2016.05.31

【VRは次なるプラットフォーム】かつて夢想した、あんな事やこんな事が現実になる。

アフォリズムを連れて。


こんちくわ。
毎度、経済何でも伝道師、ピタゴラです。


今回は、ドローンに続く類まれなるキャッチーさを放ち、近未来型ビジネスの雄とも目されている【VR】に迫ります。



はいはい、なんだVRって?
最近、日本の世の中も、略語ばっかりでシンドイよぉ、精神的に。
紛らわさないで、ちゃんと説明してくれよぉ。


という訳で、まずはドヤ顔で周囲に知識をひけらかす時に備え、正式名称を押さえましょう。

VRとは?


VRは「バーチャル・リアリティ(Virtual Reality)」の略です。
日本語で言うと「仮想現実」というやつで、この呼称も馴染みがあると思います。

私たちが慣れ親しんできた分野では、映画やゲームにおける映像技術にVRの要素に通じるものが多くあって、簡潔に言うと、人工的にリアル感やライヴ感を発生させるものを指します。


そして、そんなVRがなぜ今キテるのかということですが、それはVRを成す以下3要素が、テクノロジーの進歩によって、ようやく一般製品化できるレベルに至ったためです。

3次元の空間性


これまでの平面的(2D)な空間認識ではなく、立体的(3D)な仮想空間が、対象者の周囲に広がる特性のことです。

身近な実用例としては、皆さんも普段から脳内旅行でお世話になっているであろうGoogleストリートビューが挙げられますが、従来のPCやスマホなどのデバイス画面上の立体空間ではなく、ヘッドマウントやグラスを着用して、自らの視野を中心に3D化するようなイメージです。

実時間の相互作用性


対象者の現実世界の行動に応じて、仮想空間もそれに合わせて即時変化する特性のことです。
要するに、現実と仮想空間の時間が連動していて、ふたつの世界を違和感なく自由に行き来できるといった具合です。

こうやって文字で説明すると、幾分サイエンティフィックでややこしいですが、誰もがSF映画ではその現象に触れています。
有名なところで、『アバター(Avatar)』『マトリックス(The Matrix)』『インセプション(Inception)』など、近未来を舞台とした作品は、この実時間の相互作用性をふんだんに取り入れたもので、こちらの世界(現実世界)と、あちらの世界(仮想世界)が時間軸で繋がっていて、どちらかで起こったことが、一方にモロに影響しているといったことです。

例えば、普通のゲームであれば、上手くいかないからリセット!とやってしまえば、それでゲームは終了し、当然ながら現実世界では何の変化も起きていませんが、この場合、ゲームの世界で起こったことが、現実世界にも何かしらの影響を及ぼしているくらいに考えると分かりやすいと思います。
現実とバーチャルがしっかりリンクしている、完全リセットがきかない、そんなイメージです。

自己投射性


VRを使用する人間がシームレスにVR環境に入り込んだ状態が作られる特性のことです。

ゲームや映画における視聴者側の感情移入というのは、自己投射性が作用して起こるもので、平たく言うと、現実と仮想現実をゴッチャにしてしまうくらい、リアルだということです。






以上を踏まえると、今までのエンターテイメント・コンテンツに不足していた要素が浮き彫りになってきますね。

映画であれば、<3次元の空間性>が欠けていて(スクリーンは平面ですから)、ゲームであれば、<実時間の相互作用性>が不足していた訳です(現実世界とゲーム世界の時間はリンクしていませんから)。
とはいえ、3D・4D映画の登場、実時間を反映させたゲームアプリなど、近年では徐々にそこの溝は埋まりつつあります。


VR(バーチャル・リアリティ)の可能性


では、VRの特性が分かったところで、今後のビジネスにおいて、VRはどういった利用法が考えられるのでしょうか?

VR×ゲーム


ゲームは圧倒的に、VRとの相性が良いカテゴリですね。
しかも、日本はゲーム大国の側面もあって、10~40代の半数以上が、スマホに何かしらのゲームアプリをインストールしているという調査結果<スマホにインストールされているアプリ実態調査。 │ カドカワ株式会社>もあるほど、ゲーム文化が根付いています。

そこにビジネスチャンスが無いはずがありませんね。
任天堂のWiiが出てきて以降、据え置き型ゲーム機の人気が下降線を辿っていますが、VRの隆盛は、ゲーム業界が息を吹き返す絶好の機会となるでしょう。

VR×映画


映画も、VRとの相性が良いですね。
2015年夏ごろからは4D映画が導入されている劇場もありますし、より五感を刺激するVRの使われ方が模索され続けています。

例えば、登場人物と同じ目線で景色を眺めたり、まるで自分がそこにいるかのごとく銃撃戦を間近で感じられたり、気になる女優にものすごい接近してみたり、といった具合です。

また近年、DVD/ブルーレイや自宅用サラウンド機器の充実により、劇場映画のコンテンツ価値低下が声高に叫ばれていますが、大規模なVR機能が設置されることによって、映画館は、映画の世界にドップリ入り込むことができる唯一無二のアミューズメント施設となり得ます。
もちろん、家などのプライベート空間でもそれができればいいのですが、物理的あるいはコスト的な課題もありますし、パブリックな場所で大勢で共に体感するというのも、エンターテイメントの大事な要素です。
また、一家に一台VR機器があるみたいな環境の実現はまだまだ先になりそうですから。
いずれにせよ、映画館のスポット価値が見直されて、客足や売上がV字回復しそうな兆しが見えますよね。


結局のところ、スマホの普及含め、これだけ技術が進歩して不可能が当たり前になるような時代になってくると、次に生活者が求めるのは、単なる映像や音声そのものの迫力だけでなく、もっとリアルに五感を刺激する“体験”だというのは、半ば予定調和です。

VR×広告


広告もありますね。
映画『マイノリティ・リポート(Minority Report)』を観たことがある人は、ピンとくるかもしれませんが、従来の街看板や電車の中吊りなどの屋外広告(OOH)、DM広告などは、近未来ではもはや時代遅れの感があります。

現代でもそうですが、消費者が購買を決定するうえでは、“実体験”を通した感動や衝動があるかないかというのが大きなファクターになります。
ネットショッピングが広く浸透した次のフェーズでは、その場にいなくても、VRでその場にいるような買い物体験がしたい!なんてことになってくる訳です。

例えば、サービス提供側が試食や試飲を提供するのは、実際に商材を消費した時の感動を先取りしたうえで選定してもらうためですよね。
そういった具体的なシチュエーションの想起というのは、商材購入後に消費者の生活にどういった変化が起きるのかを、よりリアルにイメージさせることに繋がり、模擬体験を通じてアシストし、購買で迷った人の背中を押してあげられるところに意味がある訳で、VRはその究極形といっても過言ではありません。


現在のVR(バーチャル・リアリティ)活用


ところで今現在は、どういった企業がVR市場に参入しているのでしょうか?

VRに参入しているのは、すでに下地がある企業。


■ゲーム
まず、ゲームから見ていきますが、ここはSONYが強いです。
2016年3月に米国でのカンファレンスで発表されましたが、「PlayStation VR(PSVR)」の2016年10月リリースが決定しています。
※既存の「PlayStation 4」と連動させて使用します

このPSVRがVRゲームブームの火付け役になりそうな気配があって、国内外合計で250社以上がPSVR向けのゲームコンテンツの開発に着手しており、年内には、その内50本をリリースするというから驚きです。

ハードを取り扱うSONYは、言わばこのビジネスの胴元であって、今後のサービスの盛り上がり方次第では、“世界のSONY”が再び躍進する日が来るかもしれません。


■映画
映画では、アメリカと韓国が先進です。
映画館に導入されている4Dシステムは、現状全てがアメリカ製と韓国製であり、現にFacebookやSamsungといったグローバル企業が、真っ先に映画用VR開発に手を挙げています。

映画館でVR機器を個別に身に付けることで、ひとつの共有空間における一体型の楽しみ方(全員で感動をシェア)が変化し、人によって筋書きとエンディングが変化するようなストーリー提供も、今後は想定されているそうです。
こうなると例えば、映画鑑賞に付き物である映画を観終わった後の座談会内容も、ガッツリ変化しそうですね。
ひいては、映画というものが、これまでの作り手(監督など)主導から、観客主導へとシフトするという劇的イノベーションが起こり得ます。


近未来のVR(バーチャル・リアリティ)活用


VRはワクワクする新技術ですが、エンターテイメントの枠を超えたところで、何かに役立てられないでしょうか?というのも気になりますね。

実のところ、各業界に動きは出てきています。

VR×医療


医療とVR技術の親和性は相当高いです。

例えば、医師がVR上で設計したコントロール可能な環境およびプログラムを用いて、精神疾患等の患者をシミュレーションに触れさせることで、当該症状に対するリハビリテーションを施すことが可能です。
対人恐怖症や高所恐怖症であれば、ケースに応じたプログラムを提示することで、その反応を見て、適切な療法やアドバイスを実施し、具体的にどのようにネガティブ感情と相対すればいいのかなどを指導することができます。

また、脳からの神経信号を読み取るセンサーを利用して、バーチャルに手足を使うようなリハビリテーション・ゲームを患者にプレイさせるケースもあって、患者が身体のコントロールを取り戻す手助けとなり得ます。

VR×自動車


よりリアルなカーレースを楽しめるゲームがあるのだとすれば、当然、本家も黙ってはいません。

例えば、自社で開発中の車にドライバーが乗った際に、その視野や乗り心地について何をどう感じるかを知るために、バーチャル・リアリティを駆使したテストを実施することで、試乗テストのような、時間とコストが大きくかかってくる作業が削減されることになります。

また、すでに一部WEB上で存在していますが、わざわざカーディーラーに足を運ばずとも、車の内装や外装を事細かに見られるコンテンツというのもVR技術のおかげですね。

VR×教育


教育や職業訓練においても、VRは重要な役割を担うと期待されていて、自動車・航空整備士や外科医など、ありとあらゆる職業トレーニングに活用できる可能性があり(すでに一部でテストが実施されている)、大きな注目が集まっています。

学校においても、教室で使用する生徒向けVRとして、校外学習や没入型の教育ゲームなど、不登校を含む特別なニーズのある子供たちに向けた用途も考えられています。

VR×旅行


なぜこれが出てこないんだ?と思われた方も多いでしょう。
そう、旅行ですね。
旅行系コンテンツは他業界と比較しても、VRとの親和性が非常に高く、その展望は非常に明るいです。

例えば、観光名所の一部を体感できることで、その土地への興味や関心が高まり、旅行への動機付けになったり、もっと突っ込んで、旅行がバーチャルで完結してしまう可能性を秘めています。
実際に旅行しなくても旅行した気になっちゃうパターンが、本当の意味で実現するかもしれません。
※当然ながら、トレードオフ的に実旅行者数が減ってしまう可能性も潜んでいます

人間の五感に直接訴えるVRの粒度によっては、VRユーザーは、その土地でしか感じることのできない風の心地良さや、顔に当たる柔らかい太陽の日差しみたいな感覚をも再現できるようになりますからね。


最後に


2016年はVR元年だとも言われていますが、一般的にバーチャル・リアリティを直に体感できる機会が増えていくのは、肌感としては、2016年10月リリース予定のSONYのPSVRがお目見えしてからジワリジワリといったところでしょうか。


VRは現代の産業革命児であり、VR関連分野も大いに発展する余地があります。
そして、これまで培ってきた強みや基盤を生かせる業界であれば、日本企業が世界に打って出る大きなチャンスであるとも言えますよね。


市場でも久々に、シンプルに盛り上がれるネタが登場したと、陽気なムードが漂っています。


そんなビッグウェーブに、あなたは乗りますか?
それとも、ひとまず浜辺から様子を見ますか?





NEXT/STORY