2017.10.10

栃木の「大谷石地下採掘場跡」は、見事にアイソレートされた威風堂々のリアルダンジョン

宇都宮:極大空間:淡き光明


早速だが、関東近郊にそれはそれは濃密なダンジョン気分を味わえる秘境があるという情報をキャッチした。


場所は「大谷石地下採掘場跡」。

その名の通り、栃木県宇都宮市の大谷一帯に存在する大谷石を採掘するための地下採掘場の跡地。
これまでも数多くの映画、ドラマ、ミュージックビデオのロケーションに使用されてきたほどに、その非日常感は折り紙付きということで、否応なく期待が高まってくる。


てなわけで、問答無用で殴り込み。


Hiho Hiho to オオヤイシチカサイクツジョウアト


大谷石地下採掘場跡を擁する大谷資料館までは、新宿から車で約2時間ということで、都道を進み首都高速へ。
川口JCTから東北道・宇都宮方面に向かい、浦和本線料金所を抜ける。
そして、埼玉スタジアムを横目に、一気に埼玉を縦断。

東北自動車道の道中は休憩がてら佐野PAにも立ち寄りつつ、高速宇都宮ICに到着。
その後は、国道を大谷方面へ進んでいく。


やがて、チラチラ目に入る“餃子”の文字のパワーが強いこと強いこと。
旅の趣旨が瞬間的に変わってしまいそうな圧で、ガンガン目に飛び込んでくる。
とにかくヨダレの分泌加減で、宇都宮に入ったということが分かるのだが、そこは立派な県庁所在地。
まだまだ秘境に来たという感じはない。



が、そう思っていたのも束の間、道沿いのレストランやコンビニは徐々に姿を消し、緑の比率がだいぶ上がってきた。
それからさらに、田畑や林が広がる道を10分ほど行くと、遠くに岩肌が顔を覗かせる。



ついに、それらしき看板もお目見え。

大谷資料館の看板


なお、この案内板から大谷資料館までは少し距離があるのだが、その間に駐車場が3つも用意されている。
今回はその中で最も大きい第二駐車場に停めることに。
場所は看板のすぐ近くで、200台は駐車可能。



また、駐車場の眼前は岩山で、もうすでにRPG風の香りは立ち込めているが、入口まではもう少し歩かねばならない。



そうして、傾斜道を歩いていると、突として原因不明の寒気がしてくる。
辺りを見渡してみると、立ち入り禁止の注意書きの先に、空洞があった。

実はその空洞、地下採掘場へと続いているらしく、そこから冷気が外に漏れていたようなのである。
若干の動揺を隠しつつ、歩を進めていく。

休憩所



これがリアルダンジョンの入口か。
この岩山の地下に、かの旧帝国ホテルにも利用されたという大谷石の採掘場があるのか。


と思いきや、洞穴のように見える部分はただの休憩所で、ベンチや喫煙スペースがあって、普通に一服。



ほんなら入口はどこにありますの~そんな暇ちゃいまっせ~的なノリでタラタラ探していると、こんな建物を発見。

地下坑内入口



まあ、大谷石採掘場が大谷資料館に併設されていることは知っていたが、さすがに入口は別にあると思っていたので、うっそ~ん?いや~ん?入るところも一緒なの~ん?みたいな。




気を取り直して、大谷資料館に入ってチケットを購入し、いざ、ダイブintoアングラ。

大谷石地下採掘場



まず、この時点でいきなり肌寒い。

それもそのはずで、大谷石地下採掘場の平均気温はおよそ8℃。
8℃って、セーター着て、その上にコート着るレベルの世界よ~ん?というか、もはや冷蔵庫。

ただ、この日は気温が高かったので、採掘場内も平均より高い13℃。
まあ大丈夫だろうということで、勢いで突入。

大谷石地下採掘場



進めば進むほど、天井から滴る水と冷気が相まって、有無を言わさず非日常に引き込まれていく。
さらに、坑内はかなり広いようで、その全貌は掴めない。

というのも、大谷石地下採石場は広さ約2万㎡、最深部は地下60mに及ぶ巨大空間で、東京ドームが丸々ひとつ入ってしまうほどの規模感らしい。
第二次世界大戦の際には、そのサイズを活かし、陸軍の地下倉庫や軍事工場としても利用されていたようだ。

なお、写真では明るく見えるが肉眼ではもう少し暗い体感なので、たまに落ちてくる結構デカめの水滴に割とマジでビビる。

大谷石地下採掘場



ちなみに、大谷石を採掘するときは、まず山に横穴を掘り、柱を残しながら地下を掘り進めるという。
その影響で、クールな石柱がいくつも立っているのだが、石柱というのは神殿を思い起こさせる。

アテネのパルテノン神殿など、世界的に有名な神殿は基本的には円柱が多いイメージだが、こういう四角柱も、洗練されていない粗削りな佇まいが渋い。
しかも、それが地下空間に広がっているとなれば、そりゃ映画のロケでもハマるわけである。
また、撮影で使われた場所にはいろいろと説明書きがあるため、いわゆる聖地巡礼はやりやすくなっている。

大谷石地下採掘場



そうして途中、何やら気になる箇所を発見。

規則正しく縦縞が刻まれている。



どうやら機械彫りの跡のようで、大谷石の採掘が行われていたのは大正8年から昭和61年までの約70年間で、作業が完全に機械化されたのは昭和35年。
それまでは手掘りで作業が進められていたというから驚き。
なんと、石を1本掘るのに、ツルハシを4,000回振る必要があったのだとか。

もう、なんか、現代人って本当にいろいろと恵まれてますよね。
うわ~インスタ映えするかも~フォロワー増えた~♪じゃねえんだよってか。

大谷石地下採掘場



逆サイドから見ると、こんな感じ。
ライトアップが効いて、極めて幻想的。

地下深くの巨大空間というだけでも魅力的だが、光の演出が加わることによって神秘性が増し、自然への没入感も大きくなる。

ちなみに、坑内にはギャラリーになっている階層もあり、過去に映画などの撮影に使われた際の写真が飾られていた。
また、探索できるのは全体のほんの一部で、水が溜まっている場所や、軍事工場時代に掘られた外に繋がるトンネルなどは立ち入り禁止になっている模様。





ここで、ふと、身体がギャンギャンに冷たくなっていることに気付く。


これは、なるはやで外に出て、餃子で回復しなければならねぇ。
頭の中は、寒さよりも餃子が圧勝だぜぇ。

念願の宇都宮餃子


行きの道中で見かけた“餃子”の2文字を追い求め、宇都宮駅方面へ車を走らせる。

美智都



すると、大谷資料館から10分ほどのところに『美智都(みちのく)』という、いかにもな色使いの店舗が。

宇都宮餃子はもちろん、種類豊富なラーメンを楽しめるお店とのこと。






勇み足で入るや否や、餃子と酸辣湯麺(サンラータンメン)をオーダー。






はい、美味そう。
餃子とラーメン、左右どっちに置くか迷うやつも健在。

餃子と酸辣湯麺



実のところ、酸辣湯麺は人生初挑戦だ。

まずはスープから。

一口。





辛ッ!?

いや、辛ッッ!?






いやいや、酸辣湯、辛ッッッ。
でも、なぜか箸が伸びやがる。
ぶち辛いけれども、だんだん癖になってきやがる。



そんなこんなで、汗だくになりながらラーメン完食。
食べ終わった頃にゃ、身体ポッキャポキャ。





さて、続いて、待ちに待った餃子。

一口。

はいはい。
これは食レポするまでもなく美味、たぶんな。
シンプルに美味、たぶんな。
だってさ、口の中に辛さがおもいっきり残留してやがるから、断言できないんだぜ。
ていうか、美味しくねえわけがねえだろうから、以上。



おしまい。


あとがき


採石場自体は全国各地にあるが、地下にある採石場はその性質上、地盤沈下の恐れがあったり何かと危険性があるため、見学可能なところは少ないらしい。
おまけに地下神殿っぽい存在感をズバズバ放つ大谷石地下採石場跡は、全国的に見てもレアな秘境だと言える。
しかも、それが都心に近い宇都宮にあるのだから素晴らしい。



というわけで、ちょっとした気分転換を求める人、現実逃避したい人、RPGフリークは、大谷石地下採掘場へゴゥゴゥ!ゴゥゴガゥ!!





◇text:中西俊晶/A4studio




「大谷資料館」INFO


■住所
栃木県宇都宮市大谷町909

■電話番号
028-652-1232

■営業時間
9:00~17:00

■定休日
無休
※12月29日~1月2日は閉館

■料金
大人 800円
小中学生 200円







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