(最終更新日:2021年8月25日)
ゴールド免許は一定期間、無事故・無違反のいわゆる優良運転者に交付されますが、保有していると自動車免許の更新費用が安くなったり、免許の有効期間が長くなったりなど様々なメリットがあります。自動車保険においても「ゴールド免許割引」が適用されて保険料が安くなるという場合があります。この記事では、ゴールド免許割引とは何か、ゴールド免許割引の適用条件、グリーンやブルーの免許証との違い、などについて紹介します。また、保険期間の途中で色が変わった場合、のゴールド免許割引の適用などについてもわかりやすく解説します。
多くの保険会社には、ゴールド免許を保有していると、自動車保険の保険料を割引する「ゴールド免許割引制度」があります。ゴールド免許割引制度は、自動車保険の始期日時点で記名被保険者の免許証がゴールド免許の場合に割引が適用される制度です。
割引制度の説明に入る前に、そもそも、ゴールド免許はどのような人に交付されるのかご存じでしょうか。ゴールド免許は、一定期間、無事故・無違反を続けている優良運転者に交付されます。ゴールド免許であると多くの保険会社で保険料が割り引かれる理由は、自動車保険の保険料が事故を起こすリスクに応じて決められているためです。つまり「ゴールド免許を取得している人は事故を起こすリスクが低い」と考えられるため保険料が安くなるのです。
ゴールド免許割引の制度を設けている保険会社で契約する場合、免許証の帯の色で保険料は異なります。免許証の帯の色には、優良運転者が保有する「ゴールド」、一般運転者が保有する「ブルー」と「グリーン」があります。免許証の色は、過去一定期間の違反や事故の状況などで決まります。グリーン免許・ブルー免許・ゴールド免許の主な取得条件は以下の通りです。
初めて運転免許を取得した際に交付されるのがグリーン免許です。免許証の交付から2年以上3年以内の誕生日後1ヵ月までが有効期限となっています。更新手続きを済ませるとブルー免許になります(有効期限を迎える前に上位免許(普通自動車免許に対し中型免許など)を取得した場合もブルー免許が交付されます)。運転免許証を新規取得した場合、ゴールド免許になるには最短で約5年かかります(具体的には、誕生日直前に運転免許証を取得した場合は最短約5年、誕生日直後に運転免許証を取得した場合は約6年となります)。
なお、初回更新者・一般運転者・違反運転者に交付される免許証がブルー免許です。初回更新者とは、更新までグリーン免許を保有していた方を指します。初回更新者以外は、一定期間内の違反の内容や人身事故の有無で一般運転者と違反運転者に分かれます。初回更新者と違反運転者の有効期限は3年、一般運転者の有効期限は5年です。さらに、継続して5年以上免許証を保有しており、その間に違反や事故を起こしていない方に交付される免許証がゴールド免許です。免許証の有効期限記載欄の帯色がブルーからゴールドに切り替えられ、条件欄に「優良」と記載されます。有効期限は、基本的に5年です。ゴールド免許保有期間中に違反などを犯すと、次の更新でブルー免許に切り替えられます。
ゴールド免許割引が適用される場合、具体的には割引率はどのくらいなのでしょうか?割引率は一律に決められているわけではなく、保険会社によって異なります。そのため、保険料の割引率の違いを知るためには、ゴールド免許割引を適用した状態で各保険会社に見積もりをとってみる必要があります。手軽に比較するために、一括見積もりなどを利用するのも方法の1つです。
警視庁「運転免許統計(令和2年版)」によると、令和2年に更新時講習の受講者は約1,531万人で、そのうち、優良運転者講習を受けた人は938万人でした。ざっくり言えば、ゴールド免許保有者の全体に占める割合は「約6割」のイメージです。思ったより多いと思う人もいるかもしれませんが、ペーパードライバーの割合も大きいことは理解しておきたいところです。なお、自動車保険のゴールド免許の割引率は保険会社によって異なり、7%~20%※など各社で差があります。非公開のところもあるため、保険見積もりサイトなどを利用して複数社で試算してみるのがおすすめです。
さて、ゴールド免許について、自動車保険の割引が受けられること以外のメリットについて触れておきましょう。まず、免許の有効期間が5年で他の色の免許の3年よりも長いことが挙げられます。また、更新時の講習の時間が、グリーン免許では2時間、ブルー免許では1時間であるのに対し、ゴールド免許は30分。更新時の費用も他の色の免許よりも安くて済みます。また、ブルーやグリーン免許の場合は運転免許センターや運転免許試験場でしか更新手続きができませんが、ゴールド免許であれば免許更新の通知はがきに記載の指定警察署でも可能です。
なお、ゴールド免許の人が発行できる「SDカード」には、マイカーローンの金利優遇のほか、ガソリン代や食事代、宿泊代などの割引など、様々な特典があります。
※運転者の範囲・年齢条件に応じた割引率などの場合があります。詳しくは各保険会社にお問い合わせください。
※適用条件は保険会社で異なることがあります。詳しい条件は保険会社でご確認ください。
なお、記名被保険者を変更する場合は、新たな記名被保険者の免許証の色でゴールド免許割引の適用可否を判断します。判断するタイミングは、記名被保険者を変更する日です。新たな記名被保険者の免許証の色がブルーの場合、ゴールド免許割引を適用できなくなるので保険料は上がります。
保険の補償が開始する時点でゴールド免許であることが適用の条件になります。記名被保険者の免許証の色は、保険始期日時点で判断します。「保険始期日」とは、保険契約の補償が開始する日のことです。この時点で、記名被保険者の免許証がゴールド免許であれば、ゴールド免許割引が適用されます。
ただし、以下のように、保険の始期日時点でゴールド免許を保有していなくてもゴールド免許割引を適用できる場合もあります。
保険の始期日時点でゴールド免許でなくても割引適用される場合の例 |
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(1)免許証の更新期間内に保険始期日がある場合 |
免許証の更新期間内(更新年度における誕生日前後1カ月以内)に保険始期日がある場合には、例外的に、ゴールド免許割引が適用されます。たとえば、次の更新でゴールド免許を取得予定(現時点ではブルー免許)の方が、免許証の更新期間内に自動車保険の始期日を迎える場合は、ゴールド免許割引が適用されます。 |
(2)更新前あるいは更新後の免許証がゴールド免許である場合 |
(1)と同じく、次の更新でブルー免許を取得予定(現時点ではゴールド免許)の方が、免許証の更新期間内に自動車保険の始期日を迎える場合は、ゴールド免許割引が適用されます。なお、更新前・更新後の免許証の色は、運転免許証更新ハガキで確認できます。 |
※適用条件は保険会社で異なることがあります。詳しい条件は保険会社でご確認ください。
ゴールド免許を保有していないにもかかわらず虚偽の申告をして割引を受けようとした場合はどうなるのでしょうか。ゴールド免許割引の適用は保険始期日における免許証の色で判断するため、保険期間の途中で運転免許証の色がゴールドからブルーに変わった場合は、虚偽の申請をしたことにはなりませんので、保険会社への連絡も不要です。ただし、免許証の色が変わったタイミングが、保険申込み後で保険始期日の間だった場合には、保険会社に連絡する必要があります。
実際には免許証の色がグリーンやブルーであるのにも関わらず、ゴールドだと虚偽の申告をしていたことが明らかになった場合は、悪質の度合いなどにより、保険料の差額を徴収されるだけで済む場合もあれば、保険会社から契約を解除される場合があります。事故時などに発覚した場合は、虚偽の告知をしたとして告知義務違反として保険金の支払いを拒否されたり、減額されることがあります。虚偽の申告をすることは、保険会社をだます詐欺行為を働くのと同じこと。出来心は禁物です。
保険期間中に免許更新を行いゴールド免許に変わっても、ゴールド免許割引を受けるために、保険会社等への連絡や特別な手続きは必要ありません。一般的には、次回の契約更新時に申告をする必要があります。具体的には以下の通りです。
前述のように、ゴールド免許割引の適用可否は、保険始期日における免許証の色で判断します。保険契約時にブルー免許であり、契約期間中にゴールド免許に変わっても、ゴールド免許割引を適用することはできません。
一方、保険期間中に交通違反を起こし、ゴールド免許からブルー免許に変わった場合はどうなるのでしょうか?結論としては、ブルー免許に変わった直後の契約更新時までは適用されていたゴールド免許割引が解除されることはありません。ゴールド免許保有期間中に違反などを犯し、ブルー免許となった場合、次の契約更新でゴールド免許割引が適用されなくなります。
保険期間の途中で免許証の色がブルーからゴールドに変わったとしても、ゴールド免許割引の恩恵が受けられるのは、更新後の次の契約の保険料からです。とはいえ、ゴールド免許の割引率は、高い保険会社では20%にも及びます。保険期間の途中でのゴールド免許取得で保険料割引をすぐに受けたい場合は、打つ手がないわけではありません。
具体的には、現在の自動車保険をいったん解約して「中途更改」という手続きをすれば、すぐにゴールド免許割引の適用を受けることは可能です。中途更改は、現在の自動車保険の満期を待たずに保険契約を解約し、他社へ切り替えたり、同じ保険会社で新たに契約をかけ直すことを言います。現在の契約を解約する手続きと並行して、解約日同日を保険開始日とした新たな契約を結ぶことで、今の契約での等級をそのまま引き継ぐことができます。ただし、中途更改の場合には等級が上がるタイミングが新しい保険会社の契約開始日から1年後となるため、満期を迎えて他の保険会社に乗り換えるよりも、等級の上がるタイミングが遅くなってしまいます。また、中途更改の手続きには手間もかかるため、実際に中途更改をするかどうかは慎重に検討しましょう。
なお、保険始期日が免許の更新期間に含まれていて、免許更新前後のいずれかがゴールド免許である場合は、ゴールド免許割引を適用することが可能です。ゴールド免許割引の適用のチャンスを逃さないように、免許証の更新タイミングをしっかり見極めてみてください。
「ゴールド免許」は、継続して5年以上免許証を保有しており、その間に違反や事故を起こしていない方に交付されます。ゴールド免許を保有していると、自動車免許の更新費用が安い、免許の有効期間が長いなど様々なメリットがありますが、自動車保険においても「ゴールド免許割引」が適用されて保険料が安くなるというメリットがあります。自動車保険のゴールド免許割引が適用される要件などを確認し、割引制度を上手に活用しましょう。 なお、具体的な割引の内容は保険会社によって異なりますので、ゴールド免許割引を適用した状態で各保険会社に見積もりをとってみるとよいでしょう。一括見積もりなどを利用すると手軽に比較することができます。
慶応義塾大学にて保険学を専攻。損害保険会社・生命保険会社勤務を経て1998年FPとして独立、現在に至る。今は個人のコンサルティングを主軸に、講演、執筆を行う。主な保険分野の著書に『「保険に入ろうかな」と思ったときにまず読む本』『知らないと損をする!間違えない保険選びのツボ』日本経済新聞出版社、『1時間でわかる やれば得する! 保険の見直し100の鉄則』技術評論社、『世界一シンプルな保険選び』日本文芸社などがある。
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