ガッチガチでもない自動車コラム

車両保険に入っていてよかった事故の話

相手の過失を立証できなければ意見は通らない

今回は私の親族Bさんが実際に起こしてしまった事故を紹介します(本人了承済み)。写真は事故後に撮影したBさんの車の状態です。

Bさんの事故車両

ある夜、Bさんから電話が鳴りました。住宅街の薄暗い狭い路地の交差点で出会い頭に衝突事故を起こしてしまったようです。事故状況を聞くと、見通しの悪い交差点でお互いに直進しようとしていたところで衝突したもので、道路幅は同じ程度でしたが、Bさんの方には一時停止の標識がありました。しっかり一時停止した後に直進しようとして、右側から走行してきた相手の車と衝突してしまったとのこと。下図のような典型的な出会い頭の事故状況です。

Bさんの事故車両
このケースでは、基本過失割合は、Aさん20%:Bさん80%となります

幸いBさんにケガはなく、Aさんも2週間程度の軽傷でした。一方、Bさんの自動車は平成24年式ホンダフィットのハイブリッド車で走行距離も約1万kmのまだ新しい車でしたが、相手車のスピードがかなり出ていたのか、予想外に大きな損害となってしまいました。詳しい調査の結果、ミッションが壊れて全損となり、損害額(時価)は115万円と算出されました。また、Aさんの車の修理代は20万円ほどの見積りでしたが、こちらは年式の古い自動車で損害額(時価)は15万円でしたので、Aさんの自動車も全損となりました。

BさんはAさんが相当スピードを出していたこと、自分はしっかり一時停止をしたことを主張しましたが、Aさんの正確なスピードはわかりませし、逆にBさんがしっかり一時停止したことはAさんも確認していません。このようなケースの物損事故の場合、互いに自分の損害については自ら立証しなければその事実は認められません。よって実際は、事実を確認できることを参考にしながら過失割合を決定していくことになります。

過失割合の判定については、一般的に『判例タイムズ 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準』が使われています。今回の事故では、認定基準の過失割合通りにAさん20%:Bさん80%で決着しました。

比較的新しい車には車両保険を!

お互い全損となった今回のケースでは、AさんはBさんに対してBさんの車両の損害額(時価)である115万円の20%である23万円を支払い、BさんはAさんに対してAさんの車両の損害額(時価)である15万円の80%である12万円を支払うことになります。Bさんの方が過失が大きいケースですが、Bさんの損害が大きかったため、Aさんの賠償金は大きくなってしまいました。

  Aさん Bさん
過失割合 20% 80%
車両の損害額(全損時価) 15万円 115万円
相手への支払額 23万円 12万円
(115万円×20%) (15万円×80%)

よってAさんは自動車保険を使うことになり、翌年以降の保険料が上がると言う不運な事故になってしまいました。Bさんはまだ新しいマイカーが全損になってしまうという大きな損害を被りましたが、幸いにも車両保険に加入していたので、自分の過失の分は車両保険で補うことができました。

全損の場合、賠償額は時価で計算されるので、Bさんの車の損害額は115万円でしたが155万円の車両保険に入っていたため、最終的には155万円+全損時諸費用15万5千円の170万5千円を車両保険と相手からの支払いで得ることができ、めでたく同等の中古車を購入できたのです。

今回の事例のポイントは、対物賠償で計算された時価額115万円と車両保険で加入している155万円との間に40万円もの開きがあることです。対物賠償金は、レッドブックという資料を参考にして、そのときの時価額で算出されます。中古市場の小売価格が基準となっていますが、同等の自動車を購入できる金額とは程遠い補償額となってしまうことが多く、全損時にはよくトラブルになります。

一方、車両保険の保険金額は“自動車保険車両標準価格表”という資料で決定されます。こちらも中古車市場の価格等を参考にしていますが、車両保険は加入時の保険金額が1年間補償されるため、その車が1年以内に値下がりしても補償額が変わりません。ですから事故のタイミングによっては、時価額と車両保険の保険金額に大きな差額が生じます。また、車両保険は全損となった場合、保険金額と諸費用(通常保険金額の10%,20万円限度)が補償される仕組みになっています。

このように比較的新しい自動車の場合、車両保険は時価に関係なく機能してくれるので、大きな損害が発生した場合の頼もしい備えになります。特に自動車ローンを利用している場合などには、全損になってローンだけ残るような事態は避けたいものです。自動車保険の車両保険は保険料が高いか安いかだけで判断するだけでなく、万一のリスクとその必要性をよく考えて判断することが重要です。

記事を書いた人高根澤 茂
高根澤 茂損害保険プランナー(日本損害保険協会認定)
CFR®ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定)
大学卒業後、損害保険会社に15年間勤務し2002年に保険代理業兼ファイナンシャルプランナーとして独立。2011年震災を機に地震保険のセミナーを開催するなど、損害保険を専門とするFPとしてセミナーや執筆活動を展開中。またライフプランにおける住宅資金や教育資金計画、家計簿診断、保険を活用したリスク対策、交通事故や賠償問題の相談業務に従事。
楽天自動車保険一括見積もり スタート まとめて比較! 最短3分で簡単!

車検証・保険証券などを手許にご用意いただくと入力がスムーズです。

自動車保険の満期日をメールでお知らせ
お見積もりはこちらから
はじめて見積もる方
一括見積もりスタート
過去にご利用履歴のある方
履歴から再見積もりスタート