2016.10.17

【都心から日帰り秘境ドライブ】「宮ヶ瀬ダム」のダイナミック放流で震えるハート

◇新宿から高速と下道で約1時間


近頃、一部の大人たちの間で、とあるカードが流行っているとの噂をキャッチした。

その名も“ダムカード”。


文字通り、水を膨大に貯めこむ巨大建造物の写真と情報が記載されているカードらしいのだが、ハッキリ申し上げて何が魅力なのかさっぱり分からない。
そもそもダム観光ブームがしばらく続いているようだが、今の自分では意味というか意義がさっぱり分からない。

ダムと聞けば、定年過ぎのオジサマが好んで足を運びそうな場所という勝手なイメージとは裏腹に、このところ若者の間でも人気観光スポットになっているとかいないとか。



ならばと車を走らせ向かうは、神奈川県相模原市。
東京都心から日帰りで行けるダムと言えば、宮ヶ瀬ダムだ。
もうその情趣を自らの身体で確かめるしかない。

そして、このダムチョイス、我ながら間違いない。
なぜなら宮ヶ瀬ダムは首都圏最大のダムであり、4~11月の毎週水曜日には観光放流を行っているという。
ありがたき平日のド真ん中だが、半ば仕事をサボッてでも行ってみようという腹積もりである。



新宿から向かう場合、まず「初台」から首都高4号新宿線に乗り三鷹方面へ。
中央道を通って、八王子JCTを圏央道・厚木・東名の標識に従ってずい~っと進んでいき、「相模原IC」で高速道路を降りる。
あとは、県立あいかわ公園を目指し、下道を進むだけ。


Hiho Hiho to ミヤガセダム


その道標、たったの60分。
新宿から1時間。



ダム付近にはいくつか駐車場があり、中には無料駐車場もあるのだが、遠回りになるのに加えて、観光客を乗せた大型バスが何台も停まっていることがあるらしく、この日は“県立あいかわ公園南駐車場”に駐車した。



それから散策道を10分ほど歩くと、いよいよダムが見えてきた。


宮ヶ瀬ダム



いやはや遠目に見てもデカい。
自信ありげに、そそり立っておられる。






ドン引きで撮ると、人が米粒のごとく写るスケール感。

宮ヶ瀬ダム



その高さ、156m。
近くで見ると、より圧倒的な威圧感を誇る。


横浜マリンタワー(106m)や、大阪の通天閣(103m)のざっと1.5倍の高さ。
ウォール・マリアのシガンシナ区の門を破壊した、あの超大型巨人(60m超)と比べれば、ゆうに2倍以上である。

まあ少しばかり言語野が崩壊していて、巧い例えが見当たらないので、このあたりで止めておこう。




さて、肝心の観光放流は11時と14時からそれぞれ6分ずつだという。
到着時すでに1回目の放流が終わってしまっていたので、次の放流まで時間を潰すため、まずはダムの上に登ってみることに。



ダム上に行くには、インクラインというケーブルカーを使うか、無料のエレベータに乗るかということなので、響き的にインクラインに乗ってみた。

宮ヶ瀬ダム/インクライン



急勾配をゆっくり登っていくのだが、相当な高さを体感するので、高所恐怖症の人は下を見ない方が懸命だ。





登り終えると、目の前に“水とエネルギー館”が現れた。

水とエネルギー館


ここは、ダム、水資源、エネルギーに関する情報を映像や体験コーナーを通じて楽しみながら学習することができるアミューズメント施設。




中へ入ると、ペダルを漕いでタンクに運んだ水を落として発電させる体験コーナーに、多くのチビッ子たちが集まり、発電量を競い合っていた。

無論、大の大人がペダルをおもっくそ漕いで発電するのはアリだ。
きちんと順番を守ればアリだ。
お子様たちにその脚力をまざまざと見せつけ、社会の荒波を生き抜く大人の偉大さを、ペダルをおもっくそ漕ぐ背中で教えるのはアリなのだ。



ちなみに、受付には2種類のダムカードが置かれていて、1人1枚ずつ貰える。
1枚は「宮ヶ瀬ダム」で、もう1枚は「石小屋ダム(宮ヶ瀬副ダム)」のカード………

ダムカード



うわうわ。
つ、ついに、ダ、ダムカード、ゲ、ゲットだぜっ!

これが噂のダムカードだぜ。
なんか渋くない?
ネイビーの発色を抑えてあるあたりが渋くない?




とか何とか言いつつ、「石小屋ダム」というのは「宮ヶ瀬ダム」の副ダムで、観光放流の水の勢いを調節して下流に流したり、副ダムとしては珍しく発電を行っているダムである。




そんなこんなで、展示物を見終わると時刻はちょうどお昼時。
水とエネルギー館には『レイクサイドカフェ』というレストランが併設されているので、空腹を満たすために入店してみた。
雰囲気も割とオシャレ。

宮ヶ瀬ダム



人気メニューは、宮ヶ瀬ダム放流カレー(税込1,000円)らしい。




よく分からん。
カレーの放流など目的が全然分からんが、何歳になっても未知なるものにトライするバイブスを持っていたいので、宮ヶ瀬ダム放流カレーに決定。




食券を買って店員さんに渡し、空いている席に着席し、待つこと数分。

宮ヶ瀬ダム放流カレー



……おかしなことになっとる。


……ライスにウィンナーが刺さっとる。









出たよ。
ライスがダムを、カレールーが水を、それぞれ表しとるよ。
斬新でスタイリッシュなデザインワークがこんなところにあったよ。



よしよし、早速放流してやろうではないか。





これ見よがしにシュールだ。
だが、それでいい。



思ったよりも、カレーのルーがドロ~~っとしていて、勢いよく放流とはいかなかったが、実物を拝む前の余興と考えれば、これも一興だ。



そして、味は本格的なカレー。
子どもでも難なく食べられるように辛さを抑えつつ、甘みがしっかり感じられて、付け合わせはフライドポテトにブロッコリーに分厚いベーコンと豪華絢爛。
さらに、チーズで味を変えられるのも何気に嬉しいところ。
何よりも擬似放流のギャグセンスも含め、極めてハイクオリティなカレーである。

といった具合に、とりあえず誉めそやしておこう。


水量毎秒30㎥の放流


食事を済ませ、今度は放流口の真上に移動した。



水圧によって壊れないようにかなり厚みのある造りとなっている。
上部の厚さは20mほどだが、下部になると180mもの厚みがあるらしい。



ダムの淵から下を覗き込むと、こんな感じ。

宮ヶ瀬ダム



まるでスキージャンプの台だ。
高梨沙羅選手の度胸に想いを馳せる。


こんな角度から飛び込んでいるのか。



実際に見てもらわない限り、この凄味は伝わらないと思うので、今流行りの集中線を付けて緊迫感だけでも演出しておこう。

宮ヶ瀬ダム




と、ここでいよいよ放流の時間が迫る。



上りはインクラインを利用したので、せっかくなので下りはエレベータを使って降りることにした。
物事はバランスだ。


156mを一気に下っていくと、気圧の変化で耳がボヤっとするので耳抜きはあった方がいいかもしれない。





ダム正面にはだんだん人が集まってきて、放流を今か今かと待っている。




そして。



いやもう。
水飛沫ぃ。
水のしぶきぃ。
ミズシブキィ。


はじめはチョロチョロ出てきやがり、徐々に強くなりやがり、ゴゴゴッという轟音と共に、怒涛の水しぶきが舞い上が~りやが~る。
これはスイーツ女子的に言うところの、“マイナスイオンを浴びている”状態ですやんか。





宮ヶ瀬ダムの観光放流では、毎秒30㎥もの水が流されるという。
小学校の標準的な25mプールの水量が約360㎥なので、だいたい12秒もあればプール一杯になるほどだ。


観光放流なんて水がただ流れるだけだろ?と舐め切っていればいるほど、目の前で実物を見るとハイテンション必至。
いかんせん、筆者がそうだったからだ。
我は歩く証明書である。



また、放流を見終わる頃には顔から水滴がしたたり落ちるほどで、王様のブランチ的ハッピーテイストな絵面。
横を向くと、女性の化粧がとんでもないことになっていた。

そういう女性、大好きなのである。
ダムという宇宙クラスの水瓶を前に、しっかり化粧しているような女性、大好きである。



なお、6分間同じものを眺めるなど余裕で退屈してしまいそうなものだが、宮ヶ瀬ダムの放流は、ずっと見ていられる不思議なダイナミズムがあった。
癖になる感覚があった。



メインイベントの観光放流を堪能し、周辺施設も一通り味わい終えたので、副ダムの石小屋ダムにも行ってみた。

石小屋ダム


これが宮ヶ瀬ダムのバディ、石小屋ダム。

なんとなくだが、いぶし銀的風情がある。
地味に香ばしい仕事をしそうな感じだ。




宮ヶ瀬ダムから少し距離があるため、見学に来る人は少ないようだが、だからこそ素晴らしいと思う。
通っぽい感じを醸し出せるのがいい。
ダム玄人ぶれてしまうからいい。
そう考えると、わざわざ足を運ぶ価値がありそうだ。


あとがき


宮ヶ瀬ダムは、あまり観光に行けていないような人はもちろんのこと、都内のメジャー観光スポットはあらかた行き尽くしてしまったような人でも意外とアトラクション感覚で楽しめる。

新宿から車で1時間なので、その日の朝ふと思い立っても、半日あればサクッと行って帰ってこられる気軽さがナイスだ。


一応最後に老婆心ながら、女性の化粧は薄めのナチュラルメイクがオススメ。



◇text:日下部貴士/A4studio


宮ヶ瀬ダムINFO


■住所
神奈川県相模原市緑区青山2145

■電話番号
046-281-6911
(相模川水系広域ダム管理事務所)

■営業時間
4月~9月 8時30分~18時00分
10月~3月 8時30分~17時00分
(あいかわ公園南・北駐車場)

■定休日
無休
※観光放流は4月~11月の毎週水曜日、毎月第2日曜日、毎月第2第4金曜日の各日11時と14時に6分間ずつ

■料金
無料
※インクラインなどの乗り物は別料金






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