2015.05.20

【耳に入れておきたいトピックス】自動車事故の「慰謝料」について


今回は、交通事故の際の慰謝料の金額はどのように決められているか、のお話です。

慰謝料の金額は、「公平」という観点から、負った傷害や後遺症の内容で概ね固定されているのです。
しかし、一般的な慰謝料では到底、被害者や遺族が納得できないケースもあるのではないでしょうか。

『うちの子の顔に、大きな傷が残ってしまった…女の子なのに…』
『一家の大黒柱のお父さんが死んでしまった…これからどうやって生きていけばいい…』
『大酒飲んで酔っ払った挙句、40キロもスピードオーバーして運転していたのは相手の方なのに、これっぽっちの金額しか払ってくれないなんて、絶対におかしい!』
『事故の後、見舞いにも来ないし、ろくに謝罪もされてない。そればかりか怪我をした方が悪いみたいにずっと言われていた。あんな態度で許されるのか?』

などなど、不満が残ってしまう場合もありますよね。


ということで、慰謝料の金額はどのような考え方で決められるのか、いくつか例を紹介していきます。

慰謝料決定において、顔の傷はそれなりに考慮される。

古くは、「顔に残った傷跡は、一般的に労働能力の低下に繋がらない」と考えられていたので、外見が職業に重大な影響をもたらす芸能人やモデルなどを除いて、慰謝料を決める際に考慮はされていませんでした。

しかし実際には、特に女性の場合、顔に大きな傷跡が残ってしまうと就ける仕事に大きな制約があります。
例えば、受付嬢や窓口業務、接客業務など、人前に出る仕事の場合、雇ってもらえなくなる可能性が大きくなります。

このような事情があるということが理解されるようになり、昭和50年代の後半くらいから、後遺障害として広く認められ、慰謝料算定にあたって、しっかり考慮されるようになってきました。


では、男性はどうなのでしょうか?

男性については、実は、女性のように顔の傷跡を後遺症として認定したケースは、そう多くありません。
しかし、商社の営業マンや飲食店経営者が被害者となったケースで、顔の傷跡により労働能力が低下したとして後遺症に認定された裁判の判例があります。
男性であっても、外見は仕事をする上で悪影響をもたらす場合がありますからね。

ですから、女性と区別する必要はないと思うのですが、皆さんはどう思いますか?
悩ましいところですよね。

一家の大黒柱が亡くなった場合、慰謝料は高くなる。

冒頭で記したように、交通事故の慰謝料は、公平を図るために要素ごとに定額化されています。

日本弁護士連合会交通事故センターという組織が、最近の裁判例など実務の取り扱いを調査したところ、遺族の慰謝料の総額について、最近の基準では以下のようになっています。

●一家の支柱(大黒柱)が亡くなった場合:2,700万円~3,100万円程度

●一家の支柱に準ずる人(家事の中心を担うお母さんなど)が亡くなった場合:2,400万円~2,700万円程度

●その他:2,000万円~2,400万円程度


上記の通り、大黒柱が亡くなったケースでは、遺族がもらえる慰謝料の総額は、他のケースに比べて高額になっていることが分かります。
一家の暮らしを支えていたお父さんが事故で亡くなった場合、家族が受ける精神的ショックは、とても大きいものですし、せめて経済的なものだけでも報われてほしいものですよね。

悪質な運転による事故や不誠実な対応については、慰謝料が増額される。

交通事故の多くは、前方不注意などの単純な過失によって起きることが多いのが現実です。

しかし、ニュースなどを見ていると、泥酔状態で運転をして歩道に突っ込んだ結果、多数の人を死なせた、怪我をさせたといったような痛ましい事故は少なくありません。
誰でもやってしまいがちな「わき見運転」と、モラルが大幅に欠けている「飲酒運転」、この2つを比べると、被害を受けた場合に感じる理不尽さも当然違ってきますよね。

そこで、無免許や飲酒、信号無視、ひき逃げなど、交通事故の態様が非常に悪質なケースでは、慰謝料が単なる過失の場合に比べて、増額されることになっています。
同じような理由で、加害者の態度が不誠実な場合も、誠実に加害者が対応している場合と比べて、慰謝料が増額されています。




以上、いかがでしたか。

慰謝料なんて普段の生活とは程遠いところにあるもの、という感覚もあるかもしれませんが、意外とそうでもありません。
いつ自分が事故を起こしても、あるいは事故に巻き込まれても、おかしくはありませんから。

そもそも、慰謝料が認められるかどうかは、その被害によって実際にどんな不利益が起こるか、どれだけ遺族や被害者に大きなショックを与えるかによって変わってきます。
特に、精神的な苦痛を、金額換算することは、決める側も困難を極めます。
本来お金で解決できない部分でさえも、お金で解決する難しさも潜んでいます。


そして、加害者にとっては「偶然の事情」によって変わってしまう感覚もありますが、被害者にとっては事情はどうあれ、人生の一大事としてその先も深く刻まれていくものです。
この点は、常に意識しなければいけないことですね。

言うまでもなく、慰謝料を払う払われるような状況を作らないことが大事です。





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