2016.03.11

【マ、マイナス金利?】預けたお金返して…金利が付かないどころか取られてる?!

んなアホな…“金利”の概念が覆ってしまいますよね。


こんにちは。
こちらINLIFEにおいて自身初の2週連続の登場となります、経済何でも伝道師、ピタゴラです。


最近ナチュラルハイで気合い入ってるんですわ~、めっちゃイイことあって筆がノってるんですわ~ということではなくてですね、“経済何でも伝道師”とか言っときながら、コレに触れへんって、ちょっとお話にならへんのちゃいます?といった具合で、五月雨式に出て参りました。


という訳で、今回のお話は、皆さんがそのワードを聞いた瞬間、おそらく『もう世の中、入り組みすぎですってぇ。』と顔を引きつらせたであろうこと請け合いの「マイナス金利」についてです。

マイナス金利とは?


早速、マイナス金利ってどういうこと?から入っていきます。


「マイナス金利」というのは、文字通り、金利がマイナスになるということなのですが(は?と思われるかもしれませんが、金利が-5%みたいなことになるということです)、経済の世界では、主に「マイナス金利政策<Negative Interest Rate Policy 略してNIRP>」を指して言うことが多いです。

マイナス金利政策というのは、平たく、国の中央銀行(日本の場合は日銀)が政策金利を0%よりも低い水準にすることで、民間銀行が中央銀行に預け入れるお金に付く金利をマイナスにするという金融政策です。
そうすると、民間銀行は中央銀行にお金を預けると、逆に金利を支払う必要が出てくるので、いやいや、そんなんあり得へん!となって、中央銀行にお金を入れるのではなく、民間企業への融資や有価証券の購入、外部投資に資金を振り向けることになりますよね。
そして結果的には、お金が実体経済で回遊しやすくなる訳です。
なお、すでにヨーロッパでは、スイスやデンマークの中央銀行や、ヨーロッパ中央銀行(ECB)がマイナス金利政策を実行しています。



……ん?ちょっと何言ってるか分からん!となるかもしれないので、もう少し普段の生活場面に寄せて考えてみます。



私たち一般生活者にとっての身近な‟金利‟というのは、銀行に預けている定期預金や普通預金などの利息ですよね。
これまで日本は貯金大国だと散々言われてきましたが、皆が当たり前のように貯金を行うのは、利息が貰えるからなんですね。
要するに、なぜお金をわざわざ銀行などに預ける文化があるのかというと、お金を家のどこかに置いたり、金庫に入れておいたり(いわゆるタンス預金)というのが、物理的に面倒くさいからというのもあるのですが、それに加えて、お金を銀行などに預ければ、預けた会社側で安全に管理してくれるし、しかも、預けた分の数%(実際、数%も無い訳ですが)を『お金を預けてくれて、貸してくれてありがとさん♪』というテイで、御礼さえ受け取ることができるし、じゃあお金をそっちに置いておこう!ていうか、置いておかない理由なんてありゃしない!という構図になっている訳です。


そして、この構図は、中央銀行と民間銀行との間のやり取りでも当てはまります。


ところがどっこい、金利がマイナス、つまり逆になる訳ですから、お金を預けると、その分の利息を預けた側が支払わないといけないという、ごっつい入り組んだことになってきてしまいますね。
これまでお金を貸す側が金利を受け取っていたのに、逆に金利を取られるようになって、お金を借りる側(→債務者、ローン利用者)が金利を貰えるという、ごっつい奇妙な構造になってくる訳ですよね。


ここからが肝心です。
すると、どうなるでしょうか。
当然ながら、今まで銀行に預けていたお金を引き出したり、これから懐に入ってくる身銭は銀行に預けるのではなく、有価証券を購入して運用するなり、ローンを積極的に組む方向に動いていきますよね。


この発想がミソなので、しばらく覚えておいていただければと思います。


そして、実地のマイナス金利政策へと話を戻しますが、この度、1月下旬の日銀政策決定会合にて決められた「マイナス金利政策」というのは、日本銀行と各金融機関との間のお金の貸し借りにおいて発生する金利を、それまでのゼロ金利どころか、もうマイナスまで振り切っちゃいますよ~というもので、各金融機関は日本銀行に開設している口座にお金を預けているのですが、これに対して、マイナス金利(⇒-0.1%)が適用されるということです。

※※※
ですので、私たちが普段利用している銀行の預金金利がいきなりマイナスになるということではありません。
ただし、改めて意識しておいていただきたいのですが、各金融機関が日銀に預けているお金というのは、元々は企業や消費者の預金から来ていると言って相違ないので、関係ないかと言うと全然そうではありません。



そうするとですね、前述の「覚えておいて」のところと同様の動きが、各金融機関で起こってくる訳ですね。
日銀にお金を預けると、金利が付くどころか支払わなくてはならないので、であれば、日銀にお金を置いておくよりも、企業などに貸し出して手数料や金利収入で儲けたり、他の投資に回そうということになります



したがって、今回の日銀によるマイナス金利政策の目的というのは、各金融機関が蓄えているお金をなるべく市場に出回らせて、民間企業の設備投資や従業員の賃上げなどを後押しすることに繋げ、景気を刺激しようというところにあります
その先には、アベノミクスで掲げる主目標、物価上昇率2%に近づけていきたいという意向も垣間見えてきますね。


総じて、マイナス金利政策を一言で表すと、《半ば力技的な金融緩和策》ということでして、実のところ各方面から、そんな力技じみた政策は長くは続かないだろうと言われているところでもあります。



ちなみに、日本以外はどんな感じなのかも合わせて確認しておきますが、アメリカでは、2015年12月中旬に、アメリカの中央銀行にあたるFRB<連邦準備制度理事会>が政策金利の引き上げを決定したことが結構話題になりましたね。
これは、リーマンショック以降ずっと長引いていた景気後退ムードを打ち破る一手だという見方が強いのですが、マイナス金利政策とは正反対のベクトルで、市場からお金を引き上げて、景気にブレーキをかけるのが狙いです。
言ってしまえば、ここ最近のアメリカは日本と違って、景気は良い感じに来てるよね~的な雰囲気だということを示しています。

ヨーロッパはどうかというと、最初の方でも述べましたが、各中央銀行がマイナス金利政策を導入しているように、日本同様、基本的には金融緩和政策を続けている状態です。
言ってしまえば、ここ最近のヨーロッパは日本と同じく、景気があんまり良くないよね~的な雰囲気だということですね。



以上、マイナス金利の概要です。


さて、じゃあ銀行はこれからどうする?


ここが最大のトピックとして連日メディアを賑わせている内容なのですが、マイナス金利政策の施行によって、民間銀行はマイナス金利への対策を講じなければならず、これまで以上に外へ外へと意識を振り向けて、経営していかなければならない状況に半強制的に追いやられることになる訳ですね。

そして実際、マイナス金利発表以降、すでに各民間銀行の株価に影響が出ていてですね、個人投資家をはじめ、世間の銀行に対する見方は厳しくなってきています。


なにしろ銀行サイドからすると、これまで日銀に預けていたお金で何もせずとも利益を得ていた部分も大きかったのに、今度は逆に年率0.1%を支払うことになる訳ですから、肝を潰すような状況であることは間違いありません。
例えば、1,000億円を日銀に預金した場合、年間1億円の損失が出ることになります。
この額が大きいか小さいかの判断は難しいかもしれませんが、3大メガバンクの、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3行を合わせると、日銀への預け金総額は100兆円を超えるほどになっていますので、仮に今後100兆円を日銀に預けると、1,000億円取られることになる訳で、さすがにこの規模感になると、強烈なインパクトを感じられますよね。(※過去に預けた分にはマイナス金利は適用されません)

中でも何より、キラーコンテンツやドル箱事業を持っていない、比較的立場の弱いビジネス業態の銀行の場合は特に、何もしていないのに自然と勝手にマイナス計上といった事態は絶対に避けなければなりません。
そうなってくると、もうこれ以上は日銀に預金はできないということになり、取るべき選択肢は、預金(※再度言いますが、私たちのお金を集めたものです)を外に振り向けて、新機軸でもって新たな収益源を模索し、イノベーションを起こすような経営努力をしていかなければならないということになってきます。


なお、現段階では、普段から改革への動きが遅いと言われる銀行業界に対して、世間は『厳しいんじゃないか、しばらくは明らかに減益だろう、戻ってこないんじゃないか』という読みをくだし、期待値が下がり基調なので、株価が大きく値を下げているということになります。


最後に

MOVIN'


マイナス金利の導入を受けて、日本がこれから具体的にどういう経済環境になるか、真にデフレを脱却し、実質的な物価もちゃんと上昇し、全体として好況に移っていくかといったところの予想は、様々な係数が絡まりあっていることもあって、実際のところ難しいです。

とりあえずは冷静に様子を見ていくことも賢明で、というのも、お金を借りる人がお金を貰える、お金を借りれば借りるほどグロスで見たら得をする、そんな誰もが違和感を覚える現象は、決して長くは続かないというのが通常感覚ですからね。


だから、マイナス金利政策というのは、“非伝統的金融政策”とも表現されています。
政策自体が正しいか正しくないかというよりは、これまでそういう政策はやってこなかったので良し悪しの分別がしづらいという意味では、伝統に背く形で、ある種の“禁じ手”と言いますか“奥義”を発動したのだ、というイメージを持っておいていいと思います。


なお、こういった金融経済について細かく掘り下げていくと、どこかで訳が分からなくなったりすることもあるのですが、せめて直観でなんかオカシイと思った事象に対しては鋭い眼光を向けてみると、実生活でも役立つ知恵へと繋がっていきますので、難解でも踏ん張ってドロップアウトしないようにしましょう。


ということで、こちらも頭の発熱量がスゴイので、今回はここらあたりで失礼します。






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