2016.06.20

【インタビュー:江川達也:2】ヒールとヒーローの詩/江川達也のアメニティ

脱優等生モード │ A PERSON OF TASTE



前編に引き続き、江川達也さんとのトーク、盛り上がって参ります。



江川達也

■江川達也/えがわ たつや
漫画家・タレント

<プロフィール>
1961年3月8日生。愛知県出身。愛知教育大学数学科(応用数学専攻)卒。大学を卒業して中学校の数学講師を経験後、本宮プロダクションでのアシスタントを経て、1984年『BE FREE!』で漫画家デビュー。以降『まじかる☆タルるートくん』『東京大学物語』『源氏物語』など、数々の人気漫画を世に送り出す。現在は、数多くのテレビ番組に出演するなど、タレントとしても各メディアで活躍中。


一本気で唄う │ 学芸員の智力 │JUST LIKE A ROCKSTAR



江川達也の“保険に強い味方がいる”発言に、クエスチョンマークが入り組んだ取材陣だったが…


江川達也

うちの奥さんが会社の経理を担当してるんだけど、彼女、前の仕事が某保険会社の事故処理課だったんですよ。事故を起こした顧客に「そんなに払えません!」みたいな仕事をしてたわけ。だから、保険に関してはプロ中のプロだね。昔のよしみで保険関係の繋がりも多いし、保険に関してはキッチリしてると思うから、安心して全部任せてます。実際、これまで保険には結構お世話になったしね。車も長く乗ってると、理由なく因縁つけられたり、避けられない事故もあるからね。車の前面がグチャグチャになるみたいなヒドイ事故もありましたよ。





頼れるパートナーを誇る江川先生は現在、メルセデス・ベンツを3台所有している。
高級外車なだけあって、当然、事故に遭った時の被害額も相当なものになる。



江川達也

取材中にSLRマクラーレンのフロントガラスに飛び石が当たってヒビが入った時があったんだけど、その時は300万円くらいだったかな…?まあ、しっかり何百万円単位で費用がかかってくるよね。日本に30台しかない車だから、そりゃもう高い高い。その時はね、保険屋さんにもかなり渋い顔されたなぁ(笑)。その後、保険料かなり値上げされちゃったしね。とにかく高い車は維持が大変すぎる。しかも、SLRを俺くらい乗り回してるオーナーはいないと思うよ。皆だいたい車庫にでも入れて、ワイン片手に眺めてるんじゃない?まあ、そうやって勝ち誇る感じもいいけど、車はやっぱり乗らないとねぇ。意味ないよ。ただ、乗ってていつもヒヤヒヤだけどね(笑)。





そう言って、ガハハとえびす顔、江川大先生。

確かに、大先生のように高級車を颯爽と乗り回すお姿をメディアなどで見かける(見せつける)漫画家は、他には思い浮かばない。



江川達也

俺は、あからさまだからなぁ(笑)。漫画家で成り上がって、それを見せびらかすテイでメディアに出てるのは、俺以外いないかもね。ほら、漫画家って“夢”を与える職業でもあるから、作品を読んでる時に作者の顔がチラつくのは、よろしくなかったりするんですよ。でもさっきも言ったけど、俺は車と家以外には、金をそんなに使わないんです。酒も飲まないし。





人気漫画家や人気作家というのは、銀座や六本木などの繁華街で豪遊するような派手なイメージを持たれることも多いはずだが、先生はそのタイプではないらしい。


江川達也

六本木には行ったりするけど、銀座はそんなに行かないなぁ。ちょうどこないだ誘われて、銀座のクラブに行ったんだけど、超つまんなくてさ(笑)。だって、銀座のホステスさんってのは、言わば、知性がウリなわけでしょ?だから高額なんでしょ?企業のサラリーマンとか役員さんたちが語るレベルの歴史の話だと付いてこれるけど、俺がクセの強い突っ込んだ歴史話を展開しようもんなら、相手はプロらしからぬキョトン顔になっちゃうからねぇ。もうちょっと勉強してほしいなぁって思ったりしますよね(笑)。





いや、希代のマンガ・アーティストである江川達也を唸らす歴女ホステスさんなど、なかなかいないだろう。
それこそ、学芸員レベルでないと。



江川達也

そうそう!俺ね、学芸員がホステスさんだったら超ハマると思う!普通に、学芸員の女性に会ったりしたら、学芸員ってだけで好きになっちゃうからね(笑)。話を振ったらスッと古文書を出してきて、おもむろに喋ってくれたら、もうたまんない。あと、昔の地図に関する質問をすると、地形図がサッと出てくるようなね(笑)。そういうホステスさんいたら、俺は惚れるんだけどなぁ…。





コンフォートゾーン │ クリエイティブの生き字引 │ TOO DAMN HAPPY

江川達也




そんな自らの理想郷に想いを馳せ、しばしウットリしていた江川先生。

なお、地形図の話が出たが、実は先生は大の地図好き・地形好きとして知られている。
その他、高速道路にも造詣が深く、『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)に企画を持ち込み、「江川達也の山手通り定点観測日記」を披露するなど、その博識さゆえ、ニッチで専門的な番組にゲストとして呼ばれることも多い。

何より、そのベシャリっぷりが人気で、コメンテーターとしても長年活動しているわけで、もはや売れっ子タレントと言っていい。



江川達也

いやいや、売れっ子ではないですよ。テレビはたまに出るくらいが楽しいですね。一時期、結構な本数に出演してたんだけど、ちょっとシンドかった(笑)。というのも、何でも仕事ってなってくると、新鮮味がなくなるよね。多趣味っていうのは、飽きっぽいってことだからさ。俺、すぐ飽きちゃうタイプではあるんですよ。






特にテレビ収録などのリハーサルが苦手なのだという。


江川達也

厳しいよねぇ、リハは。なんでかって、同じことを何回も言いたくないスタンスだから、リハーサルで知ったこと聞いたことに、本番で驚いたり感動したフリするとか、非常にやりにくいんですよ(笑)。映画やドラマじゃないんだからさ。「いや、さっき言ってたじゃん」って確実になっちゃうから、本番前は極力、共演者と話さないように気を付けてますね。だからって生放送がいいかっていうと、それはそれで危ない(笑)。「これ言っていいのか?大丈夫か?」って、頭の中でフィルタリングするし、そうなると、どうしても滑舌が悪くなる。もう二重苦だよね。





とか何とか言いながら、最近でも『有吉反省会』(日本テレビ系)にて、「豪邸を自慢し過ぎなのを反省しろ!」と諭されていたのが印象的だった。


江川達也

いやぁ、だって俺は全力で自慢する人っていうテイで、あくまでもテイで、いつもテレビに呼ばれるんだから、しょうがないよね(笑)。それに、繰り返しになるけど、漫画家っていうのは、テレビとかに出ると漫画が売れなくなるから、本当に漫画にマイナスなことばっかりですよね。例えば、漫画の中で可愛い女の子のキャラクターが出てくるわけだけど、今の俺が、ムードのある恋愛物とか描いても、前ほどの幻想は通じなくなっちゃったよね。だってさ、読者がラブシーンを読んでても、読みながら俺の顔がチラチラ浮かぶわけでしょ?そしたら、「あのオヤジが描いてる漫画で俺は……」みたいことになってきて、モロに萎えちゃうわけ(笑)。実際、俺と会ったらもう……って、結構言われる(笑)。まあ、テレビでは意識的に悪役を演じてます!基本的にはヒールですから、俺は。




確かに江川先生は、人が言いにくいことをズバっと指摘するなど、視聴者がハラハラするような歯に衣着せぬ発言が多い。


江川達也

いやいや、あれでも衣は何枚か着せてるんだよ(笑)。本音は、もっと気持ちよく言いたいんだけどねぇ。自分のFacebookでは、テレビよりも本音を書いてはいるんだけど、それでも抑えめにしてます(笑)。踏み込みすぎると、もれなく炎上しちゃうからね。でも、Facebookで私生活をアップしても、いいね!が100くらいしかつかないのに(苦笑)、ニュース取り上げて「コイツはダメだぜ!」みたいに書くと1,000とかついて、バズっちゃったりするからね。やっぱり、今の世の中って建前より本音を求めるんだよね。面白くも何ともないもんね、偽善者ぶって、いい風なこと言ってても(笑)。いろいろバレてきてるよね、ネットのおかげもあって。





ご自宅の様子を全国ネットの番組で大公開することからも分かるように、とにかくサービス精神が旺盛がゆえに、ついつい話しすぎてしまうことも多いという。


江川達也

まあ、10聞かれたら100話すみたいなところがあるから、結果的に必要ないことばっかり喋ってしまって、その必要ないことばっかりYahoo!ニュースに載るんですよ(笑)。テレビだと、盛り上げるために、どうしても勢い込みで言ってる部分があるじゃないですか。そしたら、ものの見事に、そこばっかり取り上げられたりするよね。そういう発言に需要があるんだろうね(笑)。あと俺、Wikipediaにウソばっか書かれてるみたいだよ。知り合いに、こんなこと書いてあったよって言われて、それはウソだ!って、よく訂正しますもん。あ、あとね、2ちゃんねるは閲覧しない方がいいって、子どもに言われてる。絶対ヘコむから見ない方がいい、悪口ばっかりだからって。ほんと寒いよね(笑)。…ていうか、楽天さんは大丈夫?結構オフレコ的トークやってる感じあるけど(笑)。




無問題 │ THE SHOW MUST GO ON




宴もたけなわなので、一応車に話を戻しておくが、江川達也にとって車はどういうものなのか?


江川達也

やっぱり家業の流れが大きい。親父の仕事が車関係じゃなければ、そんなに車に関心もなかったかもしれない。しかも、俺なんて車マニアから見たら、車が趣味だとは到底言えない感じだと思うよ。言ってしまえば、ベンツ乗ってる時点で、車好きとは言えないよね(笑)。世間一般的に映るのはミーハーなニュアンスだよね、ベンツは。まあ本当に、車のことをよく分かってて、ベンツに行き着く人はたくさんいるだろうけど、どっちにしろ車マニアはもっと変わった車に乗るもんだよ。それ乗る?みたいな車とかね。俺は、快適だからベンツに乗ってるだけだもん。なんか、結局普通の人なんですよ(笑)。




ということは温度感として、車は生活必需品?


江川達也

どっちかと言えばそうかな。日々、車は頻繁に使うしね。基本的に乗る時はひとりで、仕事の合間にパーッと箱根や伊豆まで、資料写真を撮影しに行ったりもしてますよ。最近のお気に入りは、ひとりで城跡に行くことですね。俺くらい城マニアになると、城の現物よりも、城があったけど今はない、単なる丘を見て興奮できるんですね(笑)。まあ、漫画にしても、テレビにしても、車にしても、全部楽しいから、好きなことしかやってない。人生なるべく本気で楽しく生きていこうってことになりますか。





江川達也




これからも、世間を揺さぶり、嫉妬を喚起し、本音で攻める、そんなアーティスティックな役割をまっとうしていってほしい。
そして、乗らなくなったら(博物に飽きたら)、SLRマクラーレンを是非とも譲っていただきたい。



純真でダンディな笑顔を見つめながら、そんなことを切に思うのだった。




◇text:犬塚左恵
◇photograph:関根虎洸





NEXT/STORY