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トップ 知って得する!自動車保険コラム 自動車保険の料率クラスとは?決め方や保険料との関係を解説

自動車保険の料率クラスとは?決め方や保険料との関係を解説

自動車保険の料率クラスとは?決め方や保険料との関係を解説

(公開日:2023年8月29日)

自動車保険の保険料を算出する要素のひとつに料率クラスという区分があります。自動車保険の保険料は補償内容や等級以外に料率クラスによっても異なり、料率クラスが低い車は保険料が安く、料率クラスが高い車は保険料が高くなる傾向にあります。
この記事では、保険料を左右する料率クラスの決まり方や料率クラスが高い車・低い車の特徴、料率クラスを調べる方法を解説するので参考にしてください。

INDEX

自動車保険の料率クラスとは

自動車保険の料率クラスとは

料率クラスとは、自動車保険の保険料を計算する要素のひとつで、車の型式ごとにリスクをクラス分けしたものです。
車の型式とは、自動車の車種(構造・装置・性能)を分類するためのもので、車検証の型式欄に記載されているアルファベットや数字のうち、ハイフンよりも右側の部分をさします。

自動車検査証

自動車検査証

出典:国土交通省「電子車検証 特設サイト」をもとに当社作成

料率クラスは、車の型式ごとのリスクに応じた保険料負担の公平化を図ることを目的として、損害保険料率算出機構が毎年算出しています。車の型式ごとに過去の事故状況や保険金の支払い実績など、さまざまな条件をもとに設定されており、料率クラスの数字が大きくなるほど保険料が高くなります※1

※1 損害保険料率算出機構が提示している料率クラスは参考純率であり、各保険会社の判断によって使用されます。

料率クラスが適用されている車両

料率クラスが適用されているのは、自家用乗用車(普通・小型)と自家用軽四輪乗用車(軽自動車)です。自家用乗用車(普通・小型)と自家用軽四輪乗用車は自動車全体のなかでも保有台数が多く、形状や性能が豊富なため、車の型式別に料率クラスを設定し、保険料に反映させて保険料負担の公平性を保っています。

一方、自家用軽四輪貨物車や自家用小型貨物車などには型式別の料率クラスは適用されていません。

料率クラスが適用される車

料率クラスが適用される車

料率クラスの決め方

自動車保険は、以下のように大きく対人賠償責任保険・対物賠償責任保険・傷害(人身傷害補償保険・搭乗者傷害保険)・車両保険の4つに分類されます。料率クラスもこの4つの自動車保険ごとに決められています。

各自動車保険の特徴
特徴
対人賠償責任保険 自動車事故で他人が亡くなったり、ケガをしたりして損害賠償責任が生じた場合、自賠責保険の補償額を超える部分に対して保険金が支払われる
対物賠償責任保険 自動車事故で、他人の自動車・建物などの財物に損害を与え、損害賠償責任を負った場合に保険金が支払われる
人身傷害保険
・搭乗者傷害保険
  • ●人身傷害は自動車事故で、ご自身や他人が亡くなったり、ケガをしたときに、契約者の過失部分を含めて、契約中の損害保険会社から損害額の全額が保険金額の範囲内で支払われる
  • ●搭乗者傷害は、自動車に搭乗中の運転者や同乗者などが事故によって亡くなったり、ケガを負ったときに保険金が支払われる
車両保険 契約者が所有する自動車が偶然な事故による損害を受けた場合に保険金が支払われる。車両保険の料率クラスは、車両料率クラスと呼ばれることもある

上述の4項目において、自家用乗用車(普通・小型)は17区分(クラス1~17)、自家用軽四輪乗用車は3区分(クラス1~3)に分けられています。

なお、2025年1月1日以降、自家用軽四輪乗用車の料率は、3区分(クラス1~3)から7区分(クラス1~7)に改定されます※1。自家用軽四輪乗用車の普及拡大によりユーザー層や安全性能が多様化し、型式別のリスク実態にも差がみられるようになったことが料率改定の背景です。

また、各項目のクラスは、型式ごとに車の事故実績によって決められます。事故の実績が少ない型式であれば、保険金支払いの実績も少なくなるため、クラスの数字は小さくなり保険料が下がる一方、事故の実績が多い型式ほどクラスの数字は大きくなり、保険料も高くなります。

一般的に過去の事故状況や、保険金支払い実績のデータが蓄積されていない発売後3年以内の型式においては、型式別料率クラスのしくみを補う区分として、「衝突被害軽減ブレーキ(AEB)※2の装着の有無」と「初度登録(検査)後経過期間」を保険料に反映しています。

なお、発売後3年以内の型式は、衝突被害軽減ブレーキ(AEB)によるリスク軽減効果を料率クラスで評価できていない可能性があるため、AEB装置の有無で保険料が割引きされるしくみとなっています。

また、車両保険以外は、初度登録(検査)後から25ヵ月以内、25ヵ月超49ヵ月以内、49ヵ月超の3つに区分されています。経過期間が短いほどリスクが低いとされているため、経過期間が長くなるにつれてリスクが高いとみなされ、保険料も高くなりやすくなります。

初年度登録から25ヵ月以内と49ヵ月超の保険料率には、約1.08倍の差があります。たとえば、初度登録後25ヵ月以内の保険料が10,000円だった場合、49ヵ月超では約10,800円です。

※1 参考:損害保険料率算出機構「自動車保険参考純率改定のご案内」2023年6月21日金融庁長官への届出(2023年6月28日適合性審査結果通知受領)

※2 衝突被害軽減ブレーキ(AEB)とは、自動車と前方障害物との衝突を回避したり、衝突速度を下げたりするための自動ブレーキ装置のことです。

料率クラスによる保険料の違い

料率クラスが1段階上がると保険料率は約1.1倍になります。自家用乗用車(普通・小型)の場合、クラス1とクラス17の保険料率には約4.3倍の差があるため、たとえば、クラス1の保険料が1万円だった場合、クラス17だと約4万3,000円の保険料がかかります。

自家用普通・小型自動車の場合の料率クラス

自家用普通・小型自動車の場合の料率クラス

出典:損害保険料率算出機構「自動車保険の概況 2023年度版(2024年4月発行)」

また、自家用軽四輪乗用車の場合、料率改定前の2024年12月31日まではクラス1とクラス3の保険料率には約1.2倍、料率改定後の2025年1月1日以降ではクラス1とクラス7の保険料率には約1.7倍の差が生じます。

クラス1の保険料が1万円と仮定すると、クラス3では約1万2,000円かかり、2025年1月1日以降のクラス7では約1万7,000円になります。

自家用軽四輪乗用車の場合の料率クラス

自家用軽四輪乗用車の場合の料率クラス

出典:損害保険料率算出機構「自動車保険参考純率改定のご案内」2023年6月21日金融庁長官への届出(2023年6月28日適合性審査結果通知受領)

料率クラスは、損害保険料算出機構が事故状況を踏まえて年に1回見直しているため、特定の型式で事故が増加すると、ご自身が事故を起こしていなくても保険料が上がる場合があるため注意が必要です。

料率クラスが高い車の特徴

料率クラスが高い車の特徴

料率クラスが高い車は、修理費や盗難リスクが高いほか、高齢者や若年層に人気があるといった特徴があります。また、料率クラスが高い車は保険金の支払い実績が多いため、保険料が高くなる傾向があります。

ここからは、料率クラスが高い車の特徴を解説します。

修理費が高くなりやすい車

修理費が高くなりやすい車は、とくに車両保険の料率クラスが高くなりやすい傾向があります。

たとえば、「高額な部品を使用しているスポーツカー」「修理に必要な部品を海外から取り寄せなければならない輸入車」などは、部品の輸入や修理に高い技術を要するため、修理費用が高くなってしまいます。

これらの修理費を車両保険でまかなう場合、保険会社が支払う保険金もほかの車両と比べて高額になるため、料率クラスが高くなりやすいです。

盗難のリスクが高い車

とくに盗難の対象となりやすい高級車・スポーツカーは、車両保険の料率クラスが高くなる傾向があります。中古車市場で売却額が高くなる車は、転売目的で盗難されるリスクが高いためです。

たとえば、警察庁が公表している2023年の「自動車盗難等の発生状況について(車名別盗難台数の状況)」では、アルファード、ランドクルーザー、プリウス、レクサスLX、ハイエースなどの被害が多数報告されています。

車が盗難にあった場合、原則として車両保険に加入していれば保険金が支払われますが、盗難リスクが高い車ほど保険会社が保険金を支払う可能性も大きくなるため、料率クラスが高くなりやすい傾向があります。

高齢者や若年層に人気がある車

運転者によって車の事故リスクが異なるため、料率クラスにはユーザー層も反映されています。

そのため、ほかの年齢層に比べて交通事故に遭うリスクが高い高齢者や若年層に人気のある車は、料率クラスが高くなる傾向があります。

料率クラスが低い車の特徴

料率クラスが低い車の特徴

料率クラスが低い車は、販売台数が多い、安全性が高い、販売から時間が経過しているといった特徴があります。また、料率クラスが低い車は保険金の支払い実績が少なく、保険料が安くなる傾向があります。

ここからは、料率クラスが低い車のおもな特徴を解説します。

安全性が高い車

安全性が高い車は未然に事故の発生を防げるため、型式別料率クラスは低い傾向があります。

たとえば、装置衝突被害軽減ブレーキ(AEB)が搭載されている車は、前方車両や歩行者を認識すると自動的に減速して停止するため、衝突事故の回避や衝突被害を軽減できます。

安全性能評価が高い車を選ぶためには、国土交通省およびナスバ(独立行政法人自動車事故対策機構)が公表している自動車安全性能評価結果を参考にすると良いでしょう。

販売から時間が経過している車

発売されたばかりの車の型式は評価のデータがないため、新車価格、排気量などにもとづいて料率クラスが決定されます。

リスクが低い場合は度合いにより「-1」「-2」、リスクが高い場合は「+1」「+2」とクラスが移動します。ただし、発売から3年が経過してリスクが低いとみなされた型式は、早期にリスクに見合った保険料にするため、度合いによって「-3」「-4」と大きく移動し、型式別料率クラスが低くなる場合があります。※3

たとえば、料率クラスの見直し前がクラス9だった場合、発売から3年経過したうえで、リスクが低ければ、クラス1~8のいずれかに移動する可能性があります。

※3 自家用軽四輪乗用車が「-3」や「-4」などに移動するのは2025年1月以降(7クラスに変更後)となります。

料率クラスを調べる方法

料率クラスを調べる方法

料率クラスは、損害保険料率算出機構の「型式別料率クラス検索※4」で調べることができます。ご自身の車の型式は車検証で確認できますが、型式がわからない場合はメーカー名や車名を選択して検索することもできます。

また、検索結果から前方障害物との衝突回避や衝突速度低下のための自動ブレーキ装置の有無がわかれば、ご自身の車が衝突被害軽減ブレーキ(AEB)の装着による保険料の割引き適用対象であるのかどうかも確認ができます。

なお、料率クラスは保険証券に記載されている場合もあるため、保険証券もあわせて確認してみましょう。

※4 損害保険料率算出機構「型式別料率クラス検索」

まとめ

自動車保険の保険料は、補償内容や等級以外に料率クラスによっても異なります。料率クラスは、損害保険料算出機構が車の事故発生状況やユーザー層などをもとに毎年算出しています。

料率クラスが低い車は保険料が安く、料率クラスが高い車は保険料が高くなる傾向があります。ただし、料率クラスは損害保険料算出機構が事故状況を踏まえて年に1回見直しているため、特定の型式で事故が増加すると、ご自身が事故を起こしていなくても保険料が上がる場合があるため注意が必要です。

料率クラスはご自身で変えることはできませんが、現在加入している自動車保険を見直したり新しい自動車保険に切り替えたりすることで、保険料自体をおさえることができるかもしれません。
自動車保険の一括見積もりサイトを利用して、希望に沿った自動車保険料や補償内容を探してみましょう。

監修者情報

ファイナンシャルプランナー 新井智美先生

監修 新井智美(ファイナンシャルプランナー)

ファイナンシャルプランナー。2006年11月 卓越した専門性が求められる世界共通水準のFP資格であるCFP認定※を受けると同時に、国家資格であるファイナンシャル・プランニング技能士1級を取得。2017年10月 独立。主に個人を相手にお金に関する相談及び提案設計業務を行う。個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン住宅購入のアドバイス)の他、資産運用など上記内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、執筆・監修業も手掛ける。これまでの執筆・監修実績は3,000本以上。

※CFP®、CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®、およびサーティファイド ファイナンシャル プランナー®は、米国外においてはFinancial Planning Standards Board Ltd.(FPSB)の登録商標で、FPSBとのライセンス契約の下に、日本国内においてはNPO法人日本FP協会が商標の使用を認めています。

※このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。

※税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。

(掲載開始日:2024年8月29日)

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