2016.02.23

【新訳・白雪姫】保険嫌い“白雪”と、ドジっ娘“お妃さま”のWヒロインにサブイボ

『INLIFE~あなたと保険を繋げるメディア~』でしか読めない白雪姫に、制作陣だけが震撼した。






はじまりはじまり







お妃さまは、“魔法の鏡”ではなく、“スマフォ”に尋ねていました。


昔々、とあるお城に「世界一の美女」の異名にこだわりまくる、ドジっ娘属性のお妃さまがいました。



お妃さまは、問いかけると何でも答えてくれる、自然言語処理対応の秘書機能アプリケーションソフトを搭載した“スマートフォンデュ”略して“スマフォ”に、毎日毎日こんな質問をしていたそうな。




『鏡よ鏡!!…あ、お、オッケー、ベーグル!!!この世界で一番美しいのは、だぁれ??』




スマフォが答えます。
『一番、美シイノハ、アナタデス。』




その答えを聞いて、しっかり自分の中に落とし込んで、おっしゃ!!うっしゃ!!と渾身のガッツポーズをキメるのが、お妃さまの日課でありました。

お妃さま、おっしゃ!うっしゃ!!と渾身のガッツポーズ。


白雪姫の台頭は、社会の縮図がごとく、盛者必衰のことわりをあらわしていました。


それから時は経ち、数年後、ある事件が起こります。

それは、お妃さまがいつものお約束の質問をした時のことでした。





『オッケ、ベーグルちゃんっ!!この世界で一番美しいのは、だぁれ??てゆーか、もちろん私だよねぃ♪』



スマフォは答えます。
『イイエ。一番、美シイノハ、白雪姫デス。』



お妃さまは一瞬たじろいで、テンドンです。
『ん?…オッケ、ベーグル!!この世界で一番美しいのは、だぁれ??もちろん私だよねぃ??』



スマフォは再度答えます。
『イイエ。一番、美シイノハ、白雪姫デス。』



お妃さまは、動揺を隠せません。
『……えっと…白雪姫って…私の義理の娘の白雪ちゃんのことかなぁ??…まさかね、そんなことないよねぇ、私、ドジっ娘だから、シンプルに聞き間違えちゃったのかなぁ??』



スマフォは答えます。
『イイエ、聞キ間違エデハアリマセン。一番、美シイノハ、白雪姫デス。』




そんなトドメの聞キ間違エデハアリマセンがスーっと入ってきて、お妃さまは、それはそれは自身の胸の奥底が沸々とアツ~くなっていくのを感じました。
それが一気にマグマのように煮えたぎっては、ドロドロした憎悪となり、お妃さまの心を侵食していきました。




『キュイィーーーーッッッン!白雪ちゃんめっ!プンプンッ!ハッ!プンプンッ!ハッ!プンプン、ププン、プンププンッ!ハッ!!私、ガチおこの時はリズム感のクセで異常事態だというのをアピールするしっ!!』




そうして、お妃さまは激昂も激昂して、スマフォを手でバキっと叩き折ると、すぐさま漁師を呼び付けて、白雪姫を亡き者にするよう命じました。




漁師は言いました。
『え?ワシ?ワ、ワシ??ワシ、漁師ですけどいいんですか??原作では、確かこのシーン、“猟師”に命令しますよね?ワシ、魚介類専門のたくましいやつですが。』




お妃さまは少し反省しました。
『…なるほどね。ドジすぎてゴメン。話が入り組んできてるわ。込み入ってるわ。何個かガンガン入ってきてる。別に裏テーマないから。ただドジなだけだから安心してね。』

世界で一番美しいのは、白雪姫です。


白雪姫は、七人の小人の小言がウザくてスルーしていました。


お妃さまのドジっ娘スキルが遺憾なく発揮されていた頃、白雪姫は、なんとなく身の危険を感じていたので、スタコラと城から逃げ出し、森の中に避難していました。

そして、白雪姫は森の奥深くに小さなお家を見つけて、そこに住んでいた七人の小人たちと密やかに暮らし始めたそうな。





小人たちが順番に言いました。

『白雪姫、僕たちが仕事に行っている間は、誰も家に入れちゃいけませんからね。』

『特に老婆とかダメだからね。』

『リンゴ持って来る人もダメだからね。』

『絶対に誰も入れちゃダメだからね。』

『ガチョウ倶楽部的なフリじゃないからね。』

『それと、冷蔵庫に入っている肉ジャガは、チンじゃ弱いから、スンして食べてね。』

『それと、念のため保険にもきちんと加入しておいてね。』




白雪姫は言いました。
『ホケン?ナニソレ?食えんの??』




※※※
これ一応、舞台は中世ヨーロッパのテイなので、白雪姫はそもそも保険というものを知りませんでした。





小人のひとりは、しっかり粒だてて言いました。
『病気したり入院したりした時にお金が貰えたり、車で事故した時の修理代を負担してくれたりする、ハイパー便利なものだよ。』




白雪姫は、ほれ来たっ!と言わんばかりに炸裂させました。
『必要ない、必要ない、保険なんて必要ない!』

必要ない、必要ない、保険なんて必要ない!


お妃さまは、老婆ではなく、宅配業者に成りすましました。


一方その頃、お城では、お妃さまが白雪姫探しに躍起になっていました。




『オッケー、ベーグル!!白雪ちゃんの居場所を教えてちょうだ~い!!!』




スマフォは答えます。
『はい??どうやら違うアシスタントのことを話されているようですね。私はベーグルではなく、Ziriですよ。』




お妃さまは前のスマフォを叩き潰していたので、新しい別機種を購入したばかりだったのです。




『あ、やっべ。機種変して、秘書アプリもベーグルからZiriに変わったんだった。Ziriちゃん、Ziriちゃん、とりあえず何でもいいから白雪ちゃんの居場所を教えてほしいぉ!』




こうして、白雪姫は小人たちと和気あいあいと森で生活しているということをスマフォに教えてもらったお妃さまは、小人たちがいない時間を見計らって、白雪姫のもとに向かったのでした。





















『ちわ~すぅ、宅配便でぇ~すぅ。』



なんと、お妃さまは、老婆ではなく配送業者に成りすまして現れました。





『あれ?もう届いたの?!今朝、インターネルトン・ショッピングで注文したばかりなのに。』
そう言って白雪姫は、その小ぶりな配送業者の機動力の高さに感動しつつも、小人たちにさんざん釘を刺されていたことも忘れてしまい、お妃さまを家にあげてしまいました。

白雪姫は、小人たちにさんざん釘を刺されていたことも忘れて、お妃さまを家にあげてしまう。



『はいぃ、こちらぁ、お取り寄せグルメのぉ、A5ランク和牛の10kg盛り合わせになりますぅ。ハンコかサインくださいぃ。』





『…A5ランク和牛なんて頼んだかしら??ん、ま、いっか♪』





A5ランク和牛を自腹で購入し、白雪姫に無事配送し終わったお妃さまは、お城に戻って高笑いです。
『にゃはははは~♪にゃっはっはっはっはっはっは~!これで白雪ちゃんは連日の焼き肉パーティーで、いや、クーニーのリーパーでブックブク太って、世界一の美女の座から陥落しますわぁ~♪にゃっはっはっはっはっはっは~!』




そして、お妃さまの目論見通り、白雪姫は連日焼き肉パーティーを、いや、クーニーのリーパーを催しました。




そして、その結果、ものすごい腹痛に見舞われてしまうのでした。
『お、お、お腹が苦しいぃ。小人さ~ん!救急車呼んでぇ!』




小人のひとりは言いました。
『ほら、言わんこっちゃない。入院保険に入っておけばよかったのに。』





『だから、必要ない、必要ない、入院保険なんて必要ない!だって食べ過ぎただけだし!寝てれば治るし!!』
相も変わらず懲りない白雪姫でしたが、確かに寝てれば治りました。
また、白雪姫は胃下垂だったので、たいして太らなかったようです。




全く先読みできていなかったお妃さまは、自分のドジっ娘スキルをここぞとばかりに呪いました。
『チクショ~!そう言えば、白雪ちゃんって太らない体質だった~!お城にいた時も、毎晩毎晩リコッタパンケーキやら横浜家系ラーメンやらをたらふく食べてたっけな~!そのくせ、高級な爪楊枝のようにスレンダーだったな~!忘れてた~、クッソ~っ!クッソ~っ!!』

白雪姫は大食漢でした。


お妃さまの姑息な作戦も佳境へ。ちゃんと毒リンゴも投入されました。


お妃さまは性懲りもなく、再び配送業者に成りすまし、白雪姫のもとを訪れました。
『ちわ~すぅ、宅配便でぇ~すぅ。あいぃ、こちらぁ、激辛1兆倍カレーの詰め合わせになりますねぇ。』





『ん?激辛1兆倍カレーなんて頼んだかしら??ま、いいや♪』





激辛1兆倍カレーを自腹で購入し、白雪姫に無事配送し終わったお妃さまは、お城に戻って高笑いです。
『にゃはははは~♪にゃっはっはっはっはっはっは~!これで白雪ちゃんは激辛で胃袋が荒れに荒れ、腸の調子もすこぶる悪くなり、三日三晩、お腹がゴロゴロピィ~になって苦しむことでしょ~♪ピーピーゴロゴロ~ォ!ゴロピ~ゴロゴロ~ォ!!……なんかスタイリッシュじゃないなぁ。ゴロゴロピ~?ピーゴロロ~??いや、ロゴロゴ、ピッピ、ピゴピッピ!ヨイショっ!ゴロピロ、ピッピ、ピッゴロピ~!!こんな感じでいっとくか。んでまぁ、とにかく下痢のヒロインなんて無様すぎることにより、絶対に世界一の美女の座から陥落しますわぁ♪♪』




お妃さまの目論見通り、白雪姫は三日三晩下痢で苦しみました。

白雪姫は三日三晩下痢で苦しみました。



そんな無様な白雪姫を見て、小人のひとりは言いました。
『ほら、言わんこっちゃない。医療保険に入っておけばよかったのに。』





『もうだから、必要ない、必要ない、医療保険なんて必要ない!こんな腹痛、寝てれば治るし!!』
全く懲りてない白雪姫でしたが、確かに寝てれば治りました。





お妃さまは、またもや自分のドジっ娘スキルをあげつらって呪いました。
『チクショ~ぉ!これで白雪ちゃんの下痢が治っちゃったら、すぐさま美女ランク1位に復活するに決まってんじゃ~ん!気づかなかった~!というよりも、美女ってお腹壊しても、美女であることに変わりなしっ!むしろ苦しむことで、男をホロロにする哀愁すら出ちゃうじゃ~ん!』





そして、お妃さまは最終手段として、安定と信頼の毒リンゴを配送することにしました。




※※※
ここからしばらくは、原作のくだりとほぼ一緒なのでトルツメです。
要するに、白雪姫は毒リンゴを一口かじるなり、バタリと倒れて昏睡状態という流れになります。


白雪姫が毒リンゴをかじる。


物語は本意気のラストスパートへ。ほぼ確実にスベりにいってるハッピーエンドを見逃すべからず。


期待され得る展開通りに倒れた白雪姫を、ガラスの棺に寝かせ、その棺を囲みながら、小人たちは悲しみに暮れました。

むせび泣き、肩を抱き合って、共に崩れ落ちそうになっていました。






そこに突如、何のプレリュードも伏線もなく、白車に乗った王子さまが現れました。




そして、王子さまはガラスの棺に横たわる白雪姫を見つけて、こう言いました。
『なんて美女なんだぁウィッシュ!?これはかなりK・S!!(※キスしたい!!)』





かなり興奮した王子さまが、勢いよく白雪姫に口づけをすると、その拍子に毒リンゴが白雪姫の喉から飛び出し、白雪姫は目を覚ましました。
『あれ、私、どうしてたのかしら…』

王子さまが白雪姫にキス。



その時でした。
白車の真下あたりから奇妙なうめき声が聞こえてきました。
『だ、だずげで……』




なんとお妃さまが、いつものドジっ娘スキルを発動し、しっかり白車に轢かれていたのです。
『イタタタタ!ちっきしょ!大梅太夫ばりに、ちっきしょ~っ!!せっかくいい気分で白雪姫の永眠を見届けていたのに、またドジッたぜ!』




白雪姫と七人の小人たちは、お妃さまの残念な再登場の仕方に心底ビビりました。
が、それ以上にビビることが、その直後に起ころうとは誰も予想だにしていませんでした。








『うわ、ドジっ娘♪めっちゃ好み♪めっちゃ好きウィッシュ!こりゃもう、K・S・K!!(※結婚してください!!)』

ドジっ娘大好き!K・S・K!



なんと王子さまは、根っからのドジっ娘萌えだったらしく、白雪姫からお妃さまにあっさり乗り換えて求婚したのでした。




お妃さまは、グルメリポーターが得体の知れない郷土料理に出遭った時のような引きつった表情で言いました。
『う、うれし、いや、ウザうれしいけど……もうねぇ、今さぁ、おたくの車にぶつかりましてねぇ……とりあえず救急車頼むわ。な?』





ところが不幸中の幸いで、王子さまは以前、スマフォのZiriに「世界で一番、保険の見積もりが上手なのはど~こ??S・I・H・M・J・D??」と尋ねており、その流れで、楽天で自動車保険一括見積もりをして、自分のライフスタイルに合った補償の手厚い自動車保険に加入していたのでした。





その後、無事に多額の保険金をもらったお妃さまは、王子さまと結婚し、もう何だかんだで幸せボケを謳歌しながら、世界一の美女の座なんてものはどうでもよくなってしまい、白雪姫とか七人の小人とかその他諸々とかと一緒に、末永く幸せに暮らしましたとさ~。


えんや~~~~~~~~~~~~~~。


楽天で保険見積もっててよかった!






めでたしめでたし
M・D・T・S・M・D・T・S






(完)




◇文・イラスト:昌谷大介(A4studio)






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