ガッチガチでもない自動車コラム

飲んだら乗るなはお酒だけではない!~薬の服用と交通事故の話~

飲んだら乗るなはお酒だけではない!~薬の服用と交通事故の話~

悪質運転事故の加害者には厳罰!

ここ数年の間、無免許運転や持病の発作などにより、車が登校中の小学生の列に突っ込んで、多数の児童が死傷するというような痛ましい事故が相次いで発生しています。 また、最近は危険ドラッグ使用による交通事故が多発して、大きな社会問題になっています(以前は『脱法ドラッグ』と言われていましたが、警察庁と厚生労働省は、あたかも合法であるかのような誤解を招く表現だということで、平成26年7月に『危険ドラッグ』という名称に変更し対策を強化しています)。

そのような中、平成26年5月20日に『自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律』(以降、『自動車運転死傷行為処罰法』と表記します)が施行されました。
従来、人身事故を起こした加害者には刑法の業務上過失致死傷罪が適用されてきました。これは、単なる過失による事故で悪質な事故を前提としたものではありませんでした。飲酒運転や無免許運転などの悪質な事故が発生し社会問題が大きくなるたびに、最高刑を重くしたり、危険運転致死傷罪や自動車運転過失致死傷罪を新設したりして様々な刑法の改定を行なってきましたが、今回は刑法から独立した『自動車運転死傷行為処罰法』が施行されたのです。

従来の刑法に定められていた『危険運転致死傷罪』では、特に危険性の高い運転行為だけに限定されていましたが、『自動車運転死傷行為処罰法』に移され、危険運転の種類を増やし、さらに第3条で、「アルコール又は薬物若しくは運転に支障を及ぼすおそれがある病気の影響により、正常な運転に支障が生じるおそれのある状態で自動車を運転し、よって正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた場合」は、危険運転致死傷を適用することとされました。

風邪薬も『薬物』?

注意したいのは、ここでいう『薬物』は麻薬や危険ドラッグ等の違法な薬物に限定されたものではないということです。同法の法案が国会で審議されている時に、「例えば医師が処方する風邪薬なども含まれるのかどうか?」という質問に対して、「薬物は、それ自体を限定しているものではない。医師が処方する薬であっても、これを服用した上で、正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、このことを認識しつつ運転し、客観的にその薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥って人を死傷させた場合には、三条一項に該当し得る、理論的にはそういうふうになる」と答弁されています。
つまり、風邪薬を服用して人身事故を起こしたら、ただちに『危険運転致死傷罪』となるということではありませんが、場合によっては『危険運転致死傷罪』に問われることも有り得るということです。

悪質な加害者に対し、より厳しい罰則を設ける目的で施行された法律ですが、我々が普段服用する薬物も含むということでは、他人事ではありません。しかし、発作を抑えるような薬の場合には、発作により事故を起こさないようにする役割があるとも言えます。薬物の副作用も多種多様です。正しく服用していなければ、危険も伴います。もしも事故を起こした時には、その薬物の使用状況などで判断されることになるのだと思いますが、新しい法律で判例も無い中でどのように運用されていくのか気になります。

飲んだら乗るなはお酒だけではない!~薬の服用と交通事故の話~

市販の薬や病院で処方された薬の服用には注意!

個人的な話ですが、最近肩や肘の疼痛に悩まされ、整形外科に通院して鎮痛剤を処方されています。その際に薬の副作用を細かく説明するようになってきたと感じます。特に意識障害や眠気を誘発する場合がある薬品について、自動車の運転は控えるよう強く注意喚起しています。

道路交通法第66条で、「何人も、過労、病気、薬物の影響その他の理由により正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない」と規定されており、従来から薬の副作用と自動車の運転については説明書に注意事項が記載されています。しかし、実際に説明書をしっかり読む人は少ないのではないでしょうか?薬品会社や医師、薬剤師などの医療従事者には説明責任もありますが、患者にも自己責任があるといえるでしょう。

実際、私が処方されている薬はかなり眠気を引き起こします。運転する前の服用は危険だと感じます。医師からも服用後数時間は自動車は運転しないようにと厳しく言われています。このように自覚していながら、もし運転は控えなくてはならないという注意事項を守らないで自動車を運転して人身事故を起こしてしまったら、場合によっては飲酒運転のような悪質運転と同じと解釈され『危険運転致死傷罪』で罰せられてしまうこともあるかもしれません。法律は知らないでは済まされないという厳しい側面があります。今回の『自動車運転死傷行為処罰法』施行で、自動車の運転にはとても重い責任があることを再認識しました。

ちなみに、薬を飲んでいて人身事故を起こせば、当然賠償責任を負います。自動車保険では、重大な過失がある事故でも相手のケガに対する対人賠償責任保険では保険金が支払われますが、自分のケガや車両の損害には保険金が支払われません。薬の服用で事故を起こして自分がケガをした場合には、運転者の重過失ということになり人身傷害保険などの傷害保険は支払われない可能性もあることも認識しておくべきでしょう。

記事を書いた人高根澤 茂
高根澤 茂損害保険プランナー(日本損害保険協会認定)
CFR®ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定)
大学卒業後、損害保険会社に15年間勤務し2002年に保険代理業兼ファイナンシャルプランナーとして独立。2011年震災を機に地震保険のセミナーを開催するなど、損害保険を専門とするFPとしてセミナーや執筆活動を展開中。またライフプランにおける住宅資金や教育資金計画、家計簿診断、保険を活用したリスク対策、交通事故や賠償問題の相談業務に従事。
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