2017.01.11

インスタに端を発する美しき秘境、「亀岩の洞窟」はだいぶ“もののけ姫”の世界観

◇新宿から東京湾アクアラインを使って約1時間半


さて、Instagram(インスタグラム)、通称インスタはご存知だろう。
若者を中心に人気を博す、写真・動画投稿に特化したSNSだ。

かく言う筆者も若者の筆頭株ということにしたいので、例に漏れずインスタに自ら撮影した写真をドヤ顔で投稿していて、これがキモチイイわけである。
インスタというのは、FacebookやTwitterといった今や遍く大衆化したSNSではなく、言わばモダンなヤツら、ファッショニスタたちが、キレイな画、オシャレな画、自己満足のカタマリを誇らしげに並べ立て、オシャレ感を競い合っているような場でもあり、そこに曲がりなりにも入り込めているというのが、もうキモチイイ。
フォロワーがいようといなかろうと、だ。
リアルなライフスタイルがオシャレであろうとなかろうと、だ。


そんな素晴らしきインスタ上で、一昨年ある1枚の写真が注目された。
そこには、まるでスタジオジブリが描く世界を切り取ったかのような、美しい自然風景が写されていたのだ。



それが、千葉県君津市にある「亀岩の洞窟」。

ということで今回は、なんちゃって秘境マニアである筆者が、本当にそこにジブリ感があるか確かめに行ってきた。

Hiho Hiho to カメイワノドウクツ


新宿から「亀岩の洞窟」までは、車で約1時間半のドライブ。
カーナビを使う場合は、洞窟がある公園「清水渓流広場」をゴールに設定するといい。

まず、初台南料金所から首都高中央環状線に乗って、大井JCTを中環大井南出口方面へ。
首都高湾岸線に入ったら、東京湾アクアラインの方へ進み、東京湾を横断しよう。
そうして千葉県に上陸したら、そのまま君津ICまで行き、県道92号線に乗り換え、房総スカイラインをズズイノズイ~と進み、片倉交差点を右折すれば目的地は間もなくだ。




なお、最近話題のスポットなので、近くまで行くと、急ごしらえの案内板が至る場所に設置してあるので迷うことはないだろう。

にしても、たった1枚の写真から爆発的に有名になるとは、PPAPしかり、このところのネットの影響力の凄まじさを感じずにはいられないが、というよりも世の中完全にどうかしちゃってる、割とイっちゃってると思わずにはいられないが、とにもかくにも、亀岩の洞窟を見物するためだけのツアーが組まれたりもしているらしい。



そんなこんなで無事、清水渓流広場に着いたので、早速歩いていこう。

清水渓流広場



清水渓流広場には、お目当ての「亀岩の洞窟」以外にも「幸運の鐘」や「農溝の滝」といった見所があるようで、だいたい15~20分くらいで全部回れるという。



ここであらかじめ亀岩の洞窟について概説すると、約350年前に水田耕作のために造られた人口洞窟で、中に亀に似た形をした岩があるため、そのまま“亀岩の洞窟”と呼ばれるようになった。
季節によっては陽が差し込み、むっちゃ幻想的な景観になるようだが、残念ながら冬場は陽が差し込まないので、普通に幻想的な景観が待っているという。
それでも多くの観光客がいて、駐車場はほぼ満車。
少し離れたところに2ヶ所、無料の駐車場があるが、そちらも相当な車が入っていた。



ちなみに、亀岩の洞窟を背に男女がハートマークを作って記念撮影というのが、なぜかお約束儀礼のようで、その名も「らぶりぃすぽっと」と、ラブリーなピンク色のフォントで大仰に紹介されていたりする。
結局のところは、昨今の秘境ブームにあやかりつつ、家と殻とネットに閉じこもりがちでロクに恋愛もしない現代の若者を励まそうという、ある種の切なさに溢れた狙いが、個人的には見え見えなのである。

らぶりぃすぽっと



とまぁ、嫉妬混じりのよく分からんことをブツクサ言っていてもどうしようもないので、とりあえず前へ進む。



途中の遊歩道には親切にも、洞窟までの距離を歩数で教えてくれている。
律儀にもハートマークで教えてくれている。

おそらく、歩数をカウントしながら歩くことによって、アベックに少しでも盛り上がってほしいという運営側の軽妙な計らいなのであろう。
共に数え、共に噛みしめ、共に人生を歩む、というわけだ。

あと400歩



そして、遊歩道の脇には様々な木々が植えられており、季節ごとにその表情を変えるらしい。
この日は冬なので、めぼしい花は咲いていないが、逆に花がない道を歩くと清々しい気持ちになって、これはこれでいいもんだ。




しばらく進むと、少し開けた場所に出る。

少し開けた場所



右手には「農溝の滝」、左手には「幸運の鐘」があり、この鐘は数年前に君津商工会議所の会頭により寄付されたもので、叩くと幸運になれるとかなれないとか。

幸運の鐘



そんな鐘のそばの手すりには、可愛らしい亀の置物があったりする。

ただ念のため言っておくと、ここに亀の神様が祀られているというわけではなく、シンプルに亀を模した岩があるだけだ。

亀を模した岩



そこからさらに階段を降りていくと、本命の「亀岩の洞窟」が見えてくる。


洞窟をしっかり正面から拝むには、川辺に降りて、濡れた岩肌を伝っていかなければならないので、ヒールなど滑りやすい靴を履いている人は、慎重に進まないと悲惨なことになるので気を付けなはれ。






では、ここまでそれなりに引っ張ってきたので、そろそろリアルジブリと評される景色をご覧いただこう。

亀岩の洞窟



おぉぉぉ!
分かりやすく、おぉぉぉ!

脳内で米良美一さんの美声が響き渡るではないかぁ!!
分かりやすく、米良さんの美声が響き渡る気配ではないかぁ!!



それは、まるで“もののけ姫”の世界に迷い込んだような美麗な風景で、劇中絵のよう。
水面に反射する洞窟もまた神秘性を増幅させ、じっと眺めていると洞窟の中に引きずり込まれそうな感覚に陥る。

おそらく数分間は無心でずっと眺めていられるレベルだが、こんな特等席を独占していては他の観光客や愛を深めにやってきたアベックを妨害することになってしまうので、名残惜しくもその場を去った。
(だが、名残り惜しさのあまり、その後引き返して、しばらく鎮座し、案の定、愛を深めにやってきたアベックを妨害することになった)


君津の本気を食す


また、清水渓流広場には、源泉かけ流しの「千寿の湯」という温泉があって、疲れた身を癒すこともできる。
だが今回は、ラブラブのアベックから言いようのない精神的疲労感は頂戴したものの、身体はさほど疲れていないので、このままランチを取ることに。



伺ったのは、君津の卵を作った料理が食べられるという『風鈴堂』。
というのも君津市は、卵の生産量が全国トップクラスの千葉県の中でも、特に卵の産地として有名なのだ。

風鈴堂



写真右にあるように、君津の本気をお見せします×3と、自信満々に来ているので早速入ってみた。




店内は落ち着いた雰囲気で、火にかけている鍋さえ除けば、インスタでも十分に画映えする。
ところで、以前行った秩父華厳の滝茶屋もそうだったが、最近は和紙製のランプシェードが流行っているのだろうか。

風鈴堂の店内



頼んだのは、1日20食限定の「和オムライス(単品税込950円、ドリンク、サラダ、スープセットで税込1,382円)」。

理由は、限定という文字にめっぽう弱いから。
なお、メニュー表によると、安西さんが育てた国産十穀米に、卵と和風あんかけソースをかけたものらしい。


そんなの想像しただけでヨダレが止まらんわけだが、安西さんが誰でどういう人なのかを真剣に思考すると、バランスが取れてヨダレは止まる。
みたいなことを頭の中でゴチャゴチャやりながら、料理が運ばれてくるのをしばし待つ。


和オムライス



はい、見るがいい!
この黄金に輝く珠玉の一皿!

トロットロの卵に、きのこ盛り沢山のあんがタップリとかけられ、刻んだシソの葉が彩りを加えている。
何よりも、食欲のそそり方が異常だ。



食べてみると思った以上に、きのこの旨味があんに溶け込んでおり、あんだけでもご飯数杯はいけてしまうほどだ。
これが旨味成分の相乗効果ってやつなのか。
卵はふわふわトロトロで主張は強すぎず弱すぎず、全体をまろやかにまとめてくれている感じで、この君津の卵を使った卵かけご飯はヤバウマだろうと確信。

あと、十穀米的なものを人生で初めて食べたが、白米とは違った食感と香りがしてなかなかいいもんですなぁ。




おう、どうだ、このレポ力。
世界の渡部さん、見ているか。
混雑し始めた店内で、料理の味を忘れ、自分に陶酔。


とりあえず、ひとりの若者をそんな風にさせる君津の本気はスゴいのである。


あとがき


数々のメディアで取り上げられたこともあってか、ここ1年で亀岩の洞窟への観光客はガンっと増えたようだ。

インスタの写真なんて当然加工されていて実際はたいしたことないんだろうが!幻滅パターンだろうが!と思われるのも無理ないが、少なくとも筆者はちゃんと“もののけ姫”の世界観をリアルに感じることができた。



ジブリ好きはもちろん、普段なかなか自然に触れられないアーバンなサラリーマンやOL、愛と希望に満ち溢れたアベックも、その幻想的で神秘的な洞窟に侵されてみなはれ。




◇text:日下部貴士/A4studio



亀岩の洞窟<清水渓流広場>INFO


■住所
千葉県君津市笹1954-17

■電話番号
0439-56-1325
(君津市経済部 観光課)

■営業時間
立ち入り自由

■定休日
無休

■料金
無料







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