2015.09.25

『どこかで見た気が聞いた気が…』そんな経験あるよね?「著作権」を復習しよう。


こんにちは。
著作権の伝道師ピタゴラです。

この度、2020年開催予定の東京オリンピックロゴにおいて、何かと世間を賑わせているこのトピックですが、一体何をそんなに揉めているのでしょうか?

そうです。
皆さんには知る権利があります。
そして、知るためには物事の基本を押さえなければなりません。

まず、「知的財産権」を理解しよう。

「著作権」を見ていく前に、その大元である知的財産権という概念を押さえる必要があります。

「著作権」は、知的財産権の1つなのです。
そして、この後「著作権」と一緒に出てくるのが「商標権」なので、それも示しておきます。


【知的財産権】

産業財産権
・特許権
・意匠権
・商標権 ← ここ
・実用新案権

著作権ここ
・著作権
・著作隣接権

その他の権利・該当物
・肖像権
・商号権
・インターネットのドメイン名
・著名標識
etc


それぞれの細かい記述は割愛しますが、これら全てが知的財産権として法律によって保護されている訳です。

「著作権」って何?どんな種類がある?

著作権とは、知的財産権の1つで、思想や感情のあらゆる創作表現を保護するものであり、その支分権として、複製権、上演権、演奏権、上映権、公衆送信権、口述権、展示権、頒布権、譲渡権、貸与権、翻訳権、翻案権があります。

平たく言うと、
『この世で生み出されたものは全て、それを生み出した人間に帰属していますよ。それを自由に広めることができるのも、その人間だけですよ。』
ということですね。


そして、著作権は、以下2種類の権利で構成されます。

(1)人格的権利
(2)財産的権利


(1)
「人格的権利」は、著作者だけが保有する権利であり、他人に譲ったり、相続したりできません。
ただし、著作者の死亡によって、この権利は消滅します。
(※一定の範囲内で守られるケースもあり)


(2)
「財産的権利」は、著作者がその著作権の一部または全部を他人に譲ったり、相続したりできます。



今回の東京オリンピックエンブレム騒動は、ベルギーのリエージュ劇場とヤンチヒョルト展のポスターに、そのロゴが類似していたことが問題になっていましたが、いずれも公共性のある施設や式典からの訴えであることからも、著作権としては、「財産的権利」に該当するものと思われます。

どうして、ロゴデザインでそんなに揉めてるの?

ロゴデザインで揉めてる


今回訴えられたロゴデザインに関しては、著作権商標権の2つにスポットが当たりました。
はじめに見た通り、両者とも、知的財産権の1つです。
ここは、「著作権」だけの話ではない訳です。
「商標権」というのが出てきます。

商標権とは、知的財産権の1つで、“自社の商品”と“他社の商品”とを明確に区別するための、文字、図形、記号、色彩などの結合体(今回のケースのようなロゴ等)を、独占的に使用することができる権利です。


そして、ポイント1つ目です。
商標権は、各国における特許庁に対し出願をし、審査を経た上で認定されるのですが、本件では、『リエージュ劇場はワールドワイド申請(国際商標登録出願)をしていないため、オリンピック等の世界規模のイベントにおいて、商標権の侵害には当たらない。』という結論になりました。

それもそのはずですよね。
このリエージュ劇場は、100年も前にベルギー国王が国民向けに設立した劇場であるため、100年も前の時代に商標登録をしていなかったことに不思議はありません。


じゃあ、「商標権侵害」に当たらないのであれば、次に、「著作権侵害」はどうなの?ということになります。

もっと突っ込んだ考え方をすると、今回の東京オリンピックのロゴの著作権が認められると、リエージュ劇場側のロゴがこれに類似しているとして、今度は逆に彼らが著作権侵害として利用を差し止められてしまう可能性も出てきてしまいます。

だから、劇場側は訴えを起こしたのではないか?ということですね。
要は、彼らにとっては、ビジネス(劇場ロゴ)を継続していくために、ガチンコにならざるを得ない訳です。


そして、ポイント2つ目です。
商標権とは異なり、著作権は登録や申請は必要ではありません
意外と知らない方が多いかもしれません。
著作権は、著作物を創作した時点で自動的に発生するものです。


そんな著作権の侵害が争われる場合、以下の事項が論点となります。


<1>著作物性の有無
当該物が、そもそも「著作物」に該当するか

<2>依拠性の有無 
原作品に似せて、当該著作物が作られていないか
(意図的に原作品に依拠していないか)

<3>類似性の有無
本当に類似性があるか


マルっと、真にオリジナルかどうかということです。

ところが、今の世の中、完全に0から作り上げたオリジナルなんてものは、ほぼ存在しないと言っていいと思います。
誰もが、何をするにしても、何かしらの影響を受けて、言動に移します。

デザインや設計に関しても同じことです。
デザイナーがそれまで見聞きしたもの学んだものがソースになっていることが往々にしてありますよね。

ここらへんの話は、多くの方がすでに論じていらっしゃるので、譲るとします。

著作権の侵害を巡る国際問題

ここで、皆さんにも馴染みがあるであろう直近の事例を見ていきましょう。


■上海万博PRソング『2010等你来』
2010年上海万博の30日前カウントダウンソングに用いられたこの曲は、日本人歌手の岡本真夜が1997年に発表した楽曲の『そのままの君でいて』を原作物とした盗作(著作権侵害)であるとする疑惑が浮上しました。

著作権上の紛争疑惑であったため、作曲者に事情を聴取したうえ、万博事務局は暫定的に使用を停止しました。
一方で、当の岡本真夜さんは「世界中が注目するイベントである上海万博に協力させていただける機会をいただき、とてもステキなお話で光栄です。」とのコメントを発表し、歩み寄りの姿勢を示しましたが、最後まで中国人作曲者は盗作を認めませんでした。
(※その後、実際に歌われることはありませんでした)



この事例からも分かるのですが、世界的な事例になってくると必ずや国際問題にまで発展し、政治にも影響してしまうため、各国からの自国の印象にも配慮して、疑惑が上がったものは基本的に取り下げる、という流れになることが多いようです。


今回の東京オリンピックロゴについても、紆余曲折を経て、最終的には取り下げという結果になったことは、皆さんもご存知のことです。

創作物の未来はどうなる?

創作物の未来


ここまで著作権周りについて考えてきた訳ですが、あらゆる商材や情報がコモディティ化しては世の中にどんどん溢れていく現代では、IT時代であることも手伝って、もはや似ていないものを探す方が難しいほどです。

ですが、息苦しい世界だとは思わないでほしいのです。

『最低限のルールを守りつつ、目的とプライド、美学を持って創作するだけでいい。』
『迷ったら、シンプルに進めばいい。』

そう思ってほしい訳です。


ただし、新たに何かが創作され、それが定着し、文化にまで昇華するようなことは、過剰なルールで縛られた環境下、アップデートされないシステム下、馴れ合いによってはまず生まれることはありません。
過去に築き上げた成功体験や美徳を後世に向けて保存していくことは確かに大事ですが、未来はいつだって新しいことも、また事実です。

今後を担うクリエイティブな若者たちの為にも、現行の規制の見直しなどは、積極的に検討される余地があるかもしれませんね。


これからの時代、世の中のパラダイムシフトはますます進んでいきます。
これまで当たり前だと考えられていたことが、もう通用しない。
そんな現象がいたるところで起こっていくことでしょう。

ピンチがチャンスに変わり、チャンスがピンチに変わる。




Always Look on the Bright Side of Life
(人生、明るく前向きに考えよう)



ということで、ピタゴラでした。





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