2016.01.05

【刑事VS泥棒@取調室】新年早々、難事件も保険が解決だ!(どういうこっちゃ)

あけましておめでとうございます。2016年は申年だけに「喜々(キーキー)」とした年になりますように。


皆さん、どうもだ。

あけましておめでとうございますだ。

俺の名はマスゾエだ。

漢字は現東京都知事と同じ「舛添」だ。

ニコタマ署所属の刑事だ。

今は取り調べ中だ。

取り調べ開始前の風景。刑事と容疑者、お互い恐い顔。


相手は眉毛グッズ盗難業界で名の知れた怪盗だった。(設定どないやねん、もう気忙しいやん)


容疑者は泥田棒太郎だ。

窃盗罪(※眉毛シェーバーの万引き)の容疑だ。

泥田は眉毛グッズ盗難業界では名が知れた奴だ。

年明けいきなりやらかしたのだ。





<マスゾエ>
『泥田~っ!お前~っ!1月1日の午後3時頃どこで何してた~っ!!』




俺は取調室の机をバンッバンッバンッとパフォーマンス込みで多めに叩き、電気スタンドの灯りを思いっきり泥田の顔に浴びせた。




<泥田>
『へへへっ、そんなの忘れちまったずらな。』




泥田は全く動じることなく、いや、むしろ余裕の笑みすら浮かべている。




<マスゾエ>
『…ず、ずらな??な、な、な、ナタデココ、コブクロ、ロクロ、ロクロ、ロクシタ~~ン、は~い俺の負け~!!って、語尾で遊んでんじゃねーぞ!泥田っ!!!』

取り調べに屈せず、ヘラヘラと余裕をかます容疑者。


“例のやつ”好き??(ほんで含みも古いな、激寒やん)



<マスゾエ>
『そんなことより、動機はすでに知ってんだぞ!!お前、被害店に恨みがあったそうだな?店側が“眉毛”グッズコーナーを縮小させたばかりか、おまけに、まつ毛ビューラーを主力商品に推して“まつ毛”コーナーを拡充させたことを不満に思ってたそうじゃないか。』




<泥田>
『ふっ、さぁねぇ、オラはよう知らんずらよぉ。』





あー、いちいち腹立たしい顔しやがって!!!





<泥田>
『刑事さんよぉ、オラは何を聞かれたって何も喋らねぇずらよぉ(ニタニタ)』




ハァ?!
仕方ねーな、奥の手を使うか。
俺はそれまでギュッと寄せていた眉間のシワをメッチャ緩めて、穏やかな表情で問いかけた。




<マスゾエ>
『泥田、お前アレ好きか??例のやつ。』




<泥田>
『ん?例のやつ?……カツ丼のことずらかぁ??それ取り調べと言ったら定番ずらねぇ。まぁ食べさせてくれるってんなら、遠慮なくいただくずらが、カツ丼ぐらいでオラが心を開くと思ったら大間違いずらよ。』




<マスゾエ>
『ふっ、今時、取り調べでカツ丼なんか出さねーよ。』




俺は柔和な口調で続けた。




<マスゾエ>
『泥田…保険、見積もるか?』




<泥田>
『…え?!』




その刹那、俺は決して見逃さなかった。
泥田が、少女漫画「マーマレード・ボーイ」のヒロインの小石川光希が超イケメンの松浦遊に見とれるような表情になったのを、俺は見逃さなかった。

容疑者は恋する乙女の顔。


泥田、果たして見積もるか??(うわ、新年1発目から強引すぎるやろ、寝つき悪いわ)



泥田はホンノリ頬を赤らめながら、俺に聞き返してくる。




<泥田>
『け、け、刑事さん、、、今、、、何て言ったずら?ほ、ほ、ほ、ほ?』




<マスゾエ>
『ほ・け・ん、ほ・け・ん、ほ、け、ん、だ。保険、見積もっちゃうか??』




<泥田>
『もんげぇ♪♪♪』




もんげぇ?!
なんだコイツ。




それはさておき、もう泥田は完全に小石川光希(=恋する乙女の顔)になっている。
これはもはや、朝、リボンが決まらなくて焦げかけのトーストをかじった瞬間の顔じゃないか。




俺は大きな手ごたえを感じ、泥田の前にノートパソコンをそっと差し出す。




<マスゾエ>
『ほら、この「楽天」のページから見積もるといい。』




<泥田>
『な、なな、ななな、いいずらか?オラが好きな保険を見積もっても?!』




<マスゾエ>
『あぁ、好きなだけ見積もればいい。何ったって見積もりは無料だからな。ほら、各項目に入力するだけで、簡単に比較することができるぞ。自動車保険なんて一括見積もりだってできるんだから。遠慮すんな。』




<泥田>
『じゃあ遠慮なくぅ、、、あ!!か、勘違いしないでね刑事さん!ちょ、ちょっとした気まぐれで見積もるだけなんだから!オ、オラ、別に保険のことなんて何とも思ってないんだから!こ、これぐらいで、す、すぐに自白すると思ったら大間違いなんだからね!』

ツンデレな容疑者


泥田、見積もってる。(見積もるんかい、くわばらくわばら)



泥田は食い入るようにノーパソを見つめ、やれ自動車保険だ、やれ海外旅行保険だ、やれペット保険だと見積りまくっているようだ。
まるで、デート前のJKが服を着比べているかのように。




俺は、ちゃんと窓にかかるブラインドを指で少し押し下げてから、ちゃんと夕暮れ時の街並みを眺めて、ポツリポツリと話し出した。





<マスゾエ>
『泥田、聞いたよ。お前のお袋さんに。小さい頃から保険が好きだったらしいな。』




<泥田>
『忘れちまったずらなぁ、そんな昔のこと。』




<マスゾエ>
『おいおい、強がるなよ!なぁ!強がるなってぇ!空き地や野原を駆け回ってぇ!陽が沈み始めたら家路についてぇ!自分の家が近づいてくるにつれてぇ!ほのかに香る保険の匂いぃ!好物だったんだろぉ!お袋さんが見積もってくれた保険がぁ!!』




<泥田>
『お、お、お袋ぉ~~~っ!…………刑事さ~~~んっ!!スイマセン、オ、オラが、オ、オラがぁ!盗みましたぁ!!ぬ~すみぃましたぁ~っとぅ!!』




<マスゾエ>
『なんだよ、最後のそれ。』




<泥田>
『いや、刑事さんがラップみたいに言ってくるから、ニュアンスを反映して返したまでずら。』




<マスゾエ>
『言っとくけどな、お前出てきてから、ず~~~~っとクセがすごいからな。』




<泥田>
『いや、それを言うなら、刑事さんのクセも相当なもんずらよ。』






こうして今日も、難事件がまたひとつ解決したようだ。



容疑者が泣き崩れて自白。ジ・エンド。

































解決?!


いや、解決しとらんって。

なんかモヤモヤした気持ちが解決しとらんって。



ん~も、とにかくトータルでクセがすごい。

年明け早々、クセがすごすぎて何も入ってこん。



(完)





◇文・イラスト:昌谷大介(A4studio)






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