2016.11.25

【都心から日帰り秘境ドライブ】「秩父華厳の滝」が優雅で祈らざるを得ない

◇新宿から高速と下道で約2時間


“秘境”と謳われる絶景スポットというのは日本に数え切れないほどあるわけだが、その言葉の意味を正しく表す場所が日本にどれだけあるだろうか。

何が言いたいのかというと、どこもかしこも人多すぎッッッ!!!ということ。
ともすれば、観光というよりも観闇になってしまうではないか。




さて、今回の旅先は、 埼玉県秩父郡皆野町にひっそりと佇む秩父華厳の滝

栃木県日光市にある有名な滝“華厳の滝”に形がよく似ていることから、この名が付けられている。
が、最初に断っておくと、正直それと比べるのもおこがましいほどのミニスケールらしい。
だからこそ、興味が湧くのである。
本当に人がいない秘境なのではなかろうか!?という期待を胸に、秘境センサーなるものがそこへ行けと告げるのである。


Hiho Hiho to チチブケゴンノタキ


都道を進んで「練馬IC」から関越自動車道に乗り、「花園IC」を彩甲斐街道方面に。
一旦高速を降り、国道140号線をしばらく進んで皆野寄居有料道路に乗り、「長瀞IC」まで車を走らせる。
あとは20分ほど下道を行けば目的地が見えてくる。





そうして秩父華厳の滝への入り口付近に無事到着したら、無料駐車場に車を停め、ご尊顔を拝みに行く。


滝の入り口には最低限の看板が立てられているのみ。





ん!
ほとんど人がいないではないか!

ゼロではないが、いい感じにまばらだ。
全国有数の名瀑の割にマイナー感がプンプンするぞ。

秩父華厳の滝への入り口



しばらく坂を進むと、滝壺へと下る脇道が見えてくる。



先へ行くほど狭くなっていく砂利道を進み、濡れた岩肌で足を滑らせないよう注意しながら歩くこと数分。




早くも目的の場所に到着だ。


秩父華厳の滝


おおげさな感動ではなく、シンプルにうっとり。
ダイナミックとは決して言えないけれども、ただただ優雅。

滝壺に流れ落ちる水以外の音が何も聞こえない。



日光の華厳の滝は力強く“男性的”と表現されることも多いが、対して、秩父華厳の滝は気品あふれる貴婦人というか、思わず視線を奪われる神秘性を感じる。




もうここは、祈らずにはいられないわけである。
というより、このままでは撮れ高がなさすぎるので、祈るぐらいやっておかねば辻褄が合わない。


秩父華厳の滝で祈る



祈った。
交通安全、無病息災、縁結祈願とかいろいろ。





深い深い祈りを終え、ふと見上げると、滝口に何やら巨大な物体があるのを確認。
なぜか顔らしきものが見える。



ふむ。
どうやらこの滝にはまだ秘密があるらしい。
来た道を引き返し、坂を登って奥へと進む。





息を切らしながらしばらく歩いていくと、謎の物体の正体が判明。

不動明王だ。




……おいおい、不動明王って基本的に威圧しまくりの風体でメンチを切っているオラついた仏様ではないか。

なにゆえこんなところに。

不動明王





……違和感しかないが、気のせいか?




不動明王の顔



いやいや、目だ。
個性が強すぎる目だ。

たしかに牙が左右で上下になっているのとか、右手に剣(?)、左手に縄(?)を持っているのとか、不動明王の特徴はしっかり押さえてはいるものの、いかんせんクセが強すぎる。
逆にそのクセが奏功し、威厳を保っておられる、お不動さん。




何でもこの仏像、地元の左官職人が観光客に楽しんでもらうために作ったものなんだとか。


不動明王が滝口にいることでどのような恩恵が得られるのかは不明だが、このユニークな仏像を拝むためにわざわざ秩父華厳の滝を訪れる観光客もいることだろう。
おそらく。

ただひとつだけ言わせてもらうと、スタンダードな不動明王を期待しての見物はオススメしない。
固定観念や既成概念をぶっ飛ばせる御仁にだけ見てもらいたい。


茶屋で食べる絶品うどん


さてさて、(相変わらず撮れ高も足りず、個人的には他に拝むものは特にないので)次はご当地グルメだ。



秩父華厳の滝の入り口横には、『秩父華厳の滝茶屋』というカフェがある。

秩父華厳の滝茶屋



入店すると、屋内はこぢんまりとしたアットホームな雰囲気で、テーブルがいくつか置かれているのみ。


しかし、店長のセンスの表れだろうか、紅葉を貼り付けたランプシェードがおもいっきりオータムっぽさを醸し出していた。


秩父華厳の滝茶屋


オータム真っ只中にオータムっぽさを味わいながら着席し、オータムっぽさを身に染み込ませながら、オータムっぽい光の下メニューに目を通す。



オススメは数量限定の手打ちうどんらしい。
最近ブームが押し寄せている甘酒<ノンアルコール>まであるではないか。
栄養満点で飲む点滴とも言われる甘酒がこんなところで飲めるとは小粋な計らい。



うどんは、たぬき、きつね、月見の3種がメイン。
季節限定で山菜うどんもあるとのことだが、どうせなら一番人気を食べたいので、「3種盛りうどん(税込500円)」と「冷やし麹甘酒(税込300円)」を注文。
観光地価格に走らないところにも、お店の強さを感じられる。

まだ見ても食べてもおらんが、評価はもうストップ高だ。





そうこうしているうちに、料理到着。


3種盛りうどんと冷やし麹甘酒


見た目は普通で、たぬき、きつね、月見の具材と申し訳程度に薬味が乗せてあるだけ。

だが、天かすと油揚げと生卵が一杯のどんぶりに集合していると、まるでたぬきときつねが仲良く満月を眺めているようで、幾分ハートウォーミングではなかろうか。





では、いただきます。

からの、うおおおぉぉぉ!
とぅるんってしてるっ!!
とぅるんってっ!!!


舌触りや喉越しが官能的!
出汁の効いた甘めのつゆと卵が麺に絡んで、いつまでもすすっていたくなる!!
これはうんまぁい!!!
といった具合。


コシの強いうどんも美味しいが、柔らかくプルプルしたうどんはまた別の美味だ。
別の食べ物と言っていい。


突然だが、どうしても言わせてほしい。
うどんは飲み物である。




続いて甘酒。

こちらは米本来の甘みが凝縮された、お婆ちゃん家で飲む甘酒といった感じ。
素朴だが童心に帰るようなホッとする味。
砂糖も加えずにここまで甘くなるなんて、麹菌ってスゴいんだぁ。


ということで、年の瀬は久しぶりに、お婆ちゃんに会いに行こう。


あとがき


秩父華厳の滝は、これぞ秘境と言うべき名瀑である。

駐車場から10分で行ける気軽さを持ち合わせながら、人もまばらで思う存分マイナスイオンを浴びることができる。
滝口のお不動さんはウケるうえに、『秩父華厳の滝茶屋』で食べるうどんは、とぅるんっとしていた。


もしも週末にふらっと癒しスポットへ行きたくなったら、秩父華厳の滝へ。
特に、普段は都会やベッドタウンで暮らしていて、人の多さに半ば嫌気が差しているような現代っ子は是非。



◇text:日下部貴士/A4studio


秩父華厳の滝INFO


■住所
埼玉県秩父郡皆野町上日野沢

■電話番号
0494-62-1230
(皆野町役場)

■営業時間
立ち入り自由

■定休日
無休

■料金
無料







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