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公共交通機関を利用する時間がないときや、夜の付き合いが長引いて最終電車がなくなってしまったとき等、タクシーを利用する機会は思いのほか多いもの。
タクシーは事故を起こさないように細心の注意を払っていますが(払ってくれているはずですが)、それでも100%事故を防ぐことはできません。
タクシーに乗車しているからといって、決して事故に巻き込まれる可能性はゼロではないのです。
当たり前ですよね。
では、タクシー乗車中に事故に遭遇した場合、どのような責任をタクシー会社に対して請求できるのかを解説していきます。
公道上で自動車が通行人などと接触して負傷させた場合と異なり、タクシー事故の場合は、法律上2種類の責任が、運転手やタクシー会社に対して発生します。
1つ目は、不法行為責任と呼ばれるものです。
これは、一般の交通事故の場合に運転者等に生じるものと同じものです。
2つ目は、債務不履行責任と呼ばれるものです。
言わば契約違反に対する責任で、一般の交通事故で生じることはないので、耳慣れない言葉だと思います。
タクシーというのは、乗客との間で乗車契約というものを締結することになるので、この乗車契約に基づいて、タクシー運転手あるいはタクシー会社は、乗客を安全に目的地まで移送する義務を負っているのです。
その義務に違反して乗客を死傷させたというのが、債務不履行責任の具体的な内容です。
この2つの責任の違いにおいて重要なことで、
(1)客側が運転手の過失を証明する必要があるか
(2)権利を行使できる期間の長さ
の2点を挙げることができます。
まず、(1)の過失証明に関して、
債務不履行責任では、乗客側が運転手の過失を証明する必要はありません。
というのも、そもそも運転手には、「乗客を安全に運ぶ義務」(乗車契約上)が課されていて、事故を起こして乗客を死傷させたことそれ自体、この義務に違反したと推定される要件となっているのです。
運転手やタクシー会社が自分たちに責任がないことを主張するためには、この契約上の義務を怠っていないことや、仮に義務を果たしても事故は起きていた(義務違反と事故は関係ない)ことを証明する必要があります。
一方で、不法行為責任では、運転手の過失を証明する責任が乗客側に課されています。
この違いは非常に大きいですから要チェックです。
事故原因に争いが生じた場合、債務不履行責任を選択して追及する方が、乗客側にとって非常に有利となります。
そして、(2)の権利行使期間に関して、
不法行為責任は3年、債務不履行責任は5年となります。
両者には2年間の差があるものの、タクシー会社の担当者や顧問弁護士が入って示談交渉を開始するのに、数年もかかるということはまず考えられませんので、実際には、あまりここの差は問題にならないでしょう。
損害賠償の範囲は、不法行為責任でも債務不履行責任でも変わりません。
また、賠償される内容は一般の交通事故の基準に準じたものとなっています。
具体的には、逸失利益、葬儀費用、治療関係費、休業損害などの財産的損害、死亡慰謝料(本人、遺族分)、後遺障害慰謝料、入通院慰謝料など、数種類含まれます。
以上、いかがでしたか?
今回紹介したケースとは異なり、歩行中にタクシーにはねられた場合は、タクシー会社に追及できる責任は、一般の交通事故と同様の不法行為責任となります。
ただし、タクシー会社が相手のケースでは乗車中の事故でも、そうでない場合も、いずれも保険会社ではなく、タクシー会社の事故担当者や顧問弁護士が示談交渉の窓口となるケースが多い模様です。
そういう場合は交渉のやりにくさを感じることも少なくないそうなので、示談交渉となったら、弁護士への早めの相談がオススメです。