2016.08.19

【ビジネスと会計】会計はそこまで難儀ではない。そんなメッセージ性

Who the hell are you?



『宴もたけなわですが。』


都心の繁華街中心地から徒歩数分のところにある、黄色い提灯が壁一面を彩るビルの地下1階の飲食店。24時から始まった宴が終わろうとしていた。


『1人40,000円です。』


くだらない雑談を続ける人、とっくに帰り支度が済んでいる人、誰もがおもむろに財布を取り出し、諭吉4人を幹事の鈴木に手渡した。


『はい、ちょうどいただきます。』


こうして、参加者99人から合計3,960,000円を集めた鈴木はレジへと向かい、クレジットカードを出した。

ヒゲとオーラの濃い名物ママは上機嫌で『また来てね~、お疲レーシック~、角膜ペリペリ~』と鈴木たちを揚々と見送ったのだった。


実生活でもビジネスでも、生き抜くために現金を持て。みたいな

実生活でもビジネスでも、生き抜くために現金を持て。


どうも、鈴木です。

今回、“会計”について述べるために参上です。


ボクが社会人1年目の時にクレバー先輩から教わった「飲み会の幹事に立候補して現金を手に入れる方法」が、その10年後にビジネスをテーマにした勉強会で知った「黒字倒産」と見事に繋がり、スパークしました。

クレバー先輩が教えてくれたのは、「飲み会などで参加者から現金を集め、支払いは自らのクレジットカードで行う」というものです。そして黒字倒産とは平たく言えば、「売上も利益もあって優良企業に見える割に現金がなく、支払いできずに倒産してしまう」ことです。


つまり、実生活であってもビジネスであっても、現金がなければ生きていけない。
クレバー先輩と勉強会が教えてくれたことは、結局は、そういうことだと解釈しています。



そして、ボクの周りにはこんなことを言う人がいます。
『会計は複雑で分かりにくい。』

そんなことを言う人に、ボクは決まってこう言います。
『君の脳の方が複雑だよ。』

新しい会計指標がビジネスシーンに登場するようになった。みたいな

新しい会計指標がビジネスシーンに登場するようになった。


ボクは会計システムの企業に新卒入社し、1年目で当時最もヘイトしていた営業部署に配属され、ある日、割と小ダサイ上司が飲みに連れて行ってくれました。その時に割と小ダサイ上司が言い放った言葉を今でも忘れません。


『このグラスを売ってこいと言われたら、売ってくるのが営業なんだ。』


冴えない赤ら顔でヒゲが滅法似合わない割と小ダサイ上司は、右肘をテーブルについて、飲み干したゴッドファーザーのグラスを片手で持ち上げ、タッラタラタッラタラと揺らしながら、自慢気に先のセリフを吐き散らしました。


ボクは、こう思いました。
この割と小ダサイ上司、《エスキモーに氷を売る》を読んだな。だいぶ薄っぺらい。残念すぎる。


そんな割と小ダサイ上司のもと、とにかく契約を取ってくることを優先させられる日が続きました。いわゆる売上至上主義が染みついたセールスカンパニーです。それでも利益率が芳しいモデルであればまだ救われていたのですが、実際のところは自転車操業の火の車といった感じでした。


雰囲気が変わったのは、それから2年後。決済権を持ったトップが交代してからのことです。クオーターの初め、定例の営業会議で配られた年間目標には、「利益」の文字が大きく印字されていました。


『今年は利益を見る。仮に売上を達成していても利益が良くなければ評価はしない。』



なるほどなるほど、21世紀に突入してからというもの、グローバル化の波が押し寄せ、国際会計基準を採用する企業も増えたりと、会計を取り巻く環境も煩雑になっています。

「キャッシュフロー計算書<C/F>」の登場は、代表的な事例です。
基本的に企業は決算を終えると「損益計算書<P/L>」と「貸借対照表<B/S>」をはじめ、財務諸表を作成しなければなりません。
厳密には「株主資本等変動計算書」なども作成しますが、ベースとなるのはP/LとB/Sです。
なお、これら財務諸表を作成するのは、税額を計算したり、外部から資金を調達するためです。
そして、日本の上場企業では2000年3月期から「キャッシュフロー計算書」というものを作らなければいけなくなり、主要先進国の企業会計制度において、「損益計算書」「貸借対照表」に次ぐ第3の財務諸表として位置付けられるようになりました。

その名の通り、キャッシュフロー計算書は、お金の流れを明確にするもので、利益は出ている割に手持ちの現金が足りないのでは?といった、金融機関など各ステークホルダーが抱く懸念を払拭するための資料です。
黒字倒産問題が過去に頻発したことで、よりキャッシュに対して注意深くなったことの表れでもあります。


言わば、ビジネスにおいて、売上至上主義が蔓延る時代から、経常利益や現金回収率といった指標に目を光らせる時代へと変化していったわけです。


会計の勘所は、家計簿を(家計簿アプリでササッとではなく)エクセルでガシガシ作るようなところから押さえろ。みたいな

会計の勘所は、家計簿を(家計簿アプリでササッとではなく)エクセルでガシガシ作るようなところから押さえろ。


一般的には、年齢を重ねるごとに、会計の知識がビジネスで役立つケースは増えていきます。
そんな時にフラッシュバックするのが『会計は複雑で分かりにくい。』と言っていた人の、割と幸の薄い顔です。

しかし、そんな割と幸の薄い顔をした人でも、家計簿くらいはつけることはできます。
そして、家計と会計は、勘定科目と金額感が違うだけで根本は同じです。


ボクは昔からエクセルで家計簿を管理していますし、スタートアップが最初に事業計画を作る時もエクセルを使用するのが現在でも主流です。
やり方は実に簡単で、毎月「前月の繰り越し額」に「収入」を足し、そこから「支出」を差し引き、「翌月への繰り越し」をはじき出すだけです。
家計簿を作っていると、自分なりに管理したいことが増えていきます。
例えば、“自分はいくら稼げば生活していけるのか?”と思えば、毎月発生する支出を「絶対発生する支出」と「我慢できる支出」に分けると把握できます。
家賃や光熱費などは前者、交際費や被服費などは後者です。
そうすると「絶対発生する支出」の合計金額が、最低限稼がなければならない金額となります。


会計に置き換えてみると、およそこうなります。

「絶対発生する支出」
⇒固定費

「我慢できる支出」
⇒変動費


こういったイメージで捉えると、会計が身近のものに感じられるはずです。


そして、会計に対する苦手意識を払拭すれば、企業の成績表と言われる決算資料を実際に読んでみるといいでしょう。


ここで、ひとつテクニックを。
企業の貸借対照表上の「資産」科目にある「現金」は、一般的に月売上の1ヶ月分以上あれば安全だと言われます。
例えば、月商1億円の企業の貸借対照表上の「現金」が、1億円以上あれば安心ですが、それを下回っていると危険フラグが立つということです。
これを、“現預金月商比率”と言い、中小企業でだいたい1.5ヶ月分、資金調達力のある大企業で1ヶ月分くらいを目安にするのがいいとされていて、決算日にその水準をクリアしていれば決算書の見栄えが良くなるという感じです。


学んだ会計の知識はどんどん現場で使え。みたいな


やがて鈴木は、過去にお世話になった割と小ダサイ元上司のお店を訪れることになった。
なんと、割と小ダサイ元上司は数年前に飲食店を開業していて、鈴木の企業の会計システムを購入してくれるかもしれないというのだ。


鈴木は訪問前に、信用調査会社から取り寄せた、割と小ダサイ元上司の店の財務諸表を確認したところ、貸借対照表上の「現金」は月商を優に超えていた。


『いいか田中、ここの「現金」が月商以上であればひとまず安心だ。それを現預金月商比率っていうから覚えとけ。』
鈴木は新人の田中に、ドヤって教えてやった。そして、他の財務状況もあらかた確認した鈴木は、会計システムを売り込むために部下を連れ、割と小ダサイ元上司の店を訪れた。




『やだ~、お久しブリリアントグリ~ン~、イイ男になったわネイマ~ル~の高速ドリブル~』
割と小ダサイ元上司が迎えてくれた。


雑談はそこそこに、鈴木は会計システムを売り込んだ。
割と小ダサイ元上司に叩き込まれた営業根性は伊達ではない。




『契約してくれないと帰りませんからね。売上達成がかかってるんで。』

『ちょっとや~だ~、それは売上至上主義ンギラギンにさりげなくぅ~、さりげなくぅ~、生きるだけさぁ~』

『おぅ巧いな。巧い巧い。』

『おいコラ、イケメンでもねえくせにタメ口やめとけよ、テメエは。』

『なるほど、そういうところも考えないといけないんですね。人生って奥が深いです。』




Fin





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