(公開日:2024年8月29日)
自動車に関する税金にはいくつかありますが、そのうちのひとつに、自動車を取得したときに課税される「環境性能割」があります。
2019年10月1日以降、自動車取得税が廃止され、環境性能割が導入されました。環境性能割は新車・中古車を問わず、燃費性能などに応じて課税される税金ですが、車を購入する際に環境性能割の税額がいくらになるのか気になる方もいるかもしれません。
この記事では、環境性能割とはなにか、税率・税額の計算方法、納付方法を解説します。環境性能割が課税されないケースや特例措置も紹介するため、ぜひご覧ください。
自動車に関する税金には、いくつかあります。そのなかのひとつである「自動車税環境性能割(以下、環境性能割といいます)」は、自動車を取得したときに課税される地方税です。
【自動車に関するおもな税金】
2019年10月1日以降、消費税率の引き上げにともなって「自動車取得税」が廃止され、環境への負荷が低い自動車の普及を促進する目的で「環境性能割」が導入されました。
環境性能割とは自動車を取得した際、燃費性能などに応じて課税される地方税(都道府県税)です。新車・中古車を問わず、自動車を取得した方が都道府県に納めます。
2019年9月まで、自動車取得税の登録車税率は原則一律3%(軽自動車は2%)でしたが、環境性能割の導入後は燃費性能に応じて課税され、燃費が良い車ほど税金が軽減されるしくみへと変更されました。
環境性能割の課税対象となるのは三輪以上の小型自動車および普通自動車で、原動機付自転車や特殊自動車(ロード・ローラー、ブルドーザーなど)は課税対象外です。
なお、三輪以上の軽自動車(特殊自動車を除く)を取得したときは、軽自動車税環境性能割が課税されます。軽自動車税環境性能割は市町村税ですが、当面は都道府県が賦課徴収をおこなっています。
環境性能割は、車種や燃費性能に応じて税率が設定されています。自家用として使用される乗用車の対象車は0~3%、軽自動車は0~2%が課税されます。詳細は以下の税率表を参考にしてください。
税率表(2024年1月1日~2025年3月31日に取得した場合) | ||
---|---|---|
対象車 | 自家用の乗用車 | 軽自動車 |
電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車、一定の天然ガス自動車 | 非課税 | 非課税 |
2030年度燃費基準85%達成 | 非課税 | 非課税 |
2030年度燃費基準80%達成 | 1% | 非課税 |
2030年度燃費基準70%達成 | 2% | 1% |
上記以外または2020年度基準未達成 | 3% | 2% |
税率表(2025年4月1日~2026年3月31日に取得した場合) | ||
---|---|---|
対象車 | 自家用の乗用車 | 軽自動車 |
電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車、一定の天然ガス自動車 | 非課税 | 非課税 |
2030年度燃費基準95%達成 | 非課税 | 非課税 |
2030年度燃費基準85%達成 | 1% | 非課税 |
2030年度燃費基準80%達成 | 2% | 非課税 |
2030年度燃費基準75%達成 | 2% | 1% |
上記以外または2020年度基準未達成 | 3% | 2% |
電動車(電気自動車やプラグインハイブリッド自動車など)の普及を促進するために、令和5年度税制改正によって環境性能割が見直され、2024年1月から税率区分が段階的に引き上げられています。
自動車税環境性能割は新車・中古車を問わず、自動車の取得価額に対し、燃費性能などに応じて課税されます。税額の計算式は以下のとおりです。
【自動車税環境性能割の計算式】
環境性能割の税額=取得価額(1,000円未満切り捨て)×税率
ただし、取得価額が50万円以下の場合、環境性能割は課税されません。
取得価額は、「自動車の通常の取得価額(課税標準額)」をもとに算出します。課税標準額は車種やグレードに応じて決められた価額で、新車価格の90%が目安です。したがって、実際に支払った金額ではないためご注意ください。
また、取得価額の求め方は新車と中古車で異なります。新車の場合は課税標準額にオプション装備などの付属品を加えた額が取得価額で、中古車は課税標準額に残価率を乗じた価額です。
なお、都道府県によっては、FAXやインターネット、電話などで環境性能割の税額を照会できる場合があります。都道府県のウェブサイトなどで照会方法を確認し、自動車検査証(車検証)などを用意したうえで照会しましょう。
次に新車と中古車のケースに分けて、環境性能割の税額を計算する方法を詳しく解説します。
新車を取得した場合、取得価額は以下の式で求めます。
【新車の取得価額の算出方法】
取得価額(1,000円未満切り捨て)=課税標準額+付属品
付属品とは、車両本体と一体化しているものです。車両本体に固定されていない搭載用品は、取得価額には含まれません。取得価額に含めるもの、含めないものの例は以下のとおりです。
取得価額に含まれるもの・含まれないものの一例 | |
---|---|
取得価額に含めるもの |
|
取得価額に含めないもの |
|
中古車の場合は、課税標準額に経過年数に応じた「残価率」を乗じた金額を取得価額とします。
【中古車の取得価額の算出方法】
取得価額(1,000円未満切り捨て)=課税標準額(初回新規登録を受けたときの通常の取得価額)×残価率
経過年数は、初度登録年(軽自動車は初度検査年)の1月1日から起算し、自動車を取得した日の属する年の前年の12月31日までの年数に次の年数を加算します。
経過年数の起算表 | |
---|---|
区分 | 加算する経過年数 |
1月1日から6月30日までの間に自動車を取得した場合 | 0.5年 |
7月1日から12月31日までの間に自動車を取得した場合 | 1年 |
なお、中古車を取得した年が初度登録年(軽自動車は初度検査年)と同じ年である場合、「経過年数」は1年として計算します。
残価率は、自動車の区分と経過年数ごとに決められています。経過年数が長いほど残価率が低くなり、税額が高くなるしくみです。
中古車の残価率表 | ||
---|---|---|
経過年数 | 自家用乗用車 | 自家用軽自動車 |
1年 | 0.681 | 0.562 |
1.5年 | 0.561 | 0.422 |
2年 | 0.464 | 0.316 |
2.5年 | 0.382 | 0.237 |
3年 | 0.316 | 0.177 |
3.5年 | 0.261 | 0.133 |
4年 | 0.215 | 0.100 |
4.5年 | 0.177 | - |
5年 | 0.146 | - |
5.5年 | 0.121 | - |
6年 | 0.100 | - |
なお、中古車の税額(参考値)は、一般社団法人 日本中古自動車販売協会連合会の「自動車税環境性能割 税額検索サービス※」で検索できます。
※日本中古自動車販売協会連合会の「自動車税環境性能割 税額検索サービス」
税制により非課税となる車種をはじめ、一定の要件に該当する場合、環境性能割は課税されません。また、納税義務が免除されるケース、減免になるケースもあります。
どのような条件で環境性能割が非課税・減免になるのかを、それぞれ以下で詳しく解説します。
以下に該当する場合、環境性能割は課税されません。
【環境性能割が課税されないケース】
※譲渡担保とは、所有権を譲渡して担保とすることです。完済すると、担保とした財産は返還されます。
身体障害者などが所有・使用する自動車のうち、一定の要件を満たす場合は申請によって環境性能割の減免が受けられます。減免の一般的な対象者は以下のとおりです。
【環境性能割が減免されるケース】
なお、減免が受けられるのは、身体障害者などのため(通院や生業など)に利用する自動車に限られます。
対象となる障害の程度などは都道府県ごとに細かく要件が決められているため、お住まいの自治体のウェブサイトなどで確認しましょう。
なお、減免を受けるには台数制限(障害者一人につき一台)の条件があったり、期限までに申請する必要があったりするためご注意ください。
国の要件を満たす一定のバリアフリー車両、先進安全自動車(ASV車両)には、特例措置が設けられており、税額を算出する際の取得価額から一定額が控除されます。該当する車両の例は以下のとおりです。
【環境性能割の特例措置に該当する車両】
なお、特例が適用されるのは2025年3月31日までに取得した場合に限ります。控除の額など、詳しくは都道府県のウェブサイトでご確認ください。
環境性能割は、車の登録または使用の届出をした後、各自治体で定められている自動車税事務所などへ「自動車税(環境性能割、種別割)申告書(報告書)」を提出する際に納付します。
納付後、交付される受領書(申告書、報告書の控え)を受け取りましょう。申告期限は以下のとおりです。
自動車税の申告期限 | |
---|---|
区分 | 申告期限 |
新規登録の場合 | 登録日 |
移転登録の場合 | 登録する事由のあった日から15日を経過する日(この日より前に登録を受けた場合はその移転登録時) |
なお、納付方法と申告期限は都道府県によって異なるため、お住まいの自治体ウェブサイトなどでご確認ください。
自動車を取得すると、環境性能割のほかにもさまざまな費用がかかります。環境性能割以外のおもな費用は以下のとおりです。
【環境性能割以外のおもな費用】
自動車にかかる費用を負担に感じる場合、加入する自動車保険(任意保険)の見直しをすれば費用をおさえられる可能性があります。以下のポイントに着目して自動車保険を見直してみましょう。
【自動車保険見直しのポイント】
自動車保険の補償を必要なものだけに絞ることで保険料はおさえることができます。たとえば車両保険に加入をしていた場合に、補償範囲を限定するという方法もあるでしょう。車両保険は補償範囲の違いによって2つのタイプ(「車両保険(一般型)」と「車対車+A(エコノミー型)」)が用意されていることが一般的ですが、「車両保険(一般型)」と比べて補償範囲が狭い「車対車+A(エコノミー型)」に変更すれば、保険料はおさえられます。
なお「車対車+A(エコノミー型)」では、電柱やガードレールとの衝突、地震、噴火、津波などは補償範囲外なので、補償範囲をしっかり確認したうえで検討しましょう。
そのほかにも、運転者の年齢条件を設定する、運転者の範囲を限定するなども検討することが大切です。
また、自動車を2台以上所有している場合や、ほかの保険契約がある場合などは、補償内容が重複している可能性もあります。複数の保険契約で補償をつけていても、補償されるのは実際に生じた損害額までです。
人身傷害保険や弁護士特約、個人賠償特約などは補償が重複しやすいため、保険料を余分に払い込むことがないよう、契約している保険の補償内容をしっかり確認しましょう。
また、自動車保険(任意保険)の保険料をおさえたい方は、自動車保険の一括見積もりサイトの活用もおすすめです。一度に複数の保険会社の見積もりをとることができるため、ご自身にあう自動車保険の比較・検討に役立ちます。
環境性能割とは、自動車を取得した場合に課される地方税です。自家用の自動車の税率は0~3%、軽自動車は0~2%で、燃費が良い車ほど税金の負担が軽減されます。
自動車の購入を検討している場合は、環境性能割を含め、自動車の取得にかかる税金や費用を把握しておきましょう。
自動車の購入の際には、自動車保険の検討も必要になります。一括見積もりサービスを利用すれば、複数の自動車保険の補償内容や保険料を一度に比較できるため、ご自身にぴったりの自動車保険を効率的にみつけやすいでしょう。
ファイナンシャルプランナー。2006年11月 卓越した専門性が求められる世界共通水準のFP資格であるCFP認定※を受けると同時に、国家資格であるファイナンシャル・プランニング技能士1級を取得。2017年10月 独立。主に個人を相手にお金に関する相談および提案設計業務を行う。個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン住宅購入のアドバイス)の他、資産運用など上記内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、執筆・監修業も手掛ける。これまでの執筆・監修実績は3,000本以上。
※CFP®、CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®、およびサーティファイド ファイナンシャル プランナー®は、米国外においてはFinancial Planning Standards Board Ltd.(FPSB)の登録商標で、FPSBとのライセンス契約の下に、日本国内においてはNPO法人日本FP協会が商標の使用を認めています。
※このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
※税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。
(掲載開始日:2024年8月29日)
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