2018.01.24

黒船ガール×路線バス:CITYSCAPE vol.10 (3/4)




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13:30 │ 白金台駅前/たおやかな銀の街

バスストップ


/SHIROKANEDAI-EKIMAE






バスは東京タワーから南西に進み、慶應義塾大学を通り越し、白金台へ。




白金台は東京都港区の南西端に位置し、ハイソな飲食店やブティックが軒を連ねる日本屈指の高級住宅街として知られ、メディアでは白金近辺に暮らす女性をシロガネーゼなんて呼んだりするが、そもそも“白金”というのは“銀”のことであり、室町時代にこの地を支配した豪族が莫大な銀を所有していたために白金長者と呼ばれ、その白金長者が統治していた地ということで白金という名が残っている。

ひとえに、ノーブルなイメージは連綿と続いているわけだ。







「到着、八芳園」

―――お、なんか素敵。


カーリー



ここ八芳園(はっぽうえん)は、もともとは徳川家康の側臣である大久保忠教の屋敷だったが、戦後の1950年からは海外の賓客向けの本格的な料亭としてリスタート。
由緒正しき溜まり場であり、現在はレストランおよび結婚式場として人気。

さらに、1万2千坪の広大な敷地内にある豪壮な日本庭園は、白金台の丘陵と小川跡を利用して造られ、樹齢数百年の樹木や渡り鳥の姿を見られるという高潔さ。


八芳園



そんなやんごとなき庭園を散策しながら、上海在住だというカーリーの母親の話に。



「さっき、お母さんがインターナショナルスクールの先生だったって言ってたけど、お母さんが学校で教えてくれるってどんな感じ?」

―――そこまで不思議なことだとは思わなかったですけど、カーリーがもし何か悪いことしたら、お母さんが悪いってことになるからね、みたいなことはずっと言われてました。

「たしかに、先生の子どもとして、悪いことはできないよね」

―――そう(笑)でも、校長先生とお母さんと私の3人で焼き鳥屋さんに行ったりとかしてましたよ。面白い環境ではありましたね。


カーリー



―――あと、お母さん、学校が終わった後も他の英会話スクールで働いていて、そうやってお金作って、旅行に連れて行ってくれたりしたんですよね。

「よくタイに行ったって言ってたね」

―――うん、タイにはほぼ毎年行ってたから、当時はカナダとタイのハーフだと勘違いされることもあった。私、小さい頃あんまりゲームとかおもちゃとか欲しがらない子どもだったみたいで、その分、旅行に連れて行ってもらってたのかもしれない。まあ、今はそっちの方が良かったなって思ってますけど。物より経験を重視してくれて。


八芳園



「タイのどの辺に行ってたの?」

―――サムイ島が多かったですね。今は東京みたいに何でもある島だけど、昔はアスファルトの道もなかったし、コンビニも数えるほどしかなかった。

「そうなんだ。宿泊施設も整ってなかった?」

―――当時泊まってたのは月数千円で済むような宿で、電気もなくて、お湯も出ないところもあった(笑)リゾートというよりは、バックパッカー的な旅。

「へぇ」

―――当時はお母さんがカナダよりタイが好きだったから、もう里帰りみたいな感じでしたね。最近は行けてないけど。


カーリー



―――あ、このジャケット、私がお父さんって呼んでるサムイ島のおじさんがくれたものなの。小さい頃から私をずっと娘扱いしてくれて、その頃お父さんが身近にいなかったから、めっちゃなついてた。

「その革ジャン、HARLEY-DAVIDSONって背中に書いてるし、最初はカーリーがバイカーなのかなって思ったりしたんだけど」

―――そのおじさんが、タイでこれ着てハーレーに乗ってたんだけど、事故に遭ってから乗るのやめちゃって。タイは暑いしもう着ないからって、私に譲ってくれたの。






なるほど、彼女が放つオープンで風通しの良いムードは、幼少期から様々な国で、様々な人々と出会い、多様な価値観に触れてきた賜物なのである。

カーリー

気品ある盆栽が並ぶ



その後は八芳園を出て、プラチナ通りへ。



白金台の通称プラチナ通りは目抜き通り的な存在であり、外苑西通りの一部、白金台交差点から白金六丁目の交差点までの約1kmのストリートを指す。


カーリー



―――こんなにのんびりするのは久しぶり。

「忙しくしてるんだね」

―――ありがたいことに、1週間あったら4日ぐらいは埋まってます。朝6時からロケバス乗って撮影、みたいなのは多いです。


カーリー



「休憩時間とかって、何してんの?」

―――公文で日本語の勉強かな(笑)あとは、絵を描くのが好きだから、ちょこちょこ描いたりとか。ただ、仕事に関しては慣れないことばかりで、毎日が新しい経験だから、休憩っていう休憩じゃないかもしれない。おかげで、どんどん成長できてる気がする。




そう言って、黄金色のイチョウを見上げるカーリーの横顔は、相当に凛々しかった。








こりゃ売れ筋。
外も内も豊潤だから、ということで。


カーリー






◇写真:鈴木清美
◇構成:前田レイ





KARLEE RAE OPAL

カーリー・レイ・オパール

カナダ出身、日本育ち。父がネイティブアメリカン、母がヨーロッパ系カナダ人。ファッションモデルの他、『えいごであそぼ with Orton』(NHK Eテレ)にレギュラー出演するなど多方面で活躍中。







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