(公開日:2024年8月29日)
車の所有者が変わるときは、旧所有者から新所有者へ名義変更がおこなわれ、車が譲渡されたことを譲渡証明書で証明しなければなりません。
中古車販売店で車を購入したり売却したりするときは、通常、業者が手続きを代行するため、個人が譲渡証明書を扱う機会は少ないかもしれません。しかし、家族や友人などといった個人間での車の譲渡を検討されているなら、手続きをスムーズに進められるよう、譲渡証明書について正しく理解しておきましょう。
この記事では、車の譲渡証明書はどこで入手できるのか、具体的な書き方や手続き上の注意点などを紹介します。
譲渡証明書とは、軽自動車を除く車や250㏄超のバイク(二輪車)を譲渡する際、名義変更の手続きで必要となる書類です。車の所有権が「誰から誰へ」「いつ」譲渡されたかを公的に証明します。
道路運送車両法では、車を譲渡する側が譲渡される側(譲受人)に対して、譲渡証明書を交付しなければならないと定められています。
なお、中古車販売店で車を売買する場合は、通常、販売店が譲渡証明書を用意します。しかし、個人間の取引で車を譲渡する場合は、ご自身で譲渡証明書を用意して書く必要があります。
前述のとおり、個人間で車を譲渡するため「自分で譲渡証明書を書く」という方はご自身で譲渡証明書を用意する必要があります。譲渡証明書は日常生活においてなじみのない書類のため、どこでもらえるのか疑問に思われる方もいるでしょう。譲渡証明書の入手には、おもに次の2つの方法があります。
【譲渡証明書の入手方法】
車の名義変更の手続きはお住まいの地域を管轄する運輸支局でおこなうため、手続き当日に窓口で譲渡証明書を入手して記入してもかまいません。しかし、書類の記入などにおいて、当日の手続きに手間取る恐れもあります。
また、運輸支局の受付時間は平日日中のみであることから、仕事や家事、育児などで窓口まで足を運ぶ時間がとれない方もいるでしょう。
その点、公式サイトからのダウンロードであれば、いつでも好きな時間に書類を入手することができ、手続き当日はあらかじめ記入した書類を提出するだけで済みます。
車の譲渡証明書は、決められたフォーマットで正しく記入しなければなりません。そこで、譲渡証明書の書き方を具体的に紹介します。
譲渡証明書
出典:国土交通省 関東運輸局「自動車登録について(各種様式)」
譲渡証明書は枠が上下2つに分かれており、上枠には「譲渡する車の情報(車検証に記載されている情報)」、下枠には「譲渡人と譲受人の情報」を記入します。譲渡証明書の右半分の空白は、自動車メーカーなどから交付される「完成検査終了証」のためのスペースです。
記入するときは、ボールペンなどの消せない筆記具や車検証、印鑑を準備します。手書きではなくパソコンで作成しても問題ありませんが、保存期間などへの配慮から感熱紙による書類は認められないため普通紙で作成しましょう。
また、記入ミスをした際の訂正には実印の押印が必要となるため、実印を用意しましょう。
譲渡証明書にある上枠の車両情報には、車名・型式・車台番号・原動機の型式を記入します。
譲渡証明書に記入する車両情報 | |
---|---|
車両情報 | 記入する内容 |
車名 | 車の正式名称を指すが、メーカー名のみの記入で可 |
型式 | アルファベットと数字で表記された型式(国土交通大臣が指定する車の分類指標であり、車の種類を判別する識別番号)を記入 |
車台番号 | アルファベットと数字で表記された車台番号(国土交通省が付与する1台ごとに異なる識別番号)を記入 |
原動機の型式 | アルファベットと数字で表記された原動機(車に搭載されているエンジン)を特定する型式を記入 |
車両の情報はどれも車検証に記載されているため、車検証を見ながら記入しましょう。車名はメーカー名のみの記入で手続き上は問題ありません。
譲渡証明書にある下枠の1段目には、車の元の所有者(譲渡人)の情報を記入します。いちばん左の譲渡年月日は、譲受人が車を譲り受けた年月日を記入する欄となり、譲渡人は記載する必要がないためあらかじめ斜線が引かれています。真ん中の欄には、譲渡人の氏名(または法人などの名称)と住所を記入しましょう。
下枠の1段目、いちばん右の欄には車の元の所有者(譲渡人)の実印を押します。なお、下枠には全ての段に押印欄がありますが、押印が必要なのは譲渡人の情報欄のみで、車の新しい所有者(譲受人)の押印は不要です。
下枠の2段目、いちばん左の欄には車を譲渡した日(あるいは譲渡の事実があった日)を記入します。真ん中の欄には、車の新しい所有者(譲受人)の氏名(または法人などの名称)と住所を記入します。
先述のとおり、押印欄は元の所有者のみが押印するため、譲受人は2段目のいちばん右の欄に押印しないように注意しましょう。
譲渡証明書は、車を他人に譲渡するにあたり、所有権を変更する手続きの際に必要な書類です。車の所有権を変更する手続きは「名義変更(移転登録)」と呼ばれ、譲渡証明書のほかにも必要な書類が複数あります。
どのような書類を準備すれば良いのか、わかりやすく紹介します。
車の旧所有者(譲渡人)が用意する書類は、次のとおりです。
車の旧所有者(譲渡人)が用意する書類 | |
---|---|
印鑑証明書 | お住まいの自治体の役所で入手し、発行後3ヵ月以内のもの |
車検証 | 自動車検査証のこと |
車の譲渡人本人が手続きする場合は、印鑑証明書に登録された実印が必要です。業者などが代理申請する場合は、実印を押印した委任状を用意します。委任状は、国土交通省のウェブサイトからダウンロードできます。
また、現在の住所や氏名が車検証の記載内容と異なる場合、個人の住所は住民票、氏名は戸籍謄(抄)本、法人の名称などは商業登記簿謄(抄)本(登記事項証明書)と、変更前後の内容を確認できる公的書類(発行後3ヵ月以内のもの)も必要です。
住民票や戸籍謄(抄)本は自治体の役所、法人の登記事項証明書は法務局で発行できます。
役所で入手する書類に関しては、マイナンバーカードなどを利用して、全国のコンビニエンスストアで取得できる自治体も多いため、事前に確認しておきましょう。また、法人の登記事項証明書はオンライン申請でも対応しています。
車の新所有者(譲受人)が用意する書類は、以下のとおりです。
車の新しい所有者(譲受人)と新しい使用者(運転者)が同じ人物の場合、譲受人は次の書類を用意します。
印鑑証明書 | お住まいの自治体の役所で入手し、発行後3ヵ月以内のもの |
車庫証明書 | 現住所を管轄する警察署で入手し、発行後約1ヵ月~40日以内のもの |
譲渡人と同じく、譲受人本人が名義変更(移転登録)の手続きをおこなう場合は印鑑証明書に登録された実印、業者などが代理申請する場合は実印を押印した委任状が必要です。
また、名義変更(移転登録)の申請手数料として、検査登録印紙代500円がかかります。
車の新しい所有者(譲受人)と新しい使用者(運転者)が異なる人物の場合、新しい使用者(運転者)は、上記で紹介した書類に加えて次の書類も必要です。
住民票 | お住まいの自治体の役所で入手し、発行後3ヵ月以内のもの。印鑑証明書で代用可 |
車の新しい使用者(運転者)は、お住まいの住所がわかる公的書類(住民票あるいは印鑑証明書)を準備します。また、車庫証明書は車を使用する方が発行する必要があるため、この場合、譲受人の車庫証明書は不要です。
新しい使用者(運転者)が申請手続きをする場合は、認印の使用が認められます。代理申請で委任状を用意するときも、実印である必要はありません。
なお、他府県への移転登録などでナンバープレートを交換する場合には、別途、ナンバープレートの変更にお金がかかります。車種や地域によって金額が異なるため、気になる方は管轄の運輸支局へ問い合わせましょう。
家族や知人といった個人間で車を譲渡する場合など、譲渡証明書の記入や車の名義変更(移転登録)の手続きをひとりでするときの注意点を3つ紹介します。
【個人間で車を譲渡する際の注意点】
それぞれについて、詳しくみていきましょう。
譲渡証明書はA4サイズ(横向き)の左半分に印刷され、右半分は空白でなにも記載されていません。ご自宅でダウンロードした方は、プリントエラーと勘違いされるかもしれませんが、「右半分は空白」の状態が正しいフォーマットです。右半分を切り取ったり、左半分を拡大コピーしたりせず、そのままのフォーマットで提出しましょう。
なお、譲渡証明書の右半分の空白は、自動車メーカーなどから交付される「完成検査終了証」のためのスペースです。
名義変更(移転登記)の手続きは、車を譲渡した日(あるいは譲渡された日)から15日以内に、新しい使用地を管轄する運輸支局などでおこないます。15日以内に手続きしなければ、道路運送車両法違反として、50万円以下の罰金を科される恐れもあります。
名義変更の手続きそのものは複雑ではありません。しかし、必要書類を用意するために役所や警察署へ出向くうちに、想定していた以上の日数を要する場合も考えられます。たとえば、警察署で発行される車庫証明書は、申請から交付までに、3~7日ほどかかるとされています。したがって、できるだけ早めに準備を始めるのがおすすめです。
いわゆる「車検切れ」した車は、名義変更の手続きができません。車検証の有効期間がまもなく満了する予定の場合は、譲渡の手続きを始める前に、車検証の更新手続きをしておくと安心です。
なお、車検切れした車は、公道を走れません。その際は、レッカーに車の移動を依頼するか、最寄りの役所で臨時運行許可証(仮ナンバー)を発行するなどして車検場へ持ち込みましょう。
譲渡証明書の入手をはじめ、車の名義変更(移転登録)をご自身でおこなうつもりでも、運輸支局が開いている平日日中に時間を取るのがむずかしい方も多いかもしれません。そんなときに便利なのが、自動車保有関係手続きのワンストップサービス(OSS)※2です。
ワンストップサービスは、検査登録や車庫証明、手数料の納付など、車に関連した行政手続きをオンラインでおこなえるサービスです。2005年にワンストップサービスが始まり、全国全ての都道府県から申請できます。
また、車の名義変更(移転登録)にも対応しており、次のような手続きをインターネット上で一括でおこなえるため、時間や労力をおさえたい方におすすめです。
【自動車保有関係手続きのワンストップサービス(OSS)でできる手続き】
ただし、ワンストップサービスで車の名義変更をするには、譲渡証明書が電子化されている(元の所有者(譲渡人)が登録情報処理機関(AIRAC)へ譲渡証明書の情報を登録している)ことが前提となっています。電子化されていない場合は、紙の譲渡証明書を使った申請でも問題ありません。
車のディーラーや販売店などの業者もワンストップサービスを利用できるため、印鑑証明書や委任状を用意すれば、手続き代行を依頼することも可能です。
※2 国土交通省「自動車保有関係手続のワンストップサービス」
譲渡証明書は、中古車の売買や個人間の譲渡などで、車の所有者が変わるときの名義変更(移転登録)手続きのために提出する書類です。名義変更は車を譲渡した日から15日以内におこなわなければならないため、国土交通省の公式サイトから譲渡証明書をダウンロードするなどして、すみやかに準備しましょう。
車の名義変更では、譲渡証明書のほかにもいくつか書類を準備する必要があります。元の所有者、新しい所有者あるいは使用者など、立場によって必要な書類も変わるため、あらかじめ確認しておくと安心です。
また、車の譲渡において注意しておきたいのが、自動車保険です。車の所有者が変わったとしても、元の所有者から新しい所有者へ、保険契約が自動的に移ることはありません。保険が適用されている状態での譲渡・譲受にならないよう、忘れずに手続きをおこないましょう。
なお、家族間などの譲渡で所有者のみが変わり、補償の範囲に問題がない場合は、被保険者や車両所有者を名義変更して契約を継続できることがあります。しかしそれ以外の場合は、新たな自動車保険への加入の検討がおすすめです。
自動車保険への加入を検討するなら、一括見積もりサイトが便利です。そもそもどのような自動車保険があるのかよくわからないといった場合にも、一括見積もりサイトを利用すれば複数の保険会社からまとめて見積もりを取ることができ、補償内容などを比較しながら選ぶことができます。ぜひ活用してみましょう。
RAPPORT Consulting Office (ラポール・コンサルティング・オフィス)代表。名古屋大学工学部機械・航空工学科卒業。証券会社、生損保代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。お金に関する相談や記事の執筆・監修を通じ、自身のお金の問題について自ら考え、行動できるようになってもらうための活動を行う。ミニマリストでもあり、ミニマリズムとマネープランニングを融合したシンプルで豊かな暮らしを提案している。趣味はサウナ(サウナ・スパプロフェッショナル)。
https://www.rapportco.com/
【保有資格】
1級ファイナンシャルプランニング技能士、日本FP協会会員(CFP®)
※CFP®、CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®、およびサーティファイド ファイナンシャル プランナー®は、米国外においてはFinancial Planning Standards Board Ltd.(FPSB)の登録商標で、FPSBとのライセンス契約の下に、日本国内においてはNPO法人日本FP協会が商標の使用を認めています。
※このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
※税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。
(掲載開始日:2024年8月29日)
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