2017.04.07

黒船ガール×路線バス:CITYSCAPE vol.4 (3/4)




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13:40 │ 菊屋橋/日本一の道具街

バスストップ


/KIKUYABASHI




バス停「菊屋橋」で降りると、菊屋橋交差点にあるビルの屋上からニョキっと顔を出す、イカついコックのオジサンが目に飛び込んでくる。




―――うわっ、何これ。


菊屋橋




「かっぱ橋のシンボルだね。ジャンボコックって呼ばれてるらしいよ。この通り一帯は、かっぱ橋道具街っていうところで、ありとあらゆる調理器具が揃ってる」

―――へぇ、浅草は何度も来てるけど、近くにこんなのがあるなんて知らなかったな。でも、なんで料理の道具を売ってるのに、かっぱ橋っていうんだろうね。



かっぱ橋



かっぱ橋には、「雨合羽」と「河童」、ふたつの由来がある。


雨合羽説は、昔この辺りに伊予新谷の城主の下屋敷があり、天気の良い日に、侍や足軽が内職で作った雨合羽を近くの橋に干していたことから。

河童説は、台東区松が谷3丁目にある曹源寺、通称“かっぱ寺”に端を発するもの。
この辺の土地は水はけが悪く、洪水も起こりやすかったため、合羽屋喜八という人物が私財を投じ掘削工事を行ったのだが、なかなか捗らない工事を、かつて喜八に命を助けられたことのある隅田川の河童が手伝ってくれて、その河童を見た人はその後、商売が繁盛したという。
曹源寺には、河童の墓所と手のミイラがあるのだとか。




なお、この地が道具街になったのは、大正初期。
道具屋、小間物屋、古物商などが居並び始め、同業者が徐々に集まり、一大道具街に発展した。



ヤンニ

頭に載せているのは帽子、ではなくタワシ



「スウェーデンに、こういうところある?」

―――いや、さすがにないと思うよ。



見慣れない調理器具も多いようで、ヤンニも興味津々の模様。



「スウェーデンの味で、何が一番恋しい?」

―――例えばミートボールとかは自分でもよく作るし、IKEAでも売ってるしね。でも、私のお父さんはレストランで働いてたこともあって料理が上手なんだけど、お父さんの作る肉と野菜がたっぷり入った、カロープスっていうシチューは恋しいかな。あとは、スウェーデンは魚のグラタンとかポテトのグラタンとか、オーブン料理が多いんだけど、そういうのもたまに食べたくなる。向こうのキッチンには必ずオーブンがついてるから。

「寒い国だし、身体を温めてくれるオーブン料理は欠かせないんだろうね」





そして、かっぱ橋で外国人に人気のスポットといえば、食品サンプル専門店だ。


かっぱ橋の食品サンプル専門店

かっぱ橋の食品サンプル専門店にて。店によっては製作体験ができる



―――スゴい!これ買って帰りたい!!



そう言って、ビールがなみなみと注がれたジョッキ(のサンプル)を持って喜ぶ、無邪気な金髪レディ。

ゴージャスに盛り付けられたパフェなどではなく、わき目も振らずビールジョッキに反応するあたりは、やはりゴリゴリのオジサン気質なのだった。


“東京→夢の下町”と名付けられた都営バスS−1系統

“東京→夢の下町”と名付けられた都営バスS−1系統。外観がキュート



15:10 │ 上野公園山下/うららかに歩きつつ

バスストップ


/UENO-KÔEN-YAMASHITA




それから再びバスに乗って、停留所「上野公園山下」で下車。



ヤンニ



―――上野に来たの、久しぶり♪



ヤンニもなぜか嬉しそうなので、上野公園を散策することに。


春先に色めく園内は、躍動感に溢れている。





「季節はどれが好き?」

―――春もいいけど、夏がいいかも。日本の夏は暑くて死にそうだけど、スウェーデンの夏は最高だよ。スウェーデンでは1年通して最低5週間はバカンスを取ることができて、法律でも決められてるから、夏は仕事しないの。

「最低5週間!?羨ましい、というかワークライフバランス的な考え方の違いがモロに出てるよね。そんなに長い休み、どうやって過ごすの?」

―――スウェーデンでは日焼けするのが一種のステータスだから、タイとかスペインとか暑い国に行って、真っ黒になって帰ってくる、みたいな感じかな(笑)。私もいつもお母さんに『もっと外出て日焼けしなさい』って言われて育った。

「美白を大事にする日本人とは価値観がだいぶ違うね」


ヤンニ



―――まあ、太陽が貴重だから、暑いのに憧れるっていうのもあるんだろうね。でも、冬は冬で面白いよ。スウェーデンの人はサウナが大好きなんだけど、大自然の中にポツンとサウナ小屋が立ってて、その横にある凍った湖や海に穴を開けてある。で、サウナで思いっきり汗かいて、ダッシュで湖や海に飛び込んで、またサウナに戻る、みたいなことを繰り返すんだよね。

「もうショック療法だね(笑)。ある意味、健康法なのかな」

―――水に入る瞬間はたしかにショックだけど、勢いが大事だね。たぶんスウェーデンの人は健康にいいと思ってる(笑)。あと冬といえば、私はクリスマス・イヴが一番好きかな。その日は小さい頃から家族全員で過ごすって決まってるから。日本にいて帰れなかったことが過去一度だけあったんだけど、そのときは家族と数時間スカイプしてて、ホームシックでずっと泣いてた。あんなに寂しいことは、もう二度とやりたくない(笑)

「そういうところはオジサンが完全にどっかいっちゃって、むしろ子どもっぽいというか、ピュアだよね」

―――そう。自分では隠してるつもりなんだけど、なんか子どもっぽいって、よく言われるよね(笑)

「オジサンっぽかったり、子どもっぽかったり、忙しいね(笑)。ちなみに、スウェーデンの正月ってどんな感じ?」

―――お正月は友だちと朝までとことん呑む。だから、次の日は国全体が二日酔いだし、デリバリーのピザが1年で最も売れる(笑)。日本人は二日酔いになったら、味噌汁とか飲んだりするでしょ?スウェーデン人は基本的に油っこいのが好きだから、そこはピザなんだよね。あのね、正月、マジ辛い(笑)



ヤンニ





ハングオーバーでピッツァを頬張るスウェディッシュ。



うん、画の破壊力、ハンパない。






◇写真:鈴木清美
◇構成:石井ミノル







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