2018.01.10

黒船ガール×路線バス:CITYSCAPE vol.10 (1/4)

黒船ガールとバスさんぽ



日々変わり続ける大都市・東京。



知っているつもりでも発見の絶えないこの街は、

異国から来た彼女にどんな風に映るのだろう。



路線バスの発着地から終着地まで、

気ままにめぐる東京さんぽ。




東98(東京駅丸の内南口-等々力操車所)東急バス




雲ひとつない晴天に恵まれた良日の日比谷。


銀座や有楽町という大繁華街に隣接するこのエリアは、喧騒も一歩引いた泰然たる雰囲気を醸し、由緒正しいという言葉がよく似合う。



10:00 │ 日比谷/蒼天のプロムナード

バスストップ


/HIBIYA






―――こんにちは!


カーリー



彼女が今回のバディ、カナダ人のカーリー・レイ・オパール。


―――よろしくお願いします!!





持ち前のエネルギッシュなルックスに、ニット帽、ダメージジーンズ、ダブルのライダースというワードローブで、カーリー・ガーリー・ロック!!






「いい感じに晴れたね。皇居って行ったことある?」

―――行ったことあるけど、だいぶ前かな。だから楽しみ!




彼女のハッピーなオーラと好天が相まって、否が応でも気分を上げてくれる。
やはり、これはもう、カーリー・ガーリー・ロックなのである。


御濠

日比谷駅B6出口の目の前が御濠



さて、昔の日比谷はのどかな漁村だったが、徳川幕府が江戸城を拠点にして以降は湿地帯が埋め立てられ、やがて大名屋敷が並ぶようになり、明治維新以降は、帝国ホテル、鹿鳴館、東京倶楽部などの華々しい建物が次々に出来上がった。

そうして今や、大企業のヘッドクオーターも集う日本を代表するビジネス一等地であり、きたる2018年3月29日には東京ミッドタウン日比谷がオープン予定という、長きに渡って耳目を集めてきた街である。





そんな日比谷を闊歩し、皇居へと向かう道すがら、カーリーの来歴を聞いてみた。

カーリー



彼女は現在22歳。
ネイティブアメリカンの父と、ヨーロッパ系カナダ人の母の間に生まれ、3歳で母と共に来日。
その後16歳まで日本で暮らし、それから母親の仕事の都合で上海へ移り、18歳でカナダの大学に入学。
今は大学を休学し、日本で芸能活動をしている。




「日本語、かなり上手だね」

―――ありがとう。実は母が、私が通っていたインターナショナルスクールの先生だったんです。

「なるほど、お母さんに習ってたんだ」

―――そう。まあ、3歳から16歳までずっと日本にいたから、会話は問題なくできますけど、読み書きに自信ないから、最近は公文を始めたんですよ(笑)漢字の練習、頑張ってます。





そうこう話すうちに、皇居の正門に到着。

カーリー



皇居は、江戸時代末期まで徳川将軍家が居城としていた江戸城跡に存在し、東京ドーム約25個分の115万平方メートルというサイズ感。

また、東京都千代田区のど真ん中に位置しながら、緑豊かで気軽な空間が広がり、濠に沿って皇居を取り巻く歩道は、ジョギングや散歩コースとしても親しまれている。




この日の皇居前広場には外国人観光客がわんさかいて、多数生える見事な松の木の写真を撮影したり、ベンチに座ってくつろいでいたりと、極めてピースな空気。




―――散歩、気持ちいい!

「そうだね」






さらにゆっくり宮殿の方へ歩を進めていると、かの有名な二重橋を発見。



―――あ!二重橋、懐かしい。

「お、あるね」




宮殿へ至る濠には2本の橋が架かっていて、手前の橋が“正門石橋”、奥の橋が“正門鉄橋”。
なお、二重橋をこの2本の橋を合わせた呼称だと思っている人も多いが、実際は、奥の橋のみを指す。

二重橋

昭和の名曲、島倉千代子の『東京だョおっ母さん』が想起される



二重橋の見学後はベンチに座ってしばし休憩。



そこでは、仕事の話に。




カーリーは現在、『えいごであそぼ with Orton』(NHK Eテレ)に、レギュラーキャラクターのKARLEEとして出演中。
お団子ヘアにラブリーな衣装で、絵を描くことと子どもたちに英語を教えることが得意なOrton Townに暮らす女の子を好演している。




「NHKはリーチ力あるし、世界に通じる大きな仕事だと思うよ」

―――本当にラッキーで、感謝しかないですね。




カーリーがモデル活動を本格的に始めたのは2017年に入ってから。

インターナショナルスクールの先生になることを目標に、カナダの大学で教育学を学んでいたが、重度のホームシックになり休学。
それから友人が多く暮らす故郷同然の日本に戻ってきて、アルバイトで英会話講師などをしながら、エキストラができればOKぐらいの気持ちで芸能活動をスタート。

するといきなり、その年の3月に『えいごであそぼ with Orton』のレギュラーが決まるなど、順調に回りだしたのだとか。




いずれは先生という職に就きたい自分にとって、今はかなり貴重な経験を積めていると微笑む彼女には、特別な存在がいるらしい。




―――あ、ちょっといいですか。

カーリー



そう言って、やにわに皇居前広場を走り回るカーリー。

広大な碧空の下で、半端なくおどけてみせる。





―――日本には、私にとってのおばあちゃんがいるんです。4歳ぐらいの頃に、ママと偶然入った近所の居酒屋のおばさんのことなんだけど(笑)私のことを孫みたいに可愛がってくれて。

「へぇ、出会いだね」

―――それで、よくその居酒屋を手伝ってたから、5歳のときには生ビールをサーバーでつぐことができたよ。

「今も連絡取ってる?」

―――うん。おばあちゃん今は東京を離れて北海道の網走に住んでるんだけど、3回ほど会いに行った。逆に私がカナダにいるときも、よく電話くれて。その頃はお金もなくて食べるのにも困ってたんだけど、私の声聞いただけで元気ないのが分かったみたいで、お煎餅、お茶漬け、カレー、お米とか、たくさんカナダに送ってくれたりしたの。とにかく、大好きな人。

カーリー

デニムは母親のお下がり





人は受け継ぎ、受け継がれ、営んで往く。
そして、支え合って共存して往く。

相当に、シンプルだ。





そんなことを思いながら、次に目指すは、日本が受け継いできたザ・シンボル、東京タワーである。


カーリー






◇写真:鈴木清美
◇構成:前田レイ





KARLEE RAE OPAL

カーリー・レイ・オパール

カナダ出身、日本育ち。父がネイティブアメリカン、母がヨーロッパ系カナダ人。ファッションモデルの他、『えいごであそぼ with Orton』(NHK Eテレ)にレギュラー出演するなど多方面で活躍中。







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