2018.01.31

黒船ガール×路線バス:CITYSCAPE vol.10 (4/4)




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15:20 │ 等々力操車所/気取るラフォーレ

バスストップ


/TODOROKI-SÔSHAJYO





バスは白金台から、目黒、碑文谷、都立大学などを経て最終地点、等々力操車所を目指す。

なお、今回の東98系統は東急バスの中でも長距離路線として有名で、発着から終着まで通して乗れば1時間オーバー、距離にして約15km。




カーリーは移りゆく景色を眺めながら、時折目を細めている。





―――日本でこんな長くバスに乗るの初めてですよ。

「こういうのも、なかなかいいものでしょ」

―――うん。落ち着いて話せるし、考えられるし。





やがて、等々力操車所に到着。

そこから歩いて数分、等々力渓谷へ赴く。


カーリー




等々力渓谷は、武蔵野台地の南端に位置する、台地面の浸食によって形成された開析谷。

武蔵野台地は水を通さない海成の粘土質層と水を通しやすい礫層が互層となった関東ロームに覆われているが、多摩川に削られた崖線には大量の湧水があり、それが台地を侵食したことで出来上がった。


等々力渓谷



また、等々力渓谷は東京23区内で唯一の渓谷であり、渓谷内には日本庭園、横穴式古墳、不動の滝、等々力不動尊など見所も豊富で、平成11年には東京都指定の名勝に。





そんな毛並みの良い渓谷の入り口には案内板があり、その下には階段が。



降りてみれば、ついと雰囲気が変わる。


カーリー



―――ここ本当に東京ですか?

「結構ジャングルだね」





谷沢川に沿って設けられた遊歩道を進めば、湿生植物や武蔵野礫層なども観察でき、鬱蒼と生い茂る雑木林としなやかな小川が冷涼な空間を創っている。

等々力渓谷



申さば、マイナスイオンが出まくっている気配だ。





そんな中、カーリーはといえば、せせらぎに架かる橋をピョンピョン飛び跳ねたり、木々を見上げて美味しい空気を吸い込むなど、都会のオアシスで軽やかに躍動。



―――こういう自然豊かな場所が大好き!さっきまでのアスファルトが信じられないくらい!

カーリー



そう言って興奮気味の彼女だが、こちらも感覚の機微は違わず。



その大人しい情景に、ただ没入するのみである。


カーリー






そして、遊歩道の最後にある満願寺で軽くお参りを済ませた後、流れに任せて入ったのは色香漂う純喫茶。


浪漫喫茶



そこでは、チーズケーキをコーヒーで流し込む浪漫を味わいながら、カーリーに今後の展望なんかを聞いてみた。




―――とにかく、いけるところまでいきたいです。有名になって、私にちょっとでも興味持ってもらって。それで、私のルーツであるカナダの先住民タルタンのことも知ってほしい。

「“タルタン カナダ”で検索しても全然出てこないもんね」

―――そう、世界的にも知られてないの。最初はブログを使って発信しようとか思ってたんだけど、最近はYouTubeでも使って広める方がいいのかなと思って。だから、動画の勉強もしなきゃね。

「それはアイデンティティが絡んでる分、絶対面白いし強いよね」

―――タレントでいけるところまでいったら、カナダの大学に戻って教育学をもう一度しっかり勉強し直したいし。それからインターナショナルスクールの先生になって、いろんな国を訪れて。だから今は、たくさん仕事して、蓄える。

「希望が膨らむね」

―――うん、ポジティブ。まあ、カナダにいたら物価も高いし、また鉱山で働かなきゃだからねぇ(笑)そんな感じ。







幼い頃からグローバルでダイバーシティのある環境で育ったセンスを活かし、広く羽ばたきたいと語る彼女。

しかるべくシンボリックな存在になってもらおう。

未来に懸けて。


カーリー






◇写真:鈴木清美
◇構成:前田レイ




KARLEE RAE OPAL

カーリー・レイ・オパール

カナダ出身、日本育ち。父がネイティブアメリカン、母がヨーロッパ系カナダ人。ファッションモデルの他、『えいごであそぼ with Orton』(NHK Eテレ)にレギュラー出演するなど多方面で活躍中。







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