ガッチガチでもない自動車コラム

万が一のためのドライブレコーダー ~交通事故の過失は証拠で決まる~

ドライブレコーダー

自動車事故を起こして相手に損害を負わせてしまった場合は賠償責任が発生する可能性があります。自動車事故にはいろいろな状況があり、その内容によって過失が有るか無いか、過失が有る場合は何割なのかということが問題になります。

自動車事故の加害者はさまざまな法的責任を負うことになります。その一つが民事上の責任です。基本的には民法上の不法行為責任を負うことになります。

<民法709条>
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

自動車保険では、他人の身体を傷つけた場合には対人賠償責任保険で、他人の物に損害を与えた場合には、対物賠償責任保険で補償されます。これらの損害賠償保険は、故意の場合を除いてこの民法709条を基本に補償するものです。よって自動車事故を起こしてしまった場合、まずは過失が有ったのか無かったのかが問われることになります。損害が発生しても、過失が無ければ不法行為責任を負う必要はなくなり、被害者は加害者に対して損害賠償を請求できません。過失の有無は損害賠償責任が有るのか無いのか?という分かれ道なのです。

民法の不法行為責任は、被害者が証明しなければならないのが原則です。人身事故の場合は民法より優先して自動車損害賠償保障法(自賠法)によって加害者が証明することになっていますが、物損事故では民法が適用されますので、被害者が立証しなければなりません。

実際の事故では事故状況で当事者の言い分がそれぞれ違うことが多々あります。極端な話、双方が青信号の交差点で出会い頭の事故が発生したというような話の食い違いさえあります。信号機の故障でもない限りあり得ない事故状況ですが、こういった話の食い違うケースはよくあるのです。自動車のスピード、走行状況、現場の状況、さまざまな状況証拠で実際の状況がどうだったのかが正確に再現できないと、過失の有無や割合が決められません。
このように当事者同士の言い分がまったく違うような場合、“真実はどうであったのかを知る証拠”が過失割合の決め手となるのは言うまでもありません。

その証拠を残せるかもしれないアイテムがドライブレコーダーです。運転中の状況を動画で記録するもので、走行映像記録を撮っているドライバーも増えています。タクシー会社や運送業者などをはじめ導入している企業も増えています。保険会社の事故処理の実務でも、ドライブレコーダーの映像記録が決め手になる事例も出ているそうです。事故を目撃した第3者がいれば、証言による証明ができる場合もありますが、目撃者がいるとは限りませんし、事故を目撃しても関わりたくないという人も多く、証言を得られないことがあるのでドライブレコーダーは強い味方になります。

先日、知人のHさんが道路左側にあるガソリンスタンドに入ろうとしたところ、スタンド内が混雑していたのでガソリンスタンドの従業員の誘導により、歩道に乗り上げて停止していました。そこに、歩道をバイクで走ってきた学生がHさんの自動車の左側面に衝突して転倒し、バイクは破損し学生はケガ、Hさんの自動車の左側面が損傷するという事故がありました。バイクの学生のケガは軽傷で済んだのが不幸中の幸いでしたが、バイクの保険会社からは、Hさんがガソリンスタンドに入る際の左折時の巻き込み事故という報告とのことで、事故状況の認識が互いにまったく違うものでした。

ガソリンスタンド
(写真は事故現場のガソリンスタンド入口)

Hさんの事故状況の主張は、スタンド従業員の誘導により歩道で停止していたが、歩道を走行してきたバイクがHさんの自動車の左側面に衝突したとのこと。一方、バイクの学生の主張は、歩道ではなく車道左側を走行中に、ガソリンスタンドに入るために左折してきたHさんの車両に接触したとのこと。

Hさんの主張バイクの学生の主張

ガソリンスタンドの従業員は関わりたくないらしく、証明してくれそうにありません。誘導していたということになればガソリンスタンドの責任も問われかねない状況です。
弁護士を入れても、結局は双方の話はどちらも立証できない状況となってしまいました。

このような事故の時に、ドライブレコーダーの記録があれば、衝突の瞬間は映っていなかったとしても、衝撃や衝突時の音などの記録状況から自分がどの位置で停止していたのかは分かりますので、自分の主張を立証することができたかもしれません。

結局この事故は、バイクの学生がケガを負ったので人身事故となり、知人は対人賠償責任があると判断されてしまいました。もし映像記録があって、Hさんが言う通りの状況であれば、バイクの学生の100%の過失事案となった可能性が高い事故です。証拠が無い以上、自賠法で守られている人身被害のあったバイクに有利に判断されてしまったようです。

万一の交通事故の加害者や被害者となった場合、保険は金銭的な備えになりますが、事故状況が立証できなければ、実際には無過失だとしても過失があると判断されてしまうこともあるのです。ドライブレコーダーは、安いものは数千円程度で購入できて自分で備えつけることができる装備です。また、損害保険会社がスマートフォン向けの無料アプリを提供しています。万一の事故の時の備えとして必需品と言えるでしょう。

記事を書いた人高根澤 茂
高根澤 茂損害保険プランナー(日本損害保険協会認定)
CFR®ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定)
大学卒業後、損害保険会社に15年間勤務し2002年に保険代理業兼ファイナンシャルプランナーとして独立。2011年震災を機に地震保険のセミナーを開催するなど、損害保険を専門とするFPとしてセミナーや執筆活動を展開中。またライフプランにおける住宅資金や教育資金計画、家計簿診断、保険を活用したリスク対策、交通事故や賠償問題の相談業務に従事。
楽天自動車保険一括見積もり スタート まとめて比較! 最短3分で簡単!

車検証・保険証券などを手許にご用意いただくと入力がスムーズです。

お見積もりはこちらから
はじめて見積もる方
一括見積もりスタート
過去にご利用履歴のある方
履歴から再見積もりスタート