車のボディに、アニメのキャラクターやロゴをあしらった『痛車』というのものをご存知だろうか
週末の、東京の秋葉原界隈やアニメ関連イベント会場において、今や当たり前の存在となっている、萌え仕様となった乗用車のことだ。
美少女アニメなどは、いい大人がファンであると公言するのは恥ずかしいとされる部類に入るかもしれないが、そんな一般感覚を逆手に取り、自虐的愛着度をアピールしようというのが痛車の存在理由。
それ以外理由など必要ない。
ということで、費用やら車検やら、手に入れるのには少し苦労しそうだが、どのようにして痛車は誕生しているのか、ちょっと迫ってみよう。
最近では、痛車専門誌なるものが刊行されていたり、カスタムカーの展示会でも痛車専門ファクトリーが幅を利かせつつあったりと、アニメファンのみならず、カーマニアからも熱い視線が注がれているらしい。
いかに旬のキャラクターを取り入れ、そこに心血を注ぎ込んでいるか、要は、どれだけ「オレの嫁」※化を表現するか、そこが重要なポイント。
そのためには、あえて高級車を選ぶファンも少なくないようで、『せっかく何百万円、何千万も出して買った車にこんなことしちゃっていいんですか?』と、傍から思われれば思われるほど、痛車オーナーたちは燃え上がるのだ。
※「オレの嫁」とは、二次元キャラを嫁として扱い、愛で(めで)、そして共に生きていくこと。抱き枕などのキャラグッズの収集が、代表的な「オレの嫁」状態。
自分の愛車を痛車化するには、それなりの出費が要求される。
自分の腕に自信があれば、普通乗用車でも10万円以下で収まるようだが、まずは専門業者に託すのが無難だろう。
その場合、軽自動車でも最低15万円程度の予算が必要となる。
さらに車体全体へのフルラッピングでキメようとすれば、中古の軽が1台買えるレベルの出費だ。
『嫁に喜んでもらうのは当然です。ハシタガネです。』と言い切れる猛者にこそ、絶品の嫁を迎え入れる権利が与えられる、ということになりそうだ。
いくら痛車でも、法律は守らなければ公道を走れなくなる。
フロントガラスなど、視界を遮る箇所に手を加えるのは当然NG。
車検に通らなくなってしまうし、乗り心地も悪くなってしまう。
また、アニメキャラを私用で楽しむ分には特に問題ないが、人気声優の画像を貼るとなると肖像権に触れる可能性がある。
またまた、せっかくの嫁車が駐車違反でレッカー移動ともなれば、真の意味での痛車になってしまうので、交通違反には普通の車以上の注意を払う必要があるのだ。
そんな、走る「オレの嫁」に永遠の美を保たせ続けるには、日々のメンテが大事なのは言うまでもない。
モノがモノだけにイタズラされる危険は常にあるし、汚れが堆積したり、色褪せが進んだりと、時間が経つごとにせっかくの「オレの嫁」が悲惨なことになりかねない。
毎日、嫁の様子を気にかけ、週に1度の洗車と、乗らない時は全面シートで覆っておくくらいは最低限のたしなみだろう。
いとしの痛車を愛し続けるには、リアル嫁と同様、スキンシップが長続きするカギだと言える。
もちろん「オレの嫁」を愛でるには、リアル嫁の同意なくして成しえないだろうから、リアル嫁には痛車同様、毎日のスキンシップと週に1度の奉仕を忘れないようにしたい。
『何やってんだ俺…(心の声)』となるまでは走り続けるのだ。