公開日:2025年7月9日
当て逃げは、駐車場でドライバーが不在時に起きやすい事故のひとつです。「お店から駐車場に戻ると車のドアに傷がついていて、当て逃げされたことに気づいた」「自宅に戻ってから車に傷があることに気づいた」という経験がある方もいるのではないでしょうか。
この記事では、駐車場で当て逃げされた場合の対処法を解説します。また、万が一駐車場で当て逃げしてしまった場合の対処法や、当て逃げで問われる罪もあわせて解説します。
当て逃げとは、物損事故を起こした際に、危険を防止する措置や警察への報告をおこなわずに事故現場から立ち去る犯罪行為です。
駐車場で起こりやすい当て逃げの例として、ドアやサイドミラーの接触事故、バック走行時の接触事故などがあげられます。
駐車場で当て逃げされた場合、加害者を目撃していないケースもあるため、適切な対処法が必要です。以下では、当て逃げされたときにどのような対応を取れば良いかを順に解説します。
駐車場で当て逃げされた現場を目撃し、加害者の車がわかる場合は、車両情報を記録しましょう。
【当て逃げの加害者がわかる場合に記録すること】
とくに車のナンバーは、加害者を特定するための重要な手がかりになります。
駐車場で当て逃げの被害に遭ってしまったら、現場を目撃したかどうかにかかわらず、警察への届出が必要です。
警察に事故の届出をしていない場合は、交通事故証明書の発行ができません。交通事故証明書とは、交通事故の事実確認を証明する書類です。事故の発生日時や場所、当事者、車両番号などが記載されており、保険金を請求する際に必要となります。
また、一度逃げた加害者がみずから警察に出頭する可能性もあるため、まずは警察に連絡を入れましょう。
当て逃げ事故の被害に遭った場合、ご自身で証拠を集め、被害を立証しなければなりません。加害者を特定するために、当て逃げの証拠を確保しましょう。
以下の方法で当て逃げの証拠を確保できます。
【当て逃げの証拠の確保方法】
事故の発生日時・場所や事故の状況は、正確に思い出せるうちに記録することが大切です。駐車場の様子や停車位置、損傷を受けた箇所をスマートフォンなどで撮影しておけば、証拠として役立つ可能性があります。
また、車内にドライブレコーダーを設置している場合は、当て逃げの様子が録画されていないか確認し、消えないように保存するなどの対応も必要です。駐車場の管理者・警備員や通行人など目撃者がいる場合は、協力を依頼して証言を記録しましょう。
そのほかにも、駐車場内や周辺に設置された防犯カメラに映像がのこっている可能性もあります。当て逃げの重要な証拠となる可能性があるため、駐車場の管理者や警察に連絡し、防犯カメラ映像の提供を依頼しましょう。
駐車場で当て逃げされた場合、ご自身が加入している保険会社にも連絡を入れましょう。
当て逃げの加害者がわかっている場合は、相手に修理費を請求するため、通常ご自身の自動車保険は利用しません。一方、加害者がわからない場合は修理費を自己負担するか、ご自身が加入している自動車保険の車両保険を利用することになります。
なお、「保険会社に連絡を入れると保険を使うことになるのでは」と思うかもしれませんが、保険会社に連絡したからといって必ず自動車保険を使わなければならないわけではありません。
一般的に、車両保険を使うと翌年の等級が下がり、保険料が高くなります。そのため、まずは保険会社に連絡し、保険料がどれだけ高くなるか確認したうえで、自動車保険を使うかどうか判断すると良いでしょう。
ただし、保険会社によっては、「車対車+A(エコノミー型)」の車両保険では、当て逃げが補償対象とならない場合もあるため注意が必要です。
駐車場で当て逃げされた際にご自身も乗車していた場合は、事故後速やかに医師の診断を受けましょう。「病院に行くほどではない」と思っていても、意外とケガの程度が大きかったり、数日経ってから症状が出てきたりする場合があります。
また、事故から受診までに時間が空くと、交通事故との因果関係が認められず、治療費の賠償を受けられない可能性もあるため、なるべく早めの受診がおすすめです。
受診する際は、必ず診断書の交付をしてもらいましょう。警察に診断書を提出しないと、人身事故として扱われず、物損事故として処理されてしまいます。また、診断書は保険金請求にも必要です。
なお、交通事故など加害者の行為によってケガをした場合の治療費は、本来加害者が負担すべきものであり、原則として健康保険は使えません。
一方で当て逃げ事故の場合、加害者が不明であることが多く、その場合は本来加害者が負担すべき治療費を健康保険が立て替える形で、健康保険を利用して治療を受けることもできます。この場合は、治療後速やかに加入している健康保険へ「第三者行為による傷病届」を提出しましょう。
万が一駐車場で物損事故を起こしてしまった場合でも、適切な処置をおこなえば、行政処分・刑事処分の対象にはなりません。
しかし、しかるべき義務を果たさずに立ち去ってしまうと、行政処分や刑事処分の対象になります。「駐車場でドライバーが不在だからばれないだろう」と考えずに、適切な処置をおこないましょう。
駐車場で物損事故を起こしたことに気づいたものの、その場から立ち去ってしまった場合はすぐに事故現場に戻り、警察に連絡を入れましょう。
物損事故を起こした際の警察への報告は、加害者の義務です。警察官が現場にいる場合はその警察官、いない場合はすぐに最寄りの警察署などに事故の日時・場所、損壊したもの・程度、車両の積載物、講じた措置を報告しなければなりません。
「ばれないのでは」と考えるかもしれませんが、近年ドライブレコーダーの搭載率は半数を超えています※。すでに被害者が届出をおこない、周囲の防犯カメラ映像などを基に捜査が進められている可能性もあるため、速やかに報告しましょう。
※出典:「自動車用の映像記録型ドライブレコーダー装置について」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/monitor/R2-kadai01/15.pdf)
ご自身が加入する保険会社にも連絡し、事故の状況を説明しましょう。
物損事故を起こした際、適切に対応すれば行政処分や刑事処分の対象にはなりませんが、他人の車に損害を与えてしまった場合、民事上の損害賠償責任を負います。その際、保険会社に連絡すれば、事故解決までの流れの説明や修理工場への連絡、被害者との示談交渉などを対応してくれます。
なお、事故を起こして自動車保険を使った場合、原則として事故1回につき翌年の等級が3等級下がり、保険料が高くなることも頭に入れておきましょう。事故の状況によっては、1等級下がる「1等級ダウン事故」や等級に影響がない「ノーカウント事故」もありますが、当て逃げは「3等級ダウン事故」に該当します。
3等級ダウン事故の場合は、翌年の契約から3年間「事故あり」の等級が適用され、同じ等級の「無事故」と比べて保険料が高くなります。
示談交渉を保険会社に任せている場合も、ご自身で被害者へ誠意を持って謝罪することが大切です。そうすることで、被害者の感情を和らげ、示談交渉がスムーズに進みやすくなる可能性があります。
なお、謝罪のタイミングや方法などは、保険会社に相談すると良いでしょう。
当て逃げは単なる物損事故とは違い、道路交通法違反として刑事責任を問われる可能性もある重大な違反行為です。そのため、なるべく早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士へ相談することで、おもに以下の影響があります。
【弁護士に相談した際の影響】
適切に対応しないと、逮捕されて前科がついたり民事責任を問われたりして、日常生活にさまざまな影響を及ぼす可能性があります。問題が大きくなる前に弁護士に相談し、適切な対応を取りましょう。
駐車場に限らず、物損事故や自損事故を起こしてしまった場合、ドライバーは道路交通法にもとづき危険防止措置義務や警察への報告義務を果たさなければなりません。
物損事故・自損事故に対して生じる義務
| 危険防止措置義務 | 直ちに運転を停止し、道路における危険を防止するなどの措置を講じる義務 |
|---|---|
| 報告義務 | 警察官が現場にいる場合はその警察官、いない場合はすぐに最寄りの警察署などに事故の日時・場所、損壊したもの・程度、車両の積載物、講じた措置を報告する義務 |
これらの措置をおこなわずにその場から立ち去ってしまうと、「当て逃げ」として行政処分・刑事処分の対象となります。
当て逃げに対する処分
| 区分 | 処分の内容 |
|---|---|
| 行政処分 | 安全運転義務違反:2点 物損事故の場合の危険防止等措置義務違反:5点 |
| 刑事処分 | 危険防止措置義務:1年以下の懲役または10万円以下の罰金 報告義務:3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金 |
なお、事故の重大さや前歴などによっては、免許取消処分を受ける可能性もあります。
また、物損事故を起こすと、被害者に対して修理費などを賠償する民事上の損害賠償責任も負います。
当て逃げをした場合の、一般的な違反点数は7点です。一般違反行為の基礎点数「安全運転義務違反2点」に、当て逃げの付加点数「物損事故の場合の危険防止等措置義務違反5点」が加算されます。
違反点数が7点の場合、これまで行政処分を受けたことがなくても30日間の免許停止処分の対象となります。
なお、負傷者がいるにもかかわらず立ち去った場合は「当て逃げ」ではなく「ひき逃げ」となり、「救護義務違反」として基礎点数に35点が加算されます。
ひき逃げを起こすと直ちに免許取消しの点数に達し、一般的にほかの違反も加わるため、取消日から3年以上は免許を取得することができません。
当て逃げは道路交通法に違反する犯罪行為であり、危険防止措置義務と報告義務を怠った場合、刑事上の責任を問われる可能性があります。
これらの義務に対して違反が認められた場合は、危険防止措置義務違反として1年以下の懲役または10万円以下の罰金、報告義務違反として3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられます。
民法(第709条)では、故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負うと定められています。そのため、当て逃げを起こすと、被害者に対して修理費などを賠償する民事上の損害賠償責任も負わなければなりません。
【損害賠償の対象となる費用の例】
損害賠償金は、一般的に全ての車に加入が義務付けられている「自賠責保険」や、「自動車保険(任意保険)」を利用して支払います。ただし、自賠責保険の補償対象は人身事故の損害に限られており、物損事故の場合は補償されません。
駐車場で当て逃げされたものの、加害者を特定できない場合や、加害者が任意自動車保険に入っていない場合もあります。なお、全ての車に加入が義務付けられている自賠責保険の補償対象は人身事故の損害のみに限られており、物損事故の場合は補償されません。
加害者による賠償を受けることができない場合、ご自身で加入する任意自動車保険で車両保険を付けていれば、修理費を保険金でまかなえる可能性があります。
ただし、車両保険を使うと一般的に翌年の等級が下がり、保険料が高くなります。また、車両保険には補償範囲を限定しているタイプがあり、前述のとおり「車対車+A(エコノミー型)」であれば、当て逃げが補償対象外の場合があるため、事前に確認しましょう。
なお、保険金が支払われるのは、修理費が免責金額(自己負担額)を超えた場合に限られます。免責金額によってご自身の自己負担額が変わってくるため、確認が必要です。
ただし、前述の通り、一般的に車両保険を使うと翌年の等級が下がり、保険料が高くなります。まずは保険会社に連絡し、車両保険を使った場合に翌年以降の保険料がどれだけ高くなるかを含めて判断しましょう。
車両保険を付けることで保険料は高くなりますが、当て逃げされた場合の修理費の負担を軽減できます。
当て逃げの被害者や、物損事故の加害者になってしまった場合に備えるために、定期的に自動車保険を見直すことが大切です。
車両保険には、補償範囲を限定しない「車両保険(一般型)」と、補償範囲を限定した「車対車+A(エコノミー型)」があり、「車対車+A(エコノミー型)」は補償範囲が狭い分、保険料がおさえられます。加えて、一定の範囲からご自身で設定できる免責金額(自己負担額)によっても保険料が変わります。
なお、自動車保険を見直す際は、一括見積もりの活用がおすすめです。一括見積もりサイトでは、複数の自動車保険をまとめて見積もることができ、車両保険を含む補償内容や保険料を比較・検討できます。ご自身に合った自動車保険選びに、ぜひお役立てください。
駐車場での当て逃げについて、「駐車場にも道路交通法が適用される?」「後日当て逃げに気づいた場合はどうなる?」などの疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。
以下では、駐車場での当て逃げに関するよくある質問を解説します。
当て逃げは道路交通法に違反する行為ですが、そもそも駐車場に道路交通法が適用されるか気になる方もいるのではないでしょうか。
道路交通法の「道路」には、いわゆる公道だけでなく、「不特定多数の人が自由に通行できる場所」も含まれます。そのため、スーパーやコンビニ、コインパーキングなどの駐車場での当て逃げでも、道路交通法上の責任を負わなければなりません。
一方、不特定多数の人が出入りできない月極駐車場や、マンションの駐車場などの私有地での当て逃げには、道路交通法が適用されない場合があり、警察への報告義務違反に該当しない可能性があります。
ただし、道路交通法が適用されるかどうかにかかわらず、当て逃げされた被害者は損害賠償を請求できます。その場合は、警察への届出も必要です。
当て逃げされてから数日経って車に傷やへこみがあることに気づき、駐車場での当て逃げだと思われる場合も、警察に連絡しましょう。当て逃げされたと考えられる日時や場所などを伝えることで、防犯カメラの映像などを確認できる可能性があります。
また、自動車保険の保険金を請求するためには、警察に事故を報告したうえで交通事故証明書を発行してもらう必要があります。警察から発行される交通事故証明書がなければ、保険金の請求などに支障が生じるおそれがあるため、後日気づいた場合も速やかに連絡を入れましょう。
当て逃げは犯罪行為であり、出頭しない場合、事故の程度によっては逮捕される可能性があります。
前述のとおり、近年ドライブレコーダーの設置率は半数を超えています。「ばれないだろう」と考えずに、速やかに警察に連絡することが重要です。
みずから出頭すれば、逃亡や証拠隠滅のおそれが低いと判断され、逮捕に至らない可能性が高まるでしょう。
当て逃げの検挙率は公表されていません。ただし、加害者車両のナンバーがわかっていないと加害者を特定することは難しいため、加害者がみつかる可能性は高くないといえます。
なお、負傷者がいる「ひき逃げ」の検挙率は、約70%と高水準です。
ひき逃げの検挙率
| 項目 | 検挙率※ |
|---|---|
| 死亡事故 | 101.0% |
| 重傷事故 | 79.4% |
| 全体 | 69.3% |
※前年以前に認知された事件にかかる検挙事件が含まれることがあるため、検挙率が100%を超える場合がある。
出典:「令和5年版 犯罪白書 -非行少年と生育環境-」(法務省)(https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/70/nfm/n70_2_4_1_2_3.html#h4-1-2-5)をもとに当社作成
当て逃げとは、物損事故を起こした際に、危険を防止する措置や警察への報告をおこなわずに事故現場から立ち去ることです。
駐車場で当て逃げされてしまったときは、相手を特定できないからと諦めずに、加害者の車両情報や事故の状況を記録し、速やかに警察に連絡を入れましょう。また、当てられた箇所を撮影したりドライブレコーダーを確認したりするなど、証拠確保もおこないましょう。
なお、警察に事故を報告しないと、交通事故証明書を発行してもらえないため、保険金の請求などにも支障が生じます。また、加害者を特定できず、損害賠償を受けることができない場合、ご自身の車両保険から保険金が支払われる場合もあるため、加入している自動車保険の契約内容を確認しましょう。
万が一、ご自身が当て逃げを起こしてしまった場合は、すぐに警察に連絡し、その後保険会社への連絡や被害者への謝罪をおこないましょう。危険防止措置義務や警察への報告義務を果たし、適切に処置をおこなえば、行政処分・刑事処分の対象にはなりません。「ばれないだろう」と考えずに、速やかに警察へ報告しましょう。
なお、当て逃げの被害者や物損事故の加害者になってしまった場合に備えるためには、自動車保険の定期的な見直しが大切です。
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株式会社アスト 代表取締役
大手生命保険会社に12年勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。2007年に株式会社アストを設立。現在、「わくわくの明日と共に」をモットーに、子育て世代、リタイア世代のライフプラン作成や家計相談、相続相談などのコンサルタントとして活動中。また、各種マネー講座の講師や執筆も担当。2015年度金融知識普及功労者として金融庁・日本銀行から表彰を受ける。
【資格】
CFP®(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、相続診断士、終活カウンセラー、住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
※CFP®、CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®、およびサーティファイド ファイナンシャル プランナー®は、米国外においてはFinancial Planning Standards Board Ltd.(FPSB)の登録商標で、FPSBとのライセンス契約の下に、日本国内においてはNPO法人日本FP協会が商標の使用を認めています。
※このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
※税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。
(掲載開始日:2025年7月9日)
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