2017.05.22

【美しき花屋】見積もり・見繕い・シンフォニー

Beautiful Florist │ Estimation, Choice, Symphony




花とか分からへんな

めちゃめちゃ門外漢やわ

しかも時間ないな



まあ花屋の人に聞いたらええか

適当に見繕ってくれるやろ



とりあえずこっから一番近い花屋行こ



地図ではここらへんやな






お、あったあった……





【美しき花屋】見積もり・見繕い・シンフォニー





俺





(なんか、ちょっと雰囲気スゴいな…)
お邪魔しまーす。





俺





・・・・・





俺





あの、すいませーん。





俺





・・・・・





俺





(あれ、誰もおらんのか?)
お邪魔してまーす。





俺





・・・・・





俺





すいませーん。





俺





・・・・・





俺





(おい、なんやこの花屋)
すいませーーん!





俺





・・・・・





俺





あのー!!

すいませーーーん!!!






花屋





あーもうほらっ!!!

ズレてるよっ!!!!




【美しき花屋】見積もり・見繕い・シンフォニー





俺





・・・・・



花屋





ズレてるのよ。



俺





・・・・・



花屋





すいません、すいませんって。



俺





・・・・・



花屋





なんですか?



俺





(距離感エグいなぁ)
あの…

花を…

見繕ってほしいんですけど…




花屋





花を?

私じゃないんだ。




俺





え?



花屋





だったら、別に謝る必要なんてないじゃないの、はじめから。



俺





いやいや…



花屋





あんな、すいませんの圧。

熱を帯びすぎてて、出るか出ないか迷いますよ。




俺





・・・・・



花屋





私だから、よかったものの。



俺





・・・・・



花屋





・・・・・



俺





・・・・・



花屋





ん、寝た?



俺





ん、寝た?ちゃうんじゃ。
なんや、それ。


ジブン、さっきから何をゴチャゴチャ言うてんの?

客ですやんか。
カスタマーですやん。




花屋





いや、さっきまで大声張り上げて謝り倒してたのに、急に喋らなくなったから。



俺





いや、店の人とか呼ぶときに、すいませんって言いますやんか。

ほんなら、おたくはなんて言いますの、こういうシチュエーションで。




花屋





ありがとう、じゃないですかね。



俺





い、え??



花屋





だって、そりゃ相手の領分に入らせていただくわけなので。

絶対に、それは。




俺





いや、ちょっと。
お姉さん。

あのね。
時間ないんですよ、俺。

さっさと、見繕ってもらっていいですか、花を。

金額も適当に見積もってくれていいので、ちゃっちゃと、やってもらっていいですかね?




花屋





お花を?



俺





はい。
おたく、花屋でしょ?




花屋





なぜ?



俺





この後、パーティがあって、そこで主賓の女性に渡す用ですわ。

なので、割と派手に、オシャレにやってもらっていいですかね。

ボリュームは大きすぎず小さすぎず。
色は、赤はマストで、あと紫も差しで入れてもらえると嬉しいです。




花屋





どうして?



俺





・・・・・



花屋





・・・・・



俺





え?



花屋





なんで、パーティをするの?



俺





いやまあ、よろしいやん、それは。



花屋





いや、全く。
全くもって、よろしくないよ。

見繕いを、なんだと思ってるんだ?っていう話になってきますから、それは。




俺





いや、普通に祝い事ですね、ビジネス関連の。
業界はメディア系。

だから、上品な感じで、お姉さんの美的センスでガガっと見繕ってくださいよ。

お任せしますので。




花屋





祝われる側の承服は。



俺





はい?



花屋





見繕っていいかどうかのジャッジは誰が。



俺





俺やがな。
花を渡そうと思ってるのは俺自身やから。
誰に強要されたわけでもないから。




花屋





あなたが。



俺





そうじゃ。



花屋





へぇ。



俺





・・・・・



花屋





・・・・・





【美しき花屋】見積もり・見繕い・シンフォニー










【美しき花屋】見積もり・見繕い・シンフォニー





花屋





・・・・・



俺





・・・・・



花屋





まあでも。

この場合、私は見繕うけど、私を見繕ってくれる人はどこにいるんだろう?ってやつが入ってきてる感じがしなくもないですよね。

そこは、ちゃんと見積もってくれないと困り果てそうかも、お互いに。
中長期で見て、双方で、しっかり。
相見積もりしとかないと。




俺





・・・・・



花屋





それから、あなた。

たぶん入ってきた瞬間から、ずっと見てるつもり、見つもりになってるから、ちゃんと見た方がいいよ、ここは花屋だし。




俺





ややこしい、ややこしい!
アホなんけ?


なんや、オマエ。



花屋





・・・・・



俺





かまってちゃんか?

サイコなんか?




花屋





・・・・・



俺





よう分からんけど、とりあえず、“見てるつもり”が“見つもり”はダメでしょ。
そんな強引なん、あきまへんで。
普通の“見積もり”の方が世の中的には市民権を得とるから。

しかもな、ただでさえ“見積もり”って意味合いがフワッてしてるから、そこに“見てるつもり”の“見つもり”が入ってくると、コミュニケーションがおもっくそフワフワッてなんの分かるやろ?
入り組みすぎとるわけ。


なので、“見てるつもり”の“見つもり”は、やめてくれますかね?

“見てるつもり”っていうのが、そもそも訳が分かりませんし。




花屋





語弊を恐れずに言うと、どっちでもいいようにしてるかな。



俺





恐れよ。
めちゃめちゃ恐れよ、それは。

特におたくみたいな人は、語弊を恐れないと話にならん可能性がデカい。




花屋





でもさ、恐れって、たいがい見積もりが弱い場合に出てくるもんだよね。



俺





おい、気色の悪いヤツやな、オマエは。



花屋





いや、気色は良いですね。
良いと自負しております。

さっきも鏡見たけど、気色は良かった。




俺





・・・・・



花屋





・・・・・



俺





誰やねん、オマエ。
見た目はどうでもええねん。




花屋





気色って色が入ってる時点で、視覚でしょ?



俺





いや、どつくで?

こんな風にされて、性別も立場も関係ないで。
あんまり調子に乗らん方がええで。




花屋





いや、じゃあ逆に聞きますけど、色を聞くとか色を匂うとかって聞いたことあります?

色って、見て初めて、色めくものですよ。




俺





おいコラ、やかましい。
しょうもない。

他の店員呼べ。
オマエ、もうええから。




花屋





どうして、そんなことを易々と言えるの?

せっかくふたり縁があって、こんな綺麗な空間で出会って、ここまでやってきてるのに。

ビックリしてるよ。




俺





・・・・・



花屋





まあ、私がオーナーだから、他の店員がいたとしても見繕いはさせないけど。
私のセンスを越えてこない限りは。




俺





ほんなら、はよっ!!!

どうでもええから、はよっ!!!

今やろっ!!!

センスを発揮する絶好の機会やないかっ!!!



チャチャっと花選んで、パパっと整えたらええだけやろが。

もうあと、15分ぐらいしかないねん。




花屋





・・・・・



俺





・・・・・



花屋





15分と言えば、私が朝起きてから家出るまでの時間だね。

どうして、そんなにスピーディだと思う?




俺





もうええ。

自分で選ぶから、どけ。
レジだけやっとけ。




花屋





できませんね。
それでは、売れません。

そのようなことでは、商えません、こちらとしましても。




俺





おい。
オマエ、いったい何を考えてんねん。




花屋





見繕う前に、全然、見積もれておりません。



俺





ドしつこいな、オマエ。



花屋





ドスコイ、とかじゃないのよ。
こんなに華やいだ空間にねじ込んでこないで、そんな力強い表現を。

で、見繕う前に、物事をことごとく見積もれてないのよ、あなた。
そんな気概で来られたら、こちらも心積もりができませんってことなんです。




俺





何を抜かしとんねん、オマエは。
気持ちの悪い。

時間がない言うてるやろが、こっちは。
めちゃくちゃやぞ、オマエ。




花屋





いいじゃん。
それでいいじゃん。

この場はそれでいいじゃん。

それがいいじゃん。




俺





・・・・・



花屋





ほら、見てごらん。
見渡してごらん。

花にも様々な種類があって、一見めちゃくちゃじゃん?
すっごく、めちゃくちゃだよね?

ただ、一見はだよ。
そこ勘違いしちゃダメ。

二見とか三見とかしたら、また様相が変わってくるの。
よりピースフルな感じになってくるから。




俺





・・・・・



俺





(コイツはスゴいアカンぞ、絶対的にハードや、ほぼ完全にもってかれてるな、周りの花と空気感にも相当カモフラージュされてる臭いし、だいぶヤバいな、でも、この近辺に他に花屋はなさそうやしな)



花屋





あとさ、なんで、もっと早く来ようとしないの。



俺





・・・・・



花屋





首尾の悪い。



俺





は?



花屋





ここに来てるから趣味はいいけど、首尾が悪いって言ってんの。

もう少し早く来てたら、結果も違ったかもしれないよね。




俺





・・・・・



花屋





見繕うってことを甘めに見積もってるから、そうなるんじゃないの?



俺





おい、舐めとったらアカンぞ、オマエ。



花屋





舐めません。
そんなヘキはございません。
ちゃんとしてます、そこは。

ちゃんとしないと、気が済まない性なので。
そこの美学はあって、こう見えてヤリ手です。




俺





失笑



花屋





失笑



俺





うわ、わろてる。



花屋





いえ、笑ってないですよ。
デフォルトが笑顔で、真顔が笑ってるみたいなもんなんです。




俺





それ、アホやないか。
ヤバいヤツやないか。


いや、もうええからぁ。
はよしろやぁ。
なぁ。

はよしようや。
な?




花屋





コロッケ屋さんの?



俺





・・・・・



花屋





・・・・・



俺





なんて?



花屋





はす向かいの、コロッケ屋さんの息子さんじゃないの?



俺





なになに??



花屋





すっごい似てる気がしたんだけど、あなた。
フェロモンが。




俺





クソくっだらん、オマエ。
いらんねん、そんなん。




花屋





いる。
あそこのコロッケ食べないと、仕事にも身が入らない。




俺





・・・・・



花屋





ちょっと高いけどね。
ジャガイモ、バカみたいにイイやつ使ってるみたいだから。




俺





・・・・・





【美しき花屋】見積もり・見繕い・シンフォニー





シンフォニー





・・・・・





俺





(なんなんじゃコイツは、尋常じゃないな、歪曲フィールドには歪曲フィールドで返せってことなんかな、例えば変なヤツを演じたら変なヤツらと共存できるし問題なく切り抜けられたりするもんな、どうしたろか、いやいや、ちょっと待て、なんで俺がこんな気色の悪い郷に入らなアカンのじゃ、そんなんあり得へんやんけ、もうちょい正攻法でいったろか)



花屋





・・・・・





【美しき花屋】見積もり・見繕い・シンフォニー





俺





・・・・・



花屋





・・・・・



俺





なあ。
もう、はよしませんか?

まだ大丈夫やから。
引き返せるから。

はよしよ、花。

花屋さん、お願いします。




花屋





痒い。



俺





痒い?



花屋





うちの花々の粉々で、鼻がちょっと痒いわけ。
だから、ずっとティッシュ持ってるっていうのはあるよ。

これね。
右手に持ってる、これ。




俺





・・・・・



花屋





これじゃないとダメなの。
このやつじゃないと。




俺





わざわざ持っとかんでも、そこらへんに置いといたらええんちゃうんかいや。
接客するんやろが。

ほんで、そんなデリケートな鼻して、よう花屋なんかやっとんな。




花屋





そこで言うと、逆に、だよね。
それこそ読んで字のごとく、逆に、だよね。

なぜティッシュ箱を持ってるんですか?から始まる会話が逆に好きっていうのと、デリケートな鼻を持ってるからこそ、逆に花屋を選んだんだよね、職業として。




俺





・・・・・



花屋





間違ってなかったと思ってる。



俺





なあなあ。

俺の話、聞いてる?
口を閉じて、耳を開ける。
鼻はこの際どうでもええんよ。

そして、俺は、この後予定があんねん。
こんなローション相撲みたいなところで、スベり散らしてる暇はないねん。




花屋





ティッシュ使う?

でも、ちょっとローション拭くにはセンシティブすぎるかも。




俺





ぅゴラーッ!!!!



はよせえって言うとんじゃ!!!!

ちゃっちゃと花を見繕わんかいや!!!!

急いどんじゃ俺は!!!!




【美しき花屋】見積もり・見繕い・シンフォニー





花屋





熱風のイリュージョンだ。



俺





おい!



花屋





狼狽だよ、これは。

今年一番の狼狽になるよ、これは。




俺





おい。



花屋





・・・・・



俺





オマエ、どうしたいねん。

おい。




花屋





私はいい。
けど、花が狼狽したら、この世界はどれだけの悲壮感に包まれるか。

そんな状況で、見繕えるわけないじゃない。
もちろん、見積もることも。
そしたら、仕入れ先にも迷惑をかけてしまう。




俺





もうええぞ。

言いたいだけやんけ、オマエ。
ちょっと美人やからって、何でも許されると思うなよ。




花屋





いったい何を言ってるの?
ていうか、なんでそんなにムキになってるわけ?

内心穏やかじゃない。




俺





・・・・・



花屋





どうして、そんなに気忙しいの?
ここ、花屋だよ?

身勝手に乱さないで、シンフォニーを。




俺





オマエが、早くせえへんから、こうなっとんねやろが。



花屋





そんなんだから、モテそびれてると思う、現状。
あなたの伸びしろ、スゴいと思ってる。




俺





・・・・・



花屋





上手くは言えないんだけど、なんだろ。

もっとこう、なんかもっとさ、もっと、イケる気がする。




俺





中華料理屋の換気扇か、オマエ。



花屋





・・・・・



俺





・・・・・



花屋





ちょっと、何言ってるか分からないけど。



俺





油汚れやないか。
スゴい、スゴく、しつこいっちゅうこっちゃ。

ちょっと考えたら分かるやろが。
ほんで、こういうとこだけ正気になるな、アホンダラ。




花屋





いいねぇ。
メモですね、それは。




俺





・・・・・



花屋





・・・・・



俺





何を目指してんねん、オマエ。
どこ向かっとんねん、オマエは。




花屋





だって、鳥肌立ったよ。
見る?




俺





あぁ?



花屋





ん?





【美しき花屋】見積もり・見繕い・シンフォニー





シンフォニー





・・・・・



俺





なんや。



花屋





なんなの。



俺





なんなの?



花屋





・・・・・



俺





だから、はよ。

はよしたら?

早く、一刻も早く、花を見繕ったら?

どうしてもできひんねやったら、俺が自ら見繕って、金もちゃんと払うし、普通に売れ。




花屋





できないことないよ、そんなの。
全然できるよ。
ほぼ私の不可侵領域。

いつから?




俺





おのれ、バイタリティどうなっとんねん。



花屋





そんなのいいから、いつから見繕ってもらおうと、たくらんでたの?



俺





1時間ぐらい前や。
それがどないしたんじゃ。




花屋





いましたねぇ。



俺





何がや。



花屋





先週、似たような見繕い人がいましたよ。
あなたと同じように、何も見積もれてなかった見繕い人が。

立地的にも結構多いんですよね、そういう男。




俺





はい、もう終了。
出るぞ。




花屋





出てどうするの?



俺





出てどうするの??



花屋





このあたりで花扱ってるの、うちしかないよ。

贈り物、どうするの?
手ぶら?




俺





ぅおら!!!!!

ぅあーー!!!!!




花屋





うるさいのよ。



俺





誰がうるさくさせとんねん。
しばくぞ。

もう、あと6,7分やぞ、オマエ。




花屋





いや、6,7分って、どっちなの?
バッファとるよね。




俺





もう、こっちを見るな。
花を見い、花を。

はよせえ。




花屋





どこまでもフォギーだよね。
それじゃ、見積もりも甘くなるわ。




俺





フォギーなんは、オマエやろ。
めちゃめちゃフォギーでボギーなんじゃ、オマエが。




花屋





普段ラップでもやってんの?



俺





ダルマさんが転んだっ!!!



花屋





・・・・・



俺





転んでるぞっ!!!



花屋





どこで?
何色のダルマ?




俺





・・・・・



花屋





転んだっていうか、スベったっぽくない?

止まれってことを言いたかったの?




俺





スベっても何とも思わんぐらい、はよせえってなっとんねん。
サービス料も多めに払ったるから、はよ花をせえ。
花と向き合って、こっちを見るな。


あと、オマエな。
一応言うといたるけど、ここまでやってたらアカンで。

美人でオモロイって最強ではあんねんけど、明度と彩度と限度があんねん。
こんなん言うのはアレやけど、美人って基本的にオモロないから、オマエにはものすごい可能性を感じてん、この10分ぐらいで。

ただ一方で、シンプルな部分はしかるべき形で社会に還元せな、無駄に損するぞ。
不用意に芽は摘まん方がええからな。




花屋





あ、ありがとう。



俺





ここは素直なんかい。

都合ええな、オマエは。
長生きするわ。




花屋





・・・・・



俺





おい、こっち見んでええから、はよせえ。
どんどん迫っとんねん。

ケみたいな花屋で時間食って、ハレの場に遅れたら、シャレならんやろ。
ハレをケにすなよ。




花屋





意味不明なのよ!!!

ケなわけないじゃん!!!

ハレとまでは言わない!!!

でもケじゃない!!!

決してケじゃないよ!!!

日出処だよ!!!

ここは!!!






【美しき花屋】見積もり・見繕い・シンフォニー





【美しき花屋】見積もり・見繕い・シンフォニー








俺





はよせえコラッ!!

店内でめちゃめちゃ本気で暴れ回ったろかっ!!




花屋





ちゃんと見繕ってよっ!!



俺





見繕うのはオマエの仕事やろがっ!!



花屋





あながち今回はそうじゃないっ!!



俺





やかましいんじゃっ!!!

何を言うとんねんオマエはっ!!!




花屋





それだけ純真ってことっ!!!

どうしてそこを見積もれないのっ!!!

これじゃ見繕うまで達しないじゃんっ!!!

見繕い合うまでいかないじゃんっ!!!

悲しいよっ!!!




俺





どっからどう見ても、悲しいのはこっちやろがっ!!!

ビジュアルがええだけで、どうしようもないヤツやなオマエはっ!!!




花屋





絶対こっちっ!!!!



俺





なんでオマエが悲しいねんっ!!



花屋





あっち向いてっ!!!!



俺





ほいっ!!!!

指やめろっ!!!!

オマエがこっち向くなっ!!!!




花屋





そっちこそっ!!!!

ずっと見てるつもりじゃんっ!!!!

見つもりじゃんっ!!!!




俺





そ、れは、やめとけ言うとんじゃ。

マジでやめてくれ。
左脳がバグる。




花屋





じゃあ、私をちゃんと見てよ。



俺





見とるやないか。



花屋





見てないよ。



俺





見てるって。



花屋





どこを。



俺





一通りは全部見た。
かなりベッピンやから、ずっと見てたっちゃ見てた、最初から。

オマエもタイプのイケメンおったら、上から下まで舐め回すやろが。




花屋





そっか。

そうなんだ。




俺





せや。

まあ、男はそんなもんやろ。




花屋





もういいよ。

で、なんだったっけ、見繕いの注文は。




俺





・・・・・





【美しき花屋】見積もり・見繕い・シンフォニー





【美しき花屋】見積もり・見繕い・シンフォニー








俺





あ~あ。

もう、盛大に始まっとるやろなぁ。




花屋





そんなの、いいじゃん、別に。

またやればいいんだし。




俺





なあ。

1コええか?


オマエ、これ、このメディアに初めて来た新規の人が、一発目にこの掛け合いを読んだら、どう思うん?
どんな感情になると思う?




花屋





別にどうともならないでしょ。
買いかぶりすぎじゃない?

ただ、どことなく、ティム・バートン監督の世界観と通じるものを感じたりするんじゃないのかなぁ、とは思ったりしてるけどね。




俺





いや、オマエ、それはティム・バートンに失礼やろが。
ジョニー・デップもさすがに出てくれへんで、こんなもん。




花屋





そりゃ、日本の間の取り方は、欧米には荷が重いでしょ。



俺





そこちゃうやろ。


まあ、ええわ。


ほんなら、せっかくやし、花ちょうだい。
この店の中で一番クセの強いやつ。


黒歴史的な感じで、家に飾るわ。




花屋





あぁ、悪いんだけど、うち、実はほぼ全部ドライフラワーなんだよね。

なんか、ただでさえ儚い世の中なのに、仕事場まで儚いのってイヤなの、私。




俺





ドライやなぁ。



花屋





ねぇ、ドライだよねぇ。

ドライな世界に生きてるよ、ホントに。




俺





まあな。


でも、マティーニ・カットとしては、ようできとるわ。
意図的じゃなかったとしても、最後の最後までスゴいわ、あんた。

ドライマティーニ、飲みたなってきたし、今夜一緒にどうや。




花屋





うん。

行く。






La Fin