になる車の修理費用(自分の過失割合)も補償してくれるからです。以下の例を見ていくとわかりやすいでしょう。

車同士の事故が起きてしまい、自分の車の修理費用が50万円になったケースです。過失割合が「自分:相手=40:60」という前提で考えた場合、相手の負担額は30万円となり、残りの20万円は自己負担となります。このような場合には車両保険で20万円(免責金額を除く)が支払われるため、自己負担を回避できます。車同士の事故で修理費用を自己負担できない場合には、あらかじめ車両保険への加入を検討するとよいでしょう。

ご自身にも過失のある車同士の事故の例

過失割合にもとづく修理費用の負担金額

※契約している保険金額の上限を超えていない場合。「免責金額」を設定している場合は、免責金額内の修理費用は自己負担。

車が全損してしまった場合

車両保険は、車が全損した場合も役立ちます。車が全損したときに、車両保険から補償金額の全額が支払われるからです。なお、自動車保険における全損とは「物理的全損」と「経済的全損」に分かれます。車が修理不可能になるほどの損害を受けた状態を「物理的全損」、修理費用が車両保険金額を上回ってしまった状態を「経済的全損」といいます。全損と判断されると、免責金額を設定していても自己負担は発生せず、車両保険の保険金額の全額が支払われます。

盗難やいたずらで損害が出た場合

自宅の敷地外の駐車スペースに駐車しているというような場合、契約する車が人気車種の場合、契約する車が高級車である場合などは、盗難やいたずらのリスクが高くなります。盗難やいたずらのリスクに備えたい場合も、車両保険への加入を検討するメリットがあるといえるでしょう。車両保険に加入しておけば、契約している車がいたずらで傷ついたときや、盗まれたときに、保険金を受け取れます。

台風・洪水・高潮などの自然災害で損害が出た場合

日本は、地震や台風をはじめとする自然災害が多発しやすい地域です。自然災害によって、自宅の建物への被害だけでなく、車への被害も起こることが想定されます。例えば、台風による強風でモノが飛んできて契約している車が傷つくことや、ゲリラ豪雨で車が水没することなども考えられるでしょう。

車両保険は、自然災害で発生した車両の損害についても補償の対象となります。野外に駐車している、駐車している場所の近くに河川があるなど、自然災害のリスクが高い場合は車両保険への加入を検討する必要があるかもしれません。

ただし、同じ自然災害でも、車両保険は、すべての自然災害による損害を補償の対象にしているわけではありません。一般的には地震・噴火またはこれらによる津波で生じた損害は補償の対象外となっています。これは、一度に巨大な損害を発生させる恐れがあるため、適切な保険料を設定できないためです(保険会社の中には一時金を支払う特約を用意しているところもあります)。

車両保険で補償される自然災害

「車両保険の必要性は?事故の相手方が無保険だった場合も想定しよう」

ファイナンシャルプランナー 竹下さくら先生

竹下先生のワンポイントアドバイス

交通事故の怖いところは、自分の運転技術がどれだけ高くても、事故に巻き込まれてしまう可能性がある点です。そのため、車のハンドルを握る以上は、自分が加害者になる場合だけでなく被害者になる場合も考えて、自動車保険で備えておくことが重要です。

自分の車が他人の車から損害を受けた場合を例に考えてみましょう。車両保険に加入していれば、修理代等は速やかに支払われます。これが、車両保険に加入していない場合は、修理代は自己負担した上で、事故相手と交渉して過失割合を決める手間がかかります。加えて、事故相手が無保険で十分な賠償資力もない場合には、残念ながら損害賠償してもらえない可能性もあります。

車両保険の保険料負担が重いのは、裏を返せば、それだけ車両が被害を受けるリスクが大きいということです。車は私財の中でもかなり高価なものなので、日々の暮らしに欠かせない場合は特に車両保険の必要性は高いと考えます。

車両保険の保険金額を適切に設定するには?

車両保険を使う場合には、いくら保険金を受け取ることができるのでしょうか?車両保険は契約している車が損害を被ったときに、車両保険金額の範囲内で保険金が支払われる保険です。したがって、支払われる保険金の「上限金額」が決められているのが特徴です。そのため、車両保険への加入時に、支払われる保険金の上限金額である「車両保険金額」を決めなければなりません。

支払われる保険金の上限であれば「高ければ高いほうがよいのでは?」と思うかもしれませんが、契約者が上限を自由に決めることはできません。車両保険金額は、契約車両の時価で判断されます。具体的な金額の幅は保険会社で異なりますが、車両保険金額をできるだけ高く設定したい場合は、複数の保険会社から見積もりをとり、比較するとよいでしょう。

以下では、「新車の場合」と「中古車の場合」に分け、車両保険金が決まる具体的なしくみを解説しているのでご覧ください 。

新車の車両保険金額

新車を購入した場合は、購入時に支払った金額を車両保険金額に設定することが一般的です。これには、車両本体価格のほかに、付属品の金額や消費税などを含みます。

「付属品」に含まれるものとは
付属品に含まれるもの (例)警告反射板・非常用信号用具・消火器・カーステレオ・カーナビゲーション・時計・クーラー・タイヤチェーン・潤滑油・バッテリーの電解液・冷房用フロンガス
など
付属品に含まれないもの (例)ガソリン・ボディカバー・洗車用品・クッション
など

(出典)一般社団法人 日本損害保険協会Q&Aをもとに作成

また、納車整備費用、消費税以外の税金(自動車税・自動車取得税・自動車重量税)、自賠責保険料・諸費用などは、購入時に支払った金額に含まれません。すべての費用が含まれるわけではない点に注意が必要です。減価償却の考え方により、契約2年目以降は、車の価値が下がるため、設定できる車両保険金額も前年より低くなります。

ただし、契約期間中に車両保険金額が下がることはありません。車両保険金額が下がるのは、自動車保険の満期により更改するときです。翌年の車両保険金額は、一般的に更改の案内書類などに記載されています。

中古車の車両保険金額

中古車を購入した場合は、車の型式や契約時点の時価相当額などをもとに算出された一定の幅(例:150~180万円など)の中で車両保険金額を設定します。

車両保険金額の一定の幅を決めるのは基本的には保険会社です。ほとんどのケースでは、中古車の購入価格はその一定の幅の中に入りますが、購入価格や希望額が幅の中に含まれない場合は別途、保険会社に相談してみましょう。

「知って上手に選びたい!新車特約などの特約について」

ファイナンシャルプランナー 竹下さくら先生

竹下先生のワンポイントアドバイス

車両保険の特約として注目したいものを3つ挙げると、まずは「新車特約」があります。例えば、購入時には300万円した車でも、1年経てば250万円というように、時価がどんどん下がり、車両保険では事故時の時価以上の保険金を受け取れません。車両保険で補償される上限額(車両保険金額)は、事故を起こしたときの車の市場価格がベースになるからです。しかし、新車特約を付けた場合は、この例では新車の購入価格である300万円を上限に補償されるため、新車を再度購入することができます。高額な新車を購入したときは、新車特約の付帯を検討してみてはいかがでしょうか。ただし、新車が大破したり大きな損傷を受けた場合のみ対象となったり、利用時には3等級ダウンになるなどの注意点がありますので、契約している保険会社の適用条件などを確認の上で付帯するようにしましょう。

続いて、「代車特約(レンタカー費用特約)」は、事故などで自分の車を修理に出すことになった際に、代わりの車を修理期間中にレンタカーを利用する等で要した費用を補償する特約です。車を欠かせない暮らしをしている人で、事故や故障でしばらく使えなくなったときに家族など車を借りられるあてがない人は検討してみてもよいでしょう。「車両全損時臨時費用補償特約」も最近人気があります。車両保険金額の10%(上限20万円)が支払われ、廃車や買い替え時の諸費用に充てることができます。

※保険会社各社で特約の名称は異なります。

月々(年間)の保険料の相場は?

車両保険の保険料の相場は一体いくらくらいなのでしょうか?一口に車といっても、新車や中古車、普通自動車・軽自動車といった種類から車種や年式、車の安全性、過去の事故リスクなどから総合的な基準で算出されるため、車両保険の保険料の金額の平均はいくらなのか、多くの人がいくら払っているかということを見てもそのまま参考にできるわけではありません。

一般的には、各保険会社は車の市場販売価格相当額を調査した「車両価格表」を作成しており、その金額をもとに適正な保険価額で保険金額を設定するようにしています。

保険料を抑えたい場合に利用できる「免責金額」とは?

自動車保険に車両保険を付帯するときには、「免責金額」を決める必要があります。免責金額とは、車両保険を使うときに契約者が負担する金額のこと。「修理代の自己負担金額」と言い換えることもできます。保険会社では、一般的に契約者の保険料負担を軽減するために免責金額を設定して契約することができます。具体的には、免責金額を設定していない場合に支払われる保険金から、免責金額を差し引きした金額が保険金として支払われます(ただし、全損の場合は、免責金額を差し引かずに保険金が支払われます)。

「車両保険には入りたいけれど、保険料が上がるのが気になる」「車両保険に入りたいけれど、保険料はできるだけ抑えたい」という方は、この免責金額を設定するとよいでしょう。以下で免責金額の決め方の参考例をご紹介します。

免責金額を高く設定すると保険料が低くなる

例えば、「車両保険金額100万円、免責金額5万円」と設定した場合で考えてみましょう。このケースで、「修理費用30万円」の単独事故(自損事故)を起こした場合、支払われる保険金は「免責金額5万円を差し引いた25万円」です。しかし、同一のケースで「修理費用2万円」の自損事故を起こした場合には、車両保険から保険金として支払われる金額は「0円」です。免責金額より修理費用のほうが少ないため、修理費用は保険金からは支払われず、自己資金で修理をすることになります。

したがって、免責金額を低く設定すれば、契約者が支払う保険料は高くなりますが、車両保険を使うときに保険会社から支払われる保険金額が多くなります。一方、免責金額を高くすれば保険料は安くなりますが、車両保険を使うときに保険会社から支払われる保険金額は少なくなります。

そのため「支払う保険料を少しでも抑えたい」という方は「免責金額を高く設定する」という方法も検討してみるとよいでしょう。免責金額の設定次第で保険料を調整できるからです。なお、設定できる免責金額は保険会社で異なりますので、詳しくは各保険会社へ確認をしてみましょう。

「運転技術に自信があれば、免責金額で保険料を調整してみても」

ファイナンシャルプランナー 竹下さくら先生

竹下先生のワンポイントアドバイス

ご自身の運転技術が高く、単独事故(自損事故)を起こす可能性が低いと考える方は、前述のとおり、あえて「免責金額を高めに設定」してみる方法を検討してみてはいかがでしょうか。なぜなら、相手がいる事故で相手にも過失がある場合には、免責金額を設定していても、相手からの損害賠償金が免責金額より先に充当されるからです。免責金額よりも損害賠償金が上回れば、免責金額を自己負担しなくて済みます。車両保険が保険料に占める割合は高いですが、免責金額の使い方を工夫して、うまく保険料を調正するとよいでしょう。

なお、「免責金額を高く設定したくはないができるだけ保険料は安く抑えたい」という人は、自動車保険の一括見積もりサービスでの試算がおすすめです。保険会社各社で設定できる免責金額に差があるため、ご自身の希望に合う条件のところを探してみると良いでしょう。車両保険の保険料は、免責金額を見直すだけでも保険料の見直し効果は大きくなります。

車両保険を使うと等級ダウンで保険料が上がってしまう

車両保険に加入する前に押さえておきたいのが、等級との関係です。車両保険を使用すると等級がダウンするからです。

等級とは、等級制度(ノンフリート等級制度)にもとづき、事故歴に応じて保険料の割引・割増率を決定するしくみです。等級(ノンフリート等級)は1~20等級に分かれており、新規契約は基本的に6等級からスタートします。1年間、保険金支払い事故を起こさなければ、次年度は等級が1つ上がることになりますが、逆に保険金支払い事故を起こすと等級は下がります。保険料の割引率は等級が上がるほど(つまり20等級に近づくほど)大きくなり、3等級以下は保険料が割増となります。

保険金支払い事故は、ノンフリート等級が3等級下がる「3等級ダウン事故」とノンフリート等級が1等級下がる「1等級ダウン事故」、ノンフリート等級に影響しない「ノーカウント事故」に分かれます。 当て逃げなどで車両保険を利用した場合は3等級ダウン事故、飛び石でフロントガラスが割れたなど不可抗力の事故で車両保険を使った場合は1等級ダウン事故に該当します。

なお、飛び石やいたずらなど自分に過失のない事故であっても1等級ダウン事故に分類される点に注意が必要です。等級が下がると翌年の保険料は高くなります。受け取れる保険金の額と翌年の保険料増額分を確かめてから車両保険を使うか検討しましょう。

等級制度(ノンフリート等級制度)のしくみ

(出典)一般社団法人 日本損害保険協会 損害保険Q&Aのデータをもとに作成

自己負担で修理したほうが良い場合もあるので注意

事故や損害状況によっては、車両保険を使わないほうが良いケースもあります。代表的な例として挙げられるのが、受け取れる保険金よりも翌年以降の保険料負担が大きくなるケースです。車両保険を使うとノンフリート等級が1等級または3等級ダウンするので、翌年以降の保険料はアップします。翌年以降の保険料がどのくらい上がるのか気になる場合は、保険会社に相談するとよいでしょう。

ノーカウント事故となる「無過失事故特約」が利用できない場合も

等級ダウン事故とあわせて押さえておきたいのが、無過失事故特約です。無過失特約とは、ご自身に過失のないもらい事故で車両保険を使った場合にノーカウント事故として扱われる特約です。つまり、同特約が適用されれば、車両保険を使っても翌年の等級は下がりません。

ただし、車両無過失特約が適用されるのは、一定の条件を満たす場合だけです。具体的には、原付・自動二輪車を含む車との接触または衝突事故であること、ご自身に過失がないこと、相手の車と運転者を確認できることなどの条件を満たさなければなりません(詳しい条件は、契約する保険会社でご確認ください)。例えば、自転車にぶつけられた場合は、ご自身に過失がなくても車両無過失特約を適用できません。自転車にぶつけられた事故で車両保険を使うと、翌年の等級は3等級ダウンします。もしものときに頼りになる特約ですが、あらゆる事故に適用できるわけではない点に注意しましょう。

「車両保険を使うかどうかは慎重に判断。迷ったら保険会社に相談を」

ファイナンシャルプランナー 竹下さくら先生

竹下先生のワンポイントアドバイス

せっかく車両保険に入ったのに「保険を使わない方が良いこともある」と言われると、「結局どうすればよいの?」と思われるかもしれません。例えば、車両保険を使ったほうがよいケースとして、「洪水や豪雨などによる自然災害」があります。この場合は、通常の事故(3等級ダウン)とは異なり、1等級ダウンで済む場合が多いのですが、そのような場合には保険を使用したほうがよいケースといえるかもしれません。特に、洪水や豪雨による寒水などで自動車が水没した場合には、修理費用が高額になり全損扱いになることもありますので、保険を使うメリットが大きくなります。

同様に、「盗難」「いたずら」などによる修理の場合も同様に1等級ダウンとなります。しかし、単一パネルの軽度の損傷のみなど被害が少額だった場合などは、1等級ダウンによる以後の保険料負担の増加の方が大きくなる可能性があるため、慎重に判断したほうがよいケースでしょう。迷ったら、契約している保険会社に相談してみましょう。

ところで、車両保険は、契約できる保険金額が年々少額になり、”やめどき”を迷う人が少なくありません。そんなときは、まずは「一般型」から「エコノミー型」に変更したり、免責金額を大きくしたり、他社への乗り換えなどで段階的に保険料における車両保険の比重を落としながら見極めていく方法もあります。最終的に、保険金額が数十万円になるなど預貯金と変わらない状況となったら外すなどの目安を決めて、保険料との費用対効果を吟味して判断してみるとよいのではないでしょうか。

まとめ

車両保険は、契約している車が事故などで損害を被ったときに、修理費用などを補償してくれる保険です。補償範囲はタイプによって異なりますが(「車両保険(一般型)」と「車対車+A(エコノミー型)」)、車同士の事故、飛び石、盗難、いたずら、火災、台風、洪水などで車が損害を被ったときにも保険金が支払われ、幅広いリスクに備えられる点がポイントです。

車両保険に加入すると、契約者が支払う保険料の負担は上がるため加入を迷ってしまう方もいるかもしれません。しかし、保険料の金額だけで「加入する」「加入しない」を決めるのではなく、補償内容などを理解した上で、その必要性を検討することをおすすめします。もし保険料の負担が大きいことが気になる場合は、補償範囲が狭い「車対車+A(エコノミー型)」に加入することや、免責金額を高く設定することなどを検討してもよいでしょう。

また、保険会社各社で設定できる免責金額に差があるため、自動車保険の一括見積もりサービスでの試算を行い、ご自身の希望に合う条件のところを探してみるのも1つの方法です。車両保険の保険料は、免責金額を見直すだけでも保険料の見直し効果は大きくなります。

監修者情報

ファイナンシャルプランナー 竹下さくら先生

監修 竹下さくら(ファイナンシャルプランナー)

慶応義塾大学にて保険学を専攻。損害保険会社・生命保険会社勤務を経て1998年FPとして独立、現在に至る。今は個人のコンサルティングを主軸に、講演、執筆を行う。主な保険分野の著書に『「保険に入ろうかな」と思ったときにまず読む本』『知らないと損をする!間違えない保険選びのツボ』日本経済新聞出版社、『1時間でわかる やれば得する! 保険の見直し100の鉄則』技術評論社、『世界一シンプルな保険選び』日本文芸社などがある。
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